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本編

第22章『厨ニくせーなぁ』

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ユータ達がブリテンに着く少し前、依頼主のもとへ帰ってきたツルギは団長室と書かれた扉を叩いた。

「私だ、開けてくれ。」
「ツルギか。依頼を完了したのか?」
「あ、いや。その依頼は必要なくなった。」
「どういうことだ。詳しく聞かせろ。」

依頼主は怪訝な顔をしてツルギを部屋に入れた。

「理由がこれだ。」

依頼主にバッグから一枚の紙を出してみせる。

「あぁ?人間と魔族の和平ぃ!?」
「そうだ。ターゲットが人間を脅かさないのなら、依頼の意味はないからな。」

依頼主は紙を両手で握りしめると、高々と持ち上げながら笑った。

「ははは、なるほどなるほど、和平か。はっはっは!」
「はは、そうだろう。これで皆が平和になるぞ。」

「ああ、ははは…………………ふざけやがってぇ!!」

依頼主は一転して激怒する。

「ふざけやがって、ふざけやがってぇ!!こんなものぉ!」

紙を真っ二つ…いや、粉々に破き、更には近くの壁を殴りつける。

「今更和平だと?にあんなことをしたのにか?」
「おい!ちょっと待て、和平はどうなったんだ?」
「うるせえ、知るか!どうしてテメェは魔王を殺しておかなかったんだよ!?」
「だって、和平でみんな平和に…」

依頼主はツルギを思いきり殴る。その衝撃でツルギは近くのソファに倒れ込んでしまった。

「平和?十年前、俺がそんなことを信じていたから部下も街の奴らもみんな殺されたんだ!今回もまた騙そうとしている!」
「そんな……騙された?」
「ああ、そうだ。クロ!兵を出すぞ。」

依頼主が呼ぶと、全身真っ黒装備でボサボサの黒髪をした騎士がドア越しに返事をする。

「了解した、ボス。」
「その前に魔王復活を各国に伝えろ。兵が整ったら魔王城襲撃も後で伝えるんだ。」
「わかった、二時間半で整える。」

「そしたら……ハクはこの異世界の女を連れて行け。」
「な……何故だ!私も戦力に……」
「残念だが、ウチに戦争を引き起こした用済みはいらないんだよ。国から出ていきな。」

そう言うと、近くの全身白の騎士の部下にツルギを拘束させて部屋から出させた。
一人になった男は再び椅子にすわる。

「……新団長、ギン・イロイの神色の龍騎士団カラードラゴンナイツを相手にした事を後悔しろ、魔王サクラぁ!」





そして現在に至る。
ブリテンのジジイと魔王と俺で元の世界の話を盛り上がらせていた時、一人の青年が扉から勢い良く入ってきた。

「大変です、国王!神色の龍騎士団カラードラゴンナイツが魔王城に攻めるつもりです!」

神色の龍騎士団カラードラゴンナイツ?厨ニくせー名前だなぁ。

神色の龍騎士団カラードラゴンナイツ……。あのバカどもか!」

マオは誰なのか知っているようだ。

「それともう一つ、『十年前の報復をする』だそうです!」
「十年前?あれ、魔王が死んだのって……?」
「十五年前だ。だから我の知らない間の事……ということになるな。」

魔王は全く心当たりがなさそうだ。一体何があったんだ?

「おい、ユータ!行って原因を突き詰めて戦争を止めるぞ!」
「はぁ?もう夜だぞ、みんな起こすのか?」
「そんな余裕はない。起きてる奴らで出るしかない。我と、ユータと……」
「私も行きます。」
「サクラさん!?どうして……寝てたんじゃ?」
「いえ、何か心配で寝れなくて。」

「じゃあ、俺とマオとサクラさんで行くとするか。」

こうして、かなり前倒しになった魔王城訪問が始まった。
つか、どうでもいいけど休ませて。
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