上 下
22 / 57
本編

第17章『異世界人って大抵こんなもん』

しおりを挟む
あれから半月が過ぎた。
半月の間、何があったのかと言うと……何も無かった。マジで。
なのでカットである。

ちなみに、サクラさんが魔王なのかという疑問に対して、キラは
「サクラは、魔王様に限りなく近い別人よ。」
と言っている。はっきり言って俺にはよくわからない。
キラが言うには、これまで通りサクラさんは旅に連れて行って良いそうだ。

まあそれはいいとして、俺達一行は草原をゆっくりと歩いていた。

「そうだユータ、前々から聞きたかったんだけど、他に異世界から来る人ってどんな人なんだ?」
「そうだな、まずはトラックで引かれて来る。そして何らかのやべー能力やアイテムを持っていて……あとそのチート能力を普通に使って周りの奴らが驚いているのを『僕何かやっちゃいましたか?』って顔で見てくる。」
「なにその非常識人。」
「さらにそういうやつには大抵女の子がやってきてハーレムを作りやがるんだっ!羨まけしからん!」
「羨ましいのな。まあ、参考になったわ。」

「あとはな……」

俺は歩きながら横のアルフを見て言う。

その瞬間、ジャキンと音を立てて背中の両手剣が前に吹っ飛んだ。

「………は?」

全員がポカーンとしている。誰も状況に追いつけていない。
その一瞬に、ステラの短剣とアルフの片手剣、そしてサクラさんの杖も吹っ飛ぶ。



「ふむ、少し遅れたな。私もまだまだか。」
「誰だ?」

振り向くと、まさに勇者というような白い鎧とマントを身に着けた女の人が剣を抜いていた。

「おっと、自己紹介がまだであったな。私は早見ツルギと申す。」

早見ツルギ……日本人なのか?キラキラネームだな。
ってそんなことより。

「俺らの武器を飛ばしたのはアンタか?」
「そうだ。ある国から依頼があってな、君たちを始末しろと言われている。」
「始末だと?物騒だな、どうしてだ?」
「まあ、できればあまり情報は与えたくないのだが……いいだろう。
君たち、少し前に魔王軍と手を組んだだろう?」
「うーん、まあ間違ってはないな。」
「鈴木ユータ君、君の召喚魔獣は魔王軍には強すぎる。これまで人間軍との関係が大きく変わるかもしれないんだ。」

「ちょっ、おいおい待て待て。俺は魔王軍が人間軍に攻撃しないように約束しただけだぞ。戦争をするつもりなんかない。」
「証拠はあるのか?私をだましているんじゃないのか?」

そう言われるとつらいな。

「証拠はない。だが諦めて簡単に死ぬ訳にもいかない。」

そう言うと俺はガロン初号機を召喚する。
出てきたガロンは、すぐにツルギに拳を振る。

拳が当たったかのように見えた。が、次の瞬間ガロンは霧散してしまう。
なんで、別にイメージを壊した訳じゃないのに!?

「私に召喚魔獣は効かない。なぜならこの剣は、全ての召喚魔獣を斬り殺せる魔剣だからだ。」

全て、だと?そんなのチートだろ!いや、チートか。
このまま死ぬわけにもいかない……。
どうする?どうすればいいんだよ!?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが

マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって? まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ? ※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。 ※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

(完)なにも死ぬことないでしょう?

青空一夏
恋愛
ジュリエットはイリスィオス・ケビン公爵に一目惚れされて子爵家から嫁いできた美しい娘。イリスィオスは初めこそ優しかったものの、二人の愛人を離れに住まわせるようになった。 悩むジュリエットは悲しみのあまり湖に身を投げて死のうとしたが死にきれず昏睡状態になる。前世を昏睡状態で思い出したジュリエットは自分が日本という国で生きていたことを思い出す。還暦手前まで生きた記憶が不意に蘇ったのだ。 若い頃はいろいろな趣味を持ち、男性からもモテた彼女の名は真理。結婚もし子供も産み、いろいろな経験もしてきた真理は知っている。 『亭主、元気で留守がいい』ということを。 だったらこの状況って超ラッキーだわ♪ イケてるおばさん真理(外見は20代前半のジュリエット)がくりひろげるはちゃめちゃコメディー。 ゆるふわ設定ご都合主義。気分転換にどうぞ。初めはシリアス?ですが、途中からコメディーになります。中世ヨーロッパ風ですが和のテイストも混じり合う異世界。 昭和の懐かしい世界が広がります。懐かしい言葉あり。解説付き。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

妹に出ていけと言われたので守護霊を全員引き連れて出ていきます

兎屋亀吉
恋愛
ヨナーク伯爵家の令嬢アリシアは幼い頃に顔に大怪我を負ってから、霊を視認し使役する能力を身に着けていた。顔の傷によって政略結婚の駒としては使えなくなってしまったアリシアは当然のように冷遇されたが、アリシアを守る守護霊の力によって生活はどんどん豊かになっていった。しかしそんなある日、アリシアの父アビゲイルが亡くなる。次に伯爵家当主となったのはアリシアの妹ミーシャのところに婿入りしていたケインという男。ミーシャとケインはアリシアのことを邪魔に思っており、アリシアは着の身着のままの状態で伯爵家から放り出されてしまう。そこからヨナーク伯爵家の没落が始まった。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

処理中です...