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本編
第3章『チートが使えるとでも思ったか』
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さて、これからどうしましょ。
「行き先がないのであれば、冒険者ギルドに行ってみては?」
と、言ったのはエムリスだ。
「そうだなー。ギルドか。行ってみるのも良さそうだ。何処にあるんだ?」
「ここからかなり遠く離れた街です。」
「………ん?今なんて?」
「ここから遠く離れた街です。」
なん…だと…!?普通、異世界召喚されて最初の街はギルドとかあるだろぉぉぉ!
と、嘆いていても仕方がないので、とりあえず行くことにしよう。
すると、
「あ、でも街の周りは危険なので、旅支度をしましょう。」
と言われ連れてこられたのは、武器屋だった。
「すいませーん。武器を買いに来たんですけれどもー。」
俺はドアを叩きながらそう叫んだら、中から屈強そうなおっちゃんが出てきた。
「ん?ああエムリスちゃんか~。どうしたんだ~?」
といきなりおっちゃんは険しい顔からにやけ始めた。
あ、コイツあれや。美人に目がないやつや。
「イルガさん。この男の人が武器を買いたいって言ってるんです。」
「え、この兄ちゃんなの?!エムリスちゃんじゃなくて?兄ちゃんか……。兄ちゃんかぁ……。」
イルガと呼ばれたおっちゃんはあからさまに落胆していた。悪かったな美少女じゃなくて俺で。
「んー。兄ちゃんは何が欲しいんだ?」
と言われましてもまだきめてないんだよなぁ。
片手剣、はなんか違う気がするし。双剣、は黒の〇士じゃあるまいし。
「じゃあ兄ちゃん、両手剣にしたらどうだ?」
「え?両手剣?」
「兄ちゃん片手剣とか持っても立ち回りとかわからんだろ。」
なんかボロクソ言われている気がするが、まあ両手剣というのもいいんじゃないかな。
「そうだな、両手剣にしよう。」
「うっし。そうときまれば、早速用意しよう。」
そう言ってイルガは奥に消えていった。
あれ?エムリスさんどこだ?
俺はシスターを探して周りを見回すと、少し先の喫茶店で優雅に紅茶を飲んでいやがった。
「兄ちゃーん。持ってきたぞー。」
振り返るとイルガがでっかい剣をもってきていた。
俺はその剣を貸してもらって、ヒュンヒュンと振ってみた。
あれ?思ったより重くないし、なんか身体がいつもより軽いな。
これはまさか俺に神様の恩恵が……!
「ウチで一番軽いのを選んだんだが、どうだ?」
Oh…別にチートがあった訳では無さそうだ。
「だ、大丈夫っす…。チートとか考えてすんませんした。」
「チート?まあ、使えるんだったらそれにしたらどうだ?」
「そうですね。………あ!でもお金が……。」
「お金はわたしが。」
そう言ったのは喫茶店から帰ってきたエムリスだ。
「いいのか?」
「ひとつ貸しですよ?」
「エムリスさん。この御恩は一生忘れません。」
お金を出してくれるっていうんならお言葉に甘えよう。
俺は、他にもサイフなどを買って武器屋を後にした。
その後、街から出るために門の前にいくと、
「ユータ様、お待ちくだされ!」
老人の神父に止められた。
神父は裏路地から手招きをするので、仕方なく俺は行くことにした。
「ユータ様、貴方様はこの世界でトップクラスの実力をもっています。」
第一声がそれだった。俺がトップクラス?
「トップクラスって、俺は力も弱いし、恩恵も受けてないぞ?」
「いいえ、貴方様はトップクラスでございます。あんな召喚魔獣は見たことがありませんでした。」
「………?」
「エムリスからなにも聞いておらんのですね。それでは説明しましょう。」
「まず、召喚魔獣とは召喚された生き物のことです。」
「ふんふん」
「そして召喚魔法は召喚魔獣の細部まで想像しないと想像出来ません。」
「ほいほい」
「しかし、この世界の住民は想像力が足りません。」
「ん、どうして?」
「召喚魔獣の細部まで想像しなければならないということは、1度でも見たことがなければ召喚出来ないのです。普通の人は、下級魔物さえ見ることなどほぼ無いでしょう。」
「つまり、強い召喚魔獣を召喚できる人は少ないってことか?」
「そういう事です。そこで、あなたには召喚魔法の講師をやってもらいたいのです。」
「講師?行くあてもないし、やってもいいけど。」
「ありがとうございます。行き先は、これを見てください。」
神父が差し出したのは、地図だった。
地図には大きな四角い大陸がひとつあり、その周りには海があった。
「今いる所が、ここです。」
神父の指は大陸の北西の端っこを指していた。
「そして、貴方に行ってもらいたい『魔術学園』は、ここです。」
北西の端から移動した指は南東の端へ。
「分かった。しかし、真ん中にあるでっかい建物はなんだ?」
「それは………、魔王城であります。」
魔王城……。この世界にも魔王はいるのか。
「魔王と人間とは今、デリケートな関係でして……。」
「デリケートか……。魔王城の近くを通るのは危険そうだな。迂回していった方が良さそうだ。」
「そうしていただけると幸いです。」
「よし。とりあえず、ギルドに行ってから魔術学園に行くことにするよ。」
魔術学園か。しばらくの目標はそこにするか。
そんなことを考えながら俺はホルネスの門をくぐった。
「行き先がないのであれば、冒険者ギルドに行ってみては?」
と、言ったのはエムリスだ。
「そうだなー。ギルドか。行ってみるのも良さそうだ。何処にあるんだ?」
「ここからかなり遠く離れた街です。」
「………ん?今なんて?」
「ここから遠く離れた街です。」
なん…だと…!?普通、異世界召喚されて最初の街はギルドとかあるだろぉぉぉ!
