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第一章 魔導機《アーティファクト》
第十七話 魔導獣
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迷子の少女を保護すると、その少女は皇子の妹さんだった。 レアの事が気に入ってしまい離さなかったので、ホンガンさんと共にお城へ。
無事に少女を返すと、ホンガンさんにお礼をしたいと言われ、今日は兵舎に向かう事になった。
西地区にある騎士団が沢山在中している兵舎に行くと、ホンガンさんは既に訓練場に行っているらしい。
俺達は訓練場に向かう。
「ここの訓練場って、いつ見てもコロシアムだよな」
「兵士の訓練だけでなく、模擬戦闘なんかもやるらしいですよ」
「騎士団って大変なんだな」
「騎士団は国を守り、守護盾は民衆を守るって言われてるんだよ」
「なるほどな……、お、いたいた。 ホンガンさん!」
「おお、よく来たな」
「それで……」
お礼の物だけもらおうとしたら、奥から二人の男性が歩いてくる。
一人は騎士団長の【ロイ】さんで、もう一人は……?
「おや? 君は確かケンジ君とエイルさん、それと……?」
そうか、レアと会うのは初めてか。
「お初にお目にかかります。 レアと申します」
レアはスカートの裾を摘んで持ち、お辞儀する。
レア、そんな丁寧な挨拶をどこで覚えたんだ?
「これはこれは、君がレアさんですか」
ロイさんと一緒にいた男性が、レアに声をかける。
「昨日は妹が世話になったね。 戻って来てからは君の話しばかりだったよ」
「昨日……? 妹……? ……って事は……、まさか!?」
「おっと、あまり大きな声は出さないでくれよ。 これでもお忍びで来ているのでね」
「これは失礼致しました」
まさか城で会う前にここで出会うとは……。
「かまわないさ。 ここでは普通に話してくれ」
「良いんですか?」
「言ったろ、お忍びだって」
ウインクしてくる皇子がイケメンすぎる。
「それで、今日はどうしてここに?」
ロイさんに聞かれ、ホンガンさんがお礼をくれると言うので来ましたと素直に言ってみた。
「ははは、それはそれは。 ホンガン、そんな事を言ったのかい?」
「え、ええ……、それでですね……ゴニョゴニョ……」
ホンガンさんはロイさんに耳打ちをしている。
何かいやな感じがする……。
「なるほどな。 それじゃ訓練場に出ようか?」
「訓練場にですか?」
ロイさんとホンガンさんに連れられてエイルと訓練場の真ん中に連れて行かれる。
その間、お忍びで来た男性はレアとずっと話している。
レアも嫌な顔一つせず丁寧に答えているな。
真ん中まで連れてこられると、ホンガンさんがデカい両手剣を鞘ごと地面に突き刺す。
「えと……、これは?」
「良いもんやると言ったろう。 それは騎士団との模擬戦だ。 魔生獣と戦うなら団体戦もやっておかないといけないからな」
「え!? 私も!?」
エイルはこんなはずでは無かったと驚きを隠せない。
ホンガンさん以外に騎士団の兵士が二人やってくる。
ロイさん達は訓練場から離れて行く。
「安心してくれて良いですよ。 私は見物しますから」
「レアさんはガルでは無いのですよね? でしたら私とこちらで見物でも致しませんか?」
このお忍びの皇なんとかさんはレアが気に入ったのか?
でもこれがお礼か?
