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第四章 砂漠の遺跡
第七十三話 フランの正体
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サンドスコーピオンの群れに追いかけられ、危うい所でフランが何かをしてサンドスコーピオンの群れは凍りついた。
そして倒れてしまったフランを抱えて戻り、ベッドへ寝かせた。
「エイルさん、どう思いますか?」
「そうね……、フランが何かした事は間違いないんでしょうけど……」
「……多分、魔術……」
「「魔術!?」」
「魔術って確か魔導法術機を使わなくても魔法が使えるんですよね?」
「……そう……だよ……」
「もし本当だったら凄い事ですよね?」
「そうね、魔術はほんの一部の人しか使えないはずだし」
全員で寝ているフランを見つめる。
その日の夜、フランが目を覚ました。
「う~ん……、あれ? ここは……?」
「あ! フラン君! 大丈夫? なんとも無い?」
「う、うん」
「良かった~」
ルルアが飛びつくようにフランに近づき、安心して抱きしめた。
「大丈夫だよ、ルルアお姉ちゃん」
フランは少し照れた様に抱きしめているルルアに話す。
その後しばらくして、エイルとアンが戻って来た。
「フラン! 目が覚めたの? もう大丈夫?」
「はい。 大丈夫です」
「……良かった……」
フランはベッドから起き上がると、座って話しだす。
「……やっぱり気になりますよ……ね?」
「はい」
「うん」
「……気になる……」
「ですよね……、もう隠せないし、はっきり言います」
フランは真剣な面持ちで話し始めた。
「レアさんは気がついていた様ですが、僕は人造人間なんです」
「え!? 人造人間?」
「それって、ケンジやレアと同じ……?」
「はい。 ケンジさんやレアさんより旧型ではありますが、僕は人造人間なんです」
「でもでも、ケンジさんやレアさんはヘイトルーガの風土病にはかからなかったけど、フラン君はかかったよね?」
「僕は旧型で、より人に近く作られました。 なので再生能力とか無いんです」
「それでフランは何処から来たの?」
「僕の生まれは恐らくフルスレイグです。 そこからヴァルスケン帝国へ運ばれて実験体にされていました。 幸い再生能力が無かったので、切り刻まれたりはしなかったのですが、色々調べられましたね……」
「そう…………」
しばし、沈黙が続いた。
「ねえ、フランはヴァルスケン帝国の何処にいたの?」
「南東の山岳部辺りだと思います。 そこからなんとか逃げ出してヘイトルーガに来たんだけど、人攫いに捕まって奴隷商人に売られました。 僕可愛いから売れた先では可愛がってもらえるだろうし、実験体よりはマシかなと思ったから……」
「フラン……」
「うわっ! むぐ~!! エイルお姉ちゃん……」
エイルは勢いよくフランを抱きしめた。
「頑張ったね……、これからは私達が家族だからね……」
「エイルお姉ちゃん……」
「エイルさん……、そうですよね、私達が家族です!」
「……家族……私も?」
「もちろん!」
エイルにしばらく抱きしめられていたが、やっと解放された。
「あのあの、フラン君のあの力は魔術なの?」
「そうです。 僕は魔法が使えますが、氷の魔法しか使えません」
「でもあの魔法凄かったよね?」
「僕には魔法の制御装置がないため、あの魔法しか使えません。 使うと魔力が枯渇して気絶しちゃいます」
「そうなんだ。 じゃあじゃあ、制御装置があれば気絶しないのかな?」
「多分.…」
「……もしかしたら、ケンジ達が向かった遺跡に制御装置になりそうな物もあるかも知れない……」
「そうだね! フランも大丈夫そうだし、明日出発しましょう!」
「でも船のチケットは?」
「フランが凍らせて倒したサンドスコーピオンから針や素材が沢山取れたから、それを売って今は潤ってるから大丈夫よ」
エイルとアンは寝ているフランをルルアに任せて凍ったサンドスコーピオンの素材回収に行っていた。
「でも、フラン君はその魔法使っちゃダメダメだよ。 また倒れちゃうと困るし」