と、嘆いていても仕方がないので、とりあえず行くことにしよう。
すると、
「あ、でも街の周りは危険なので、旅支度をしましょう。」
と言われ連れてこられたのは、武器屋だった。
「すいませーん。武器を買いに来たんですけれどもー。」
俺はドアを叩きながらそう叫んだら、中から屈強そうなおっちゃんが出てきた。
「ん?ああエムリスちゃんか~。どうしたんだ~?」
といきなりおっちゃんは険しい顔からにやけ始めた。
あ、コイツあれや。美人に目がないやつや。
「イルガさん。この男の人が武器を買いたいって言ってるんです。」
「え、この兄ちゃんなの?!エムリスちゃんじゃなくて?兄ちゃんか……。兄ちゃんかぁ……。」
イルガと呼ばれたおっちゃんはあからさまに落胆していた。悪かったな美少女じゃなくて俺で。
「んー。兄ちゃんは何が欲しいんだ?」
と言われましてもまだきめてないんだよなぁ。
片手剣、はなんか違う気がするし。双剣、は黒の〇士じゃあるまいし。
「じゃあ兄ちゃん、両手剣にしたらどうだ?」
「え?両手剣?」
「兄ちゃん片手剣とか持っても立ち回りとかわからんだろ。」
なんかボロクソ言われている気がするが、まあ両手剣というのもいいんじゃないかな。
「そうだな、両手剣にしよう。」
「うっし。そうときまれば、早速用意しよう。」
そう言ってイルガは奥に消えていった。
あれ?エムリスさんどこだ?
俺はシスターを探して周りを見回すと、少し先の喫茶店で優雅に紅茶を飲んでいやがった。
「兄ちゃーん。持ってきたぞー。」
振り返るとイルガがでっかい剣をもってきていた。
俺はその剣を貸してもらって、ヒュンヒュンと振ってみた。
あれ?思ったより重くないし、なんか身体がいつもより軽いな。
これはまさか俺に神様の恩恵が……!
「ウチで一番軽いのを選んだんだが、どうだ?」
Oh…別にチートがあった訳では無さそうだ。
「だ、大丈夫っす…。チートとか考えてすんませんした。」
「チート?まあ、使えるんだったらそれにしたらどうだ?」
「そうですね。………あ!でもお金が……。」
「お金はわたしが。」
そう言ったのは喫茶店から帰ってきたエムリスだ。
「いいのか?」
「ひとつ貸しですよ?」
「エムリスさん。この御恩は一生忘れません。」
お金を出してくれるっていうんならお言葉に甘えよう。
俺は、他にもサイフなどを買って武器屋を後にした。
その後、街から出るために門の前にいくと、
「ユータ様、お待ちくだされ!」
老人の神父に止められた。
神父は裏路地から手招きをするので、仕方なく俺は行くことにした。
「ユータ様、貴方様はこの世界でトップクラスの実力をもっています。」
第一声がそれだった。俺がトップクラス?
「トップクラスって、俺は力も弱いし、恩恵も受けてないぞ?」
「いいえ、貴方様はトップクラスでございます。あんな召喚魔獣は見たことがありませんでした。」
「………?」
「エムリスからなにも聞いておらんのですね。それでは説明しましょう。」
「まず、召喚魔獣とは召喚された生き物のことです。」
「ふんふん」
「そして召喚魔法は召喚魔獣の細部まで想像しないと想像出来ません。」
「ほいほい」
「しかし、この世界の住民は想像力が足りません。」
「ん、どうして?」
「召喚魔獣の細部まで想像しなければならないということは、1度でも見たことがなければ召喚出来ないのです。普通の人は、下級魔物さえ見ることなどほぼ無いでしょう。」
「つまり、強い召喚魔獣を召喚できる人は少ないってことか?」
「そういう事です。そこで、あなたには召喚魔法の講師をやってもらいたいのです。」
「講師?行くあてもないし、やってもいいけど。」
「ありがとうございます。行き先は、これを見てください。」
神父が差し出したのは、地図だった。
地図には大きな四角い大陸がひとつあり、その周りには海があった。
「今いる所が、ここです。」
神父の指は大陸の北西の端っこを指していた。
「そして、貴方に行ってもらいたい『魔術学園』は、ここです。」
北西の端から移動した指は南東の端へ。
「分かった。しかし、真ん中にあるでっかい建物はなんだ?」
「それは………、魔王城であります。」
魔王城……。この世界にも魔王はいるのか。
「魔王と人間とは今、デリケートな関係でして……。」
「デリケートか……。魔王城の近くを通るのは危険そうだな。迂回していった方が良さそうだ。」
「そうしていただけると幸いです。」
「よし。とりあえず、ギルドに行ってから魔術学園に行くことにするよ。」
魔術学園か。しばらくの目標はそこにするか。
そんなことを考えながら俺はホルネスの門をくぐった。
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