「三対ニはちょっと部が悪く無いですか?」
遠くから聞いた事のある声が聞こえる。
「僕も参加しても良いですかね?」
歩いてくるのはマドルさんだ。
「良いですとも、これで三対三。 しかもガルの熟練者なら楽しめそうだ」
こうして、なんでかわからないけど、騎士団と守護盾との模擬戦が始まろうとしていた……。
「僕も参加させてくれないかな?」
客席に一人の少年がいる。
「誰だ、あの小僧は? 早く外に出せ」
ホンガンさんは他の兵士に伝え、兵士はその少年を捕まえようとするが……。
「ぐわっ!」
「がっ!」
捕まえようとした兵士は何をされたのか分からず倒れた。
「こんな雑魚じゃ僕の相手にはならないんだよ」
「おい! 貴様!」
ホンガンさんが少年の元に向かおうとすると、兵士が急ぎ走ってくる。
「大変です!!」
「なんだ!?」
「見た事の無い魔生獣が団体で王都に向かっていると報告がありました!」
「なんだと!!」
その報告は騎士団長のロイさん、お忍びの男性にも知らされる。
「魔生獣の団体……、スタンピードか!」
「直ぐに民衆を城まで避難させよ!」
「は!」
「騎士団は魔生獣に備え準備を!」
「は!」
「我々も直ぐに向かう。 皇子は城へ!」
「私も準備でき次第直ぐに向かおう。 それまで頼むぞ」
「お任せ下さい」
騎士団は皆んな魔生獣討伐に向かう為に、南地区に向かって行った。
「ケンジ、私たちも早く!」
「あ、ああ」
俺達もロイさん、ホンガンさん達と向かおうとするが……。
「ちょっとちょっと、僕を無視しないで欲しいな」
「今は貴様にかまっている暇など無い!」
「ちぇっ! せっかく邪魔者がいなくなったんだ。 少し遊ぼうよ」
「なに!?」
少年は結構な高さのある客席から軽々と飛び降りてくると、俺達の前に立ち塞がる。
「改めて……、僕は【ヴァルスケルハイト】の【シャッテ】と申します。 以後お見知り置きを……」
ヴァルスケルハイト? 聞いた事無いな。
「ヴァルスケルハイトだと……」
マドルさんは何か知っていそうだ。
「そのヴァルスケルハイトがなんだと言うのだ!」
「僕らヴァルスケルハイトがそろそろ動く時みたいでね。 皇子にも顔見せをしておこうと思って来たんだよ」
お忍びで来た皇子がこの場所にいる事を知っている?
「それで、そのヴァルスケルハイトのシャッテ君はなんの用でここに?」
ロイさんは皇子を守りながらシャッテに話す。
「僕が本当に用があるのは……そこの獣人なんだよね」
シャッテが指を差したのはレアだった。
「レアになんのようだ!」
「それはまだ言えないよ。 理由が聞きたかったらこいつを倒してみな」
シャッテが地に手をあてると、訓練場に見た事の無い幾何学模様の魔法陣が現れ、その魔法陣から黒い巨大な蛇が出現した。
「な、なんだと!」
ホンガンも巨大な蛇がいきなり現れ驚いている。
「これは……」
皇子もこんな魔生獣は見た事がないのだろう。
「皇子は私の後ろに!」
ロイさんはすかさず皇子を自分の後ろにする。
「こいつは【魔導獣】のアーマーサーペントさ」
「魔導獣……、そうか、今まで見た事の無い魔生獣は【魔導獣】と言うわけか」
マドルさんは既に弓を構えて攻撃態勢をとっている。
「へ~~、魔導獣と戦った事があるみたいだね。 でもこいつはその辺の魔導獣とは違うよ。 ま、説明もこの位で、頑張ってみてよ」
少年が指を鳴らすと、アーマーサーペントは近くにいたホンガンさんに大口を開けて噛みついて来る。
ホンガンさんは両手剣で向かってくるアーマーサーペントの顔を斬りつけるが、アーマーサーペントの名に相応しくホンガンさんの剣でも弾かれた。
「こいつ硬いぞ!」
「それは厄介だね」
マドルさんは何本か矢をすでに放っているが、背中、腹、頭、尻尾辺りともに矢が通らない。
勿論、その矢には風の魔法が付与され貫通力が上がっているはずなのにだ。
俺も剣で戦いに参加したいが、アーマーサーペントの巨体でも動きが早く、うまく間合いがつかめない。