「わかったよルルアお姉ちゃん」
こうして、船のチケットを購入してケンジ達の後を追うのだった。
そして倒れてしまったフランを抱えて戻り、ベッドへ寝かせた。
「エイルさん、どう思いますか?」
「そうね……、フランが何かした事は間違いないんでしょうけど……」
「……多分、魔術……」
「「魔術!?」」
「魔術って確か魔導法術機を使わなくても魔法が使えるんですよね?」
「……そう……だよ……」
「もし本当だったら凄い事ですよね?」
「そうね、魔術はほんの一部の人しか使えないはずだし」
全員で寝ているフランを見つめる。
その日の夜、フランが目を覚ました。
「う~ん……、あれ? ここは……?」
「あ! フラン君! 大丈夫? なんとも無い?」
「う、うん」
「良かった~」
ルルアが飛びつくようにフランに近づき、安心して抱きしめた。
「大丈夫だよ、ルルアお姉ちゃん」
フランは少し照れた様に抱きしめているルルアに話す。
その後しばらくして、エイルとアンが戻って来た。
「フラン! 目が覚めたの? もう大丈夫?」
「はい。 大丈夫です」
「……良かった……」
フランはベッドから起き上がると、座って話しだす。
「……やっぱり気になりますよ……ね?」
「はい」
「うん」
「……気になる……」
「ですよね……、もう隠せないし、はっきり言います」
フランは真剣な面持ちで話し始めた。
「レアさんは気がついていた様ですが、僕は人造人間なんです」
「え!? 人造人間?」
「それって、ケンジやレアと同じ……?」
「はい。 ケンジさんやレアさんより旧型ではありますが、僕は人造人間なんです」
「でもでも、ケンジさんやレアさんはヘイトルーガの風土病にはかからなかったけど、フラン君はかかったよね?」
「僕は旧型で、より人に近く作られました。 なので再生能力とか無いんです」
「それでフランは何処から来たの?」
「僕の生まれは恐らくフルスレイグです。 そこからヴァルスケン帝国へ運ばれて実験体にされていました。 幸い再生能力が無かったので、切り刻まれたりはしなかったのですが、色々調べられましたね……」
「そう…………」
しばし、沈黙が続いた。
「ねえ、フランはヴァルスケン帝国の何処にいたの?」
「南東の山岳部辺りだと思います。 そこからなんとか逃げ出してヘイトルーガに来たんだけど、人攫いに捕まって奴隷商人に売られました。 僕可愛いから売れた先では可愛がってもらえるだろうし、実験体よりはマシかなと思ったから……」
「フラン……」
「うわっ! むぐ~!! エイルお姉ちゃん……」
エイルは勢いよくフランを抱きしめた。
「頑張ったね……、これからは私達が家族だからね……」
「エイルお姉ちゃん……」
「エイルさん……、そうですよね、私達が家族です!」
「……家族……私も?」
「もちろん!」
エイルにしばらく抱きしめられていたが、やっと解放された。
「あのあの、フラン君のあの力は魔術なの?」
「そうです。 僕は魔法が使えますが、氷の魔法しか使えません」
「でもあの魔法凄かったよね?」
「僕には魔法の制御装置がないため、あの魔法しか使えません。 使うと魔力が枯渇して気絶しちゃいます」
「そうなんだ。 じゃあじゃあ、制御装置があれば気絶しないのかな?」
「多分.…」
「……もしかしたら、ケンジ達が向かった遺跡に制御装置になりそうな物もあるかも知れない……」
「そうだね! フランも大丈夫そうだし、明日出発しましょう!」
「でも船のチケットは?」
「フランが凍らせて倒したサンドスコーピオンから針や素材が沢山取れたから、それを売って今は潤ってるから大丈夫よ」
エイルとアンは寝ているフランをルルアに任せて凍ったサンドスコーピオンの素材回収に行っていた。
「でも、フラン君はその魔法使っちゃダメダメだよ。 また倒れちゃうと困るし」
「わかったよルルアお姉ちゃん」
こうして、船のチケットを購入してケンジ達の後を追うのだった。
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