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6章.隠された都市
9.
しおりを挟む「みなさんを追い出すと言うのが、一番、手っ取り早くて、分かりやすいかなと思いました」
ドンゴが続ける言葉にラテアは戸惑う。
「それを昨日、ご提案したかったんです」
きっぱりと言う。
「でもね。ちょっと考えが変わりました。どうせなら、みなさんに協力してもらった方が良いんじゃないかと」
「それはどういう…」
ラテアの戸惑いは続く。
「もし、みなさんが何かよからぬことを考えて、ここに来ているなら、追い出して、野放しにしても面倒になるでしょ」
ドンゴはにやりと笑った。
「だったら、私が目の届くところにいてもらった方がありがたい。もう、ひとつ。私は息子の事が心配なんですよ。あの子がこのまま、大人しくしているとは思えない。また、何かやり出すでしょう。その時にあの子を危険な目にあわせたくない」
「…監視でもしろと?」
「いえいえいえ、監視では無く、温かく見守って頂くだけで良いんです」
一緒だろうとラテアは思ったが何も言わなかった。
「どうです?」
「私たちに利点はあるんですか?」
ラテアは少し考えながら言った。
「もちろん。私が協力できることは何でもしますよ。ああ、この街を襲撃するから、その手伝いをしろなんてのは無理ですけど、出来る事なら何でもしますよ」
それは願っても無い事だとラテアは思いながら、
「私、一人の判断では決められません」
とだけ告げた。
「それはもちろんです。みなさんと相談して決めてください。でも、良いご返事を期待しています」
有無を言わせない迫力をラテアは感じた。
ドンゴとの会話を終えたラテアはそのまま部屋に戻った。結局、屋敷の探索は出来なかった。しかし、今はそれ以上に考える事があった。ドンゴの提案をどうするかだ。最終的には、サントが決める事だろうとは思う。ただ、ラテアはその提案に乗るべきだと考えた。何の返事も期待せずにあった事をリアリに話す。リアリは前と変わらず聞き流しているようだった。話し終えると、改めて利点は多いと感じた。同様に危険があるというのも否定できない。
「ああいうのは、お互いに利用し合っていると感じるぐらいの方が信頼できる」
呟くようにリアリが言った。一瞬、空耳かと思ったが、それはリアリが発した言葉だった。確かに、その通りだとラテアは思った。相手を上手く利用する事が出来るのか、ドンゴとやり取りして感じた事ではある。でも、この街で果たさなければいけない事を考えれば、そんな事を気にしてはいけないのかもしれない。ラテアはそう思った。
ドンゴが続ける言葉にラテアは戸惑う。
「それを昨日、ご提案したかったんです」
きっぱりと言う。
「でもね。ちょっと考えが変わりました。どうせなら、みなさんに協力してもらった方が良いんじゃないかと」
「それはどういう…」
ラテアの戸惑いは続く。
「もし、みなさんが何かよからぬことを考えて、ここに来ているなら、追い出して、野放しにしても面倒になるでしょ」
ドンゴはにやりと笑った。
「だったら、私が目の届くところにいてもらった方がありがたい。もう、ひとつ。私は息子の事が心配なんですよ。あの子がこのまま、大人しくしているとは思えない。また、何かやり出すでしょう。その時にあの子を危険な目にあわせたくない」
「…監視でもしろと?」
「いえいえいえ、監視では無く、温かく見守って頂くだけで良いんです」
一緒だろうとラテアは思ったが何も言わなかった。
「どうです?」
「私たちに利点はあるんですか?」
ラテアは少し考えながら言った。
「もちろん。私が協力できることは何でもしますよ。ああ、この街を襲撃するから、その手伝いをしろなんてのは無理ですけど、出来る事なら何でもしますよ」
それは願っても無い事だとラテアは思いながら、
「私、一人の判断では決められません」
とだけ告げた。
「それはもちろんです。みなさんと相談して決めてください。でも、良いご返事を期待しています」
有無を言わせない迫力をラテアは感じた。
ドンゴとの会話を終えたラテアはそのまま部屋に戻った。結局、屋敷の探索は出来なかった。しかし、今はそれ以上に考える事があった。ドンゴの提案をどうするかだ。最終的には、サントが決める事だろうとは思う。ただ、ラテアはその提案に乗るべきだと考えた。何の返事も期待せずにあった事をリアリに話す。リアリは前と変わらず聞き流しているようだった。話し終えると、改めて利点は多いと感じた。同様に危険があるというのも否定できない。
「ああいうのは、お互いに利用し合っていると感じるぐらいの方が信頼できる」
呟くようにリアリが言った。一瞬、空耳かと思ったが、それはリアリが発した言葉だった。確かに、その通りだとラテアは思った。相手を上手く利用する事が出来るのか、ドンゴとやり取りして感じた事ではある。でも、この街で果たさなければいけない事を考えれば、そんな事を気にしてはいけないのかもしれない。ラテアはそう思った。
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