コントロールの悪いエイルでもアーマーサーペントの巨体なら小型爆弾を当てられるが、ダメージになっていない。
「ほらほら、早く倒さないと外からくる魔導獣に攻め落とされちゃうよ」
シャッテは訓練場の一番高い場所に登って楽しそうに笑っている。
レアは皆んなの前で変身も出来ず、皇子に守られている。
「ケンジ殿、私が囮になる。 その隙にこの蛇の首を!」
「わかりました!」
俺は魔導法術機を起動させ!刀身に火を纏わせる。
「おおおお!!」
囮になったホンガンさんは気合を入れると、大口を開け牙を剥き出しでくるアーマーサーペントを真っ向から受け止める。
「ケンジ殿!」
「はい!」
俺は飛び上がり、アーマーサーペントの首辺りをめがけて剣を振り下ろす。
しかしこの硬さには弾かれてしまう。
やっぱり内部からじゃないと効果無いか……。
「エイル! 小型爆弾はあとどの位残ってる!?」
「え、あと……、五個!」
「全部くれ!」
「わかった!」
俺はエイルから小型爆弾を預かりに向かう。
マドルさんはその意図に気がついたのか、精霊術を使い光る玉がアーマーサーペントの気を晒す。
その間に俺はエイルから小型爆弾を預かる。
アーマーサーペントは精霊をかき蹴散らすと、体を回し尻尾を振り回す。
「ぐっは!!」
ホンガンさんが尻尾によって吹き飛ばされてしまった。
息はありそうだ。
次は俺に狙いをさだめ、大口を開けて突進してくる。
その口めがけて小型爆弾を投げ込むがアーマーサーペントは小型爆弾を全て飲み込んでしまい、爆発しない。
アーマーサーペントはそのままの勢いで向かってくる。
「これで……どうだ!!」
俺は魔導法術機に集中し、火の威力を高める。
その高めた火をアーマーサーペントが飲み込んだ小型爆弾めがけて撃ち放つ。
火は口の中に入り、爆発音が響くと、アーマーサーペントの牙が俺に届くギリギリで倒れ、塵となっていった。
「ケンジ大丈夫?」
「ああ、なんとか……」
「さすがだね、ケンジ君」
「よくやった、ケンジ殿」
皆んな結構疲れているが、早く騎士団が戦っている場所に急がないと……。
「あーあ、倒されるとはね……。 お兄さんもなかなか面白いね。 お兄さんの事は聞いてなかったからなあ……。 まあいいや、楽しかったし。 それじゃそろそろ、そこの獣人でももらって行こうかな」
シャッテはレアを見つめる。
「ふざけんな! お前の負けだ! 降りてこい!」
俺は剣でシャッテを差す。
ロイさんやホンガンさんもシャッテを睨む。
だが、マドルさんは何かを警戒している。
「ケンジ君、気をつけてください。 まだ何かありそうです……」
マドルさんは弓を構えたままだ。
「僕の用事はそこの獣人だけだから。 他の奴には用が無いんだよな。 邪魔するってんなら考えるけど?」
ロイも皇子もレアを守る。
「……、ふ~、しょうがないな……、じゃあ……、おいで!」
シャッテの言葉で、空の上から翼を広げた機械仕掛けの巨大な竜が現れた。
無事に少女を返すと、ホンガンさんにお礼をしたいと言われ、今日は兵舎に向かう事になった。
西地区にある騎士団が沢山在中している兵舎に行くと、ホンガンさんは既に訓練場に行っているらしい。
俺達は訓練場に向かう。
「ここの訓練場って、いつ見てもコロシアムだよな」
「兵士の訓練だけでなく、模擬戦闘なんかもやるらしいですよ」
「騎士団って大変なんだな」
「騎士団は国を守り、守護盾は民衆を守るって言われてるんだよ」
「なるほどな……、お、いたいた。 ホンガンさん!」
「おお、よく来たな」
「それで……」
お礼の物だけもらおうとしたら、奥から二人の男性が歩いてくる。
一人は騎士団長の【ロイ】さんで、もう一人は……?
「おや? 君は確かケンジ君とエイルさん、それと……?」
そうか、レアと会うのは初めてか。
「お初にお目にかかります。 レアと申します」
レアはスカートの裾を摘んで持ち、お辞儀する。
レア、そんな丁寧な挨拶をどこで覚えたんだ?
