黎明の錬金技工術師《アルケミスター》と終焉の魔導機操者《アーティファクター》

かなちょろ

文字の大きさ
上 下
47 / 163
第三章 コロシアム

第四十七話 黄金の天秤

しおりを挟む
 ガスパに嵌められ、三人を賭けの対象とされてしまった。
 助けるにはガスパを倒すしか方法が無い。
 俺の攻撃はドーム場の黄金のバリアによって阻まれ、ガスパはストーンゴーレムを呼び出すが、そのストーンゴーレムはあっさりと倒し、ガスパに斬りかかった。

「これで終わりだ!」

 俺の剣は金色に輝くバリアに阻まれる。

「ひょっひょっひょっ! 無駄じゃよ。 ほれ見てみい」

 ガスパが指差すと、ストーンゴーレムが元に戻っている。
 さっき倒したはず! ……ならもう一度倒せばいい!
 俺は剣を振いストーンゴーレムを切り刻む。
 そしてガスパの方を見ると黄金の天秤の皿に、袋に入ったジルを積むと天秤がカタンと傾きガスパの周りに金色のバリアが現れストーンゴーレムが再生して行く。

「どうなってんだ!?」
「ひょっひょっ! 説明してやろう。 この黄金の天秤はゴーレムを召喚する。 しかもただのゴーレムでは無いぞい。 ジルを積めば積むだけ強くなるんじゃ! そしてゴーレムを倒さねばワシを攻撃する事は不可能。 まさにワシの為のアーティファクトじゃあ!!」

 ジルを積めば積むだけ強くなるだと!
 大富豪のガスパなら多少のジルを積んでも痛くも痒くも無いだろう。
 確かにガスパの為のアーティファクトってやつか。
 それなら……。

「何度だって倒すだけだーー!!」

 再生したゴーレムを何度も倒して行く。
 ゴーレムはガスパがジルを積み再生されると、少しずつ強くなっている感じがする。
 そして、何度目かの再生でゴーレムのに赤い一つ目、背中から腕が二本生え、腕が四本になる。
 動きは早く無いが、二本の腕だけ注意して戦っていると、背中の攻撃が躱しきれずに、なんとか防御するものの吹っ飛ばされた。

「ぐっ……、どれだけ懐にジルを持ってやがる……」
 
 ニヤニヤ笑っているガスパを見ると、「説明してやろう!」 と喋る気満々で前に出て来た。

「ワシのこの服は特注品でな! 懐のポケットはワシの大金庫へと繋がっておる。 つまり、大金庫のジルが空になるまでゴーレムの再生と強化は可能と言うわけじゃ! ひょーっ! ひょっひょっ!!」
「そうかい、ならその大金庫、空にしてやるぜ!」
「ワシと戦う奴らは皆そう言うが、勝てた者はおらん!」

 そうか、前にレアが調べた開かない扉の部屋が大金庫だったか!?

「……あの天秤もしかしたら【レリック】かも知れません!」
 
 今まで考えていたルルアが身を乗り出して叫ぶ!

「レリック……、ケンジ大丈夫かしら?」
「ご主人様なら大丈夫です。 あんな奴に負けませんよ」

 三人は俺を応援してくれている。
 負けるもんか!
 ゴーレムの四本腕から繰り出されるラッシュは避けるだけで精一杯。
 だが逃げながらガスパまで誘導する。

「お、おい、こっちにくるじゃない!」
「ゴーレムに言ってくれ!」

 そのままゴーレムを誘導してガスパの手前で飛び上がり、ゴーレムのラッシュ攻撃をガスパにぶつける。
 ゴーレムの攻撃で土煙が舞い、土煙からゴーレムが飛び出し攻撃してくる。
 ガスパはバリアに守られて傷一つ無い。

「驚かせおって……」

 やはりゴーレムを倒した瞬間、ガスパを攻撃するしか無いか……。
 だが、ゴーレムはガスパのバリアを攻撃して後ろの腕が一本砕けている。
 素早さでゴーレムを撹乱し、足を攻撃するとゴーレムはバランスを崩して倒れた。
 チャンス!
 ゴーレムを後ろから叩き斬ると崩れ、そのままガスパまで走る。
 が、既にガスパは天秤にジルを積んでいた。
 再生したゴーレムは体が大きくなり、赤い目は俺の動きを追うように動く。
 大きくなった分、スピードは遅くなるが、手が変化し鋭い刃と変わる。
 この位のスピードなら捌くのは難しく無い。
 ゴーレムの刃を捌き、隙をみて赤い瞳に剣を突き刺す。
 これで崩れ落ちるが、ガスパがジルを積みゴーレムがパワーアップして再生する。

 また腕が四本のゴーレムかよ!
 今度は腕が全て刃となる。
 剣で防ぎゴーレムの攻撃を掻い潜ると背後に周り斬りかかる。
 だがゴーレムの肩、背中から棘が出現し突然の出現で腕、足に突き刺さってしまう。

「ぐわっ!」

 地面に転がり、ゴーレムの刃での追い討ちを躱す。
 躱しながら転がりタイミングを見て態勢を整える。
 ラヴィンに比べたら遅い!
 ゴーレムの刃を全て砕き真っ二つにする。
 瞬間、ガスパにダッシュするがやはり間に合わない。

「なかなかしぶとい……。 だが、次のパワーアップしたゴーレムならどうじゃ! こいつを倒した者はおらん。 お前は倒せるかな?」

 ゴーレムは俺と同じ位のサイズになると、全身が黒くなり赤い目は二つとなる。
 ガチャガチャと音を立ててゆっくりと歩いてくる。
 そして更に金属音を鳴らし、走り出して向かって来た。

 俺の剣はゴーレムの体に弾かれた。
 こいつ、ストーンじゃ無くてアイアンゴーレムに変化してるのか!?
 全身鉄なのにスピードが上がっている!
 その拳は地面をえぐり、風を切る。
 俺と同等のスピードだ。
 しかもパワーはあっちの方が上か。
 押され始めている俺を見てガスパは笑っている。

「ひょーっひょっひょっ! ゴーレムよ! さっさと殺せ! もうすぐ……、もうすぐあの娘達がワシの物になるのじゃあああーー!」
 
 ガスパは勝ちを確信したのか、皆んなに聞こえるように叫んでいる。

「なるわけないでしょ!」
「当然です!」
「ご主人様以外の男に尽くすつもりはありません!」
 
 三人はその辺にある物をガスパに向かって投げ込んでいる。
 バリアで弾かれてるけどな。
 でも、確かにこんな奴に渡すつもりは……ないっ!
 防戦一方だったが、アイアンゴーレムに反撃開始だ!
しおりを挟む
ツギクルバナー
感想 6

あなたにおすすめの小説

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

処理中です...