「これはこれは、君がレアさんですか」
ロイさんと一緒にいた男性が、レアに声をかける。
「昨日は妹が世話になったね。 戻って来てからは君の話しばかりだったよ」
「昨日……? 妹……? ……って事は……、まさか!?」
「おっと、あまり大きな声は出さないでくれよ。 これでもお忍びで来ているのでね」
「これは失礼致しました」
まさか城で会う前にここで出会うとは……。
「かまわないさ。 ここでは普通に話してくれ」
「良いんですか?」
「言ったろ、お忍びだって」
ウインクしてくる皇子がイケメンすぎる。
「それで、今日はどうしてここに?」
ロイさんに聞かれ、ホンガンさんがお礼をくれると言うので来ましたと素直に言ってみた。
「ははは、それはそれは。 ホンガン、そんな事を言ったのかい?」
「え、ええ……、それでですね……ゴニョゴニョ……」
ホンガンさんはロイさんに耳打ちをしている。
何かいやな感じがする……。
「なるほどな。 それじゃ訓練場に出ようか?」
「訓練場にですか?」
ロイさんとホンガンさんに連れられてエイルと訓練場の真ん中に連れて行かれる。
その間、お忍びで来た男性はレアとずっと話している。
レアも嫌な顔一つせず丁寧に答えているな。
真ん中まで連れてこられると、ホンガンさんがデカい両手剣を鞘ごと地面に突き刺す。
「えと……、これは?」
「良いもんやると言ったろう。 それは騎士団との模擬戦だ。 魔生獣と戦うなら団体戦もやっておかないといけないからな」
「え!? 私も!?」
エイルはこんなはずでは無かったと驚きを隠せない。
ホンガンさん以外に騎士団の兵士が二人やってくる。
ロイさん達は訓練場から離れて行く。
「安心してくれて良いですよ。 私は見物しますから」
「レアさんはガルでは無いのですよね? でしたら私とこちらで見物でも致しませんか?」
このお忍びの皇なんとかさんはレアが気に入ったのか?
でもこれがお礼か?
「三対ニはちょっと部が悪く無いですか?」
遠くから聞いた事のある声が聞こえる。
「僕も参加しても良いですかね?」
歩いてくるのはマドルさんだ。
「良いですとも、これで三対三。 しかもガルの熟練者なら楽しめそうだ」
こうして、なんでかわからないけど、騎士団と守護盾との模擬戦が始まろうとしていた……。
「僕も参加させてくれないかな?」
客席に一人の少年がいる。
「誰だ、あの小僧は? 早く外に出せ」
ホンガンさんは他の兵士に伝え、兵士はその少年を捕まえようとするが……。
「ぐわっ!」
「がっ!」
捕まえようとした兵士は何をされたのか分からず倒れた。
「こんな雑魚じゃ僕の相手にはならないんだよ」
「おい! 貴様!」
ホンガンさんが少年の元に向かおうとすると、兵士が急ぎ走ってくる。
「大変です!!」
「なんだ!?」
「見た事の無い魔生獣が団体で王都に向かっていると報告がありました!」
「なんだと!!」
その報告は騎士団長のロイさん、お忍びの男性にも知らされる。
「魔生獣の団体……、スタンピードか!」
「直ぐに民衆を城まで避難させよ!」
「は!」
「騎士団は魔生獣に備え準備を!」
「は!」
「我々も直ぐに向かう。 皇子は城へ!」
「私も準備でき次第直ぐに向かおう。 それまで頼むぞ」
「お任せ下さい」
騎士団は皆んな魔生獣討伐に向かう為に、南地区に向かって行った。
「ケンジ、私たちも早く!」
「あ、ああ」
俺達もロイさん、ホンガンさん達と向かおうとするが……。
「ちょっとちょっと、僕を無視しないで欲しいな」
「今は貴様にかまっている暇など無い!」
「ちぇっ! せっかく邪魔者がいなくなったんだ。 少し遊ぼうよ」
「なに!?」
少年は結構な高さのある客席から軽々と飛び降りてくると、俺達の前に立ち塞がる。
「改めて……、僕は【ヴァルスケルハイト】の【シャッテ】と申します。 以後お見知り置きを……」
ヴァルスケルハイト? 聞いた事無いな。
「ヴァルスケルハイトだと……」
マドルさんは何か知っていそうだ。
「そのヴァルスケルハイトがなんだと言うのだ!」
「僕らヴァルスケルハイトがそろそろ動く時みたいでね。 皇子にも顔見せをしておこうと思って来たんだよ」
お忍びで来た皇子がこの場所にいる事を知っている?
「それで、そのヴァルスケルハイトのシャッテ君はなんの用でここに?」
ロイさんは皇子を守りながらシャッテに話す。
「僕が本当に用があるのは……そこの獣人なんだよね」
シャッテが指を差したのはレアだった。
「レアになんのようだ!」
「それはまだ言えないよ。 理由が聞きたかったらこいつを倒してみな」
シャッテが地に手をあてると、訓練場に見た事の無い幾何学模様の魔法陣が現れ、その魔法陣から黒い巨大な蛇が出現した。
「な、なんだと!」
ホンガンも巨大な蛇がいきなり現れ驚いている。
「これは……」
皇子もこんな魔生獣は見た事がないのだろう。
「皇子は私の後ろに!」
ロイさんはすかさず皇子を自分の後ろにする。
「こいつは【魔導獣】のアーマーサーペントさ」
「魔導獣……、そうか、今まで見た事の無い魔生獣は【魔導獣】と言うわけか」
マドルさんは既に弓を構えて攻撃態勢をとっている。
「へ~~、魔導獣と戦った事があるみたいだね。 でもこいつはその辺の魔導獣とは違うよ。 ま、説明もこの位で、頑張ってみてよ」
少年が指を鳴らすと、アーマーサーペントは近くにいたホンガンさんに大口を開けて噛みついて来る。
ホンガンさんは両手剣で向かってくるアーマーサーペントの顔を斬りつけるが、アーマーサーペントの名に相応しくホンガンさんの剣でも弾かれた。
「こいつ硬いぞ!」
「それは厄介だね」
マドルさんは何本か矢をすでに放っているが、背中、腹、頭、尻尾辺りともに矢が通らない。
勿論、その矢には風の魔法が付与され貫通力が上がっているはずなのにだ。
俺も剣で戦いに参加したいが、アーマーサーペントの巨体でも動きが早く、うまく間合いがつかめない。
コントロールの悪いエイルでもアーマーサーペントの巨体なら小型爆弾を当てられるが、ダメージになっていない。
「ほらほら、早く倒さないと外からくる魔導獣に攻め落とされちゃうよ」
シャッテは訓練場の一番高い場所に登って楽しそうに笑っている。
レアは皆んなの前で変身も出来ず、皇子に守られている。
「ケンジ殿、私が囮になる。 その隙にこの蛇の首を!」
「わかりました!」
俺は魔導法術機を起動させ!刀身に火を纏わせる。
「おおおお!!」
囮になったホンガンさんは気合を入れると、大口を開け牙を剥き出しでくるアーマーサーペントを真っ向から受け止める。
「ケンジ殿!」
「はい!」
俺は飛び上がり、アーマーサーペントの首辺りをめがけて剣を振り下ろす。
しかしこの硬さには弾かれてしまう。
やっぱり内部からじゃないと効果無いか……。
「エイル! 小型爆弾はあとどの位残ってる!?」
「え、あと……、五個!」
「全部くれ!」
「わかった!」
俺はエイルから小型爆弾を預かりに向かう。
マドルさんはその意図に気がついたのか、精霊術を使い光る玉がアーマーサーペントの気を晒す。
その間に俺はエイルから小型爆弾を預かる。
アーマーサーペントは精霊をかき蹴散らすと、体を回し尻尾を振り回す。
「ぐっは!!」
ホンガンさんが尻尾によって吹き飛ばされてしまった。
息はありそうだ。
次は俺に狙いをさだめ、大口を開けて突進してくる。
その口めがけて小型爆弾を投げ込むがアーマーサーペントは小型爆弾を全て飲み込んでしまい、爆発しない。
アーマーサーペントはそのままの勢いで向かってくる。
「これで……どうだ!!」
俺は魔導法術機に集中し、火の威力を高める。
その高めた火をアーマーサーペントが飲み込んだ小型爆弾めがけて撃ち放つ。
火は口の中に入り、爆発音が響くと、アーマーサーペントの牙が俺に届くギリギリで倒れ、塵となっていった。
「ケンジ大丈夫?」
「ああ、なんとか……」
「さすがだね、ケンジ君」
「よくやった、ケンジ殿」
皆んな結構疲れているが、早く騎士団が戦っている場所に急がないと……。
「あーあ、倒されるとはね……。 お兄さんもなかなか面白いね。 お兄さんの事は聞いてなかったからなあ……。 まあいいや、楽しかったし。 それじゃそろそろ、そこの獣人でももらって行こうかな」
シャッテはレアを見つめる。
「ふざけんな! お前の負けだ! 降りてこい!」
俺は剣でシャッテを差す。
ロイさんやホンガンさんもシャッテを睨む。
だが、マドルさんは何かを警戒している。
「ケンジ君、気をつけてください。 まだ何かありそうです……」
マドルさんは弓を構えたままだ。
「僕の用事はそこの獣人だけだから。 他の奴には用が無いんだよな。 邪魔するってんなら考えるけど?」
ロイも皇子もレアを守る。
「……、ふ~、しょうがないな……、じゃあ……、おいで!」
シャッテの言葉で、空の上から翼を広げた機械仕掛けの巨大な竜が現れた。
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