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5章.盗賊見習いと竜見習い
2.
しおりを挟むハレンパルスから、アリアドットへは直線距離で見れば、それほど離れてはいない。ただし、途中にあるパミロア山を越えて行かなければならず、そこが難所とされていた。道が険しいのはもちろんのことだが、山に生息する魔物、更にその辺りを根城にしている盗賊も多くいると言われている。
盗賊に関しては、アリアドットにむやみに人が近づかないように雇われているという話があるくらいで、うまく避けて見つからないようにする必要があった。そういう道を進んでいかないとアリアドットにたどり着く事は出来ない。
大きく迂回して進む道と言うのもある事にはあった。そちらの方が良く知られている道でもある。ただし、その道だと、かなりの日数を要する上、その道でも、別の山を越えなければならなかった。当然、その山でも、盗賊の心配をする必要が完全に無くなる訳では無かった。パミロア山と比較すれば、危険性は少ないと言われているが、日数との関係を考えれば、そこまで優位と言える道でも無かった。それだったら、日数が掛からない方を選択した方が良いとサントたちは判断した。
何の問題もなければ、十日ほどで着く距離だった。旅慣れていないリラがいたとしても山道で余計に二、三日掛かるぐらいで、十五日は掛からない。遠回りした場合は倍以上の日数が掛かることを考えると、その判断は妥当だと思われた。
アリアドットへ向かう途中で気になるのは、盗賊でその情報をちゃんと入手できるかが重要になると、旅慣れたファムは言う。大雑把な情報はギルドで得る事が出来たが、詳しい情報となるとほとんど得られておらず、情報は不足していた。その情報を得るために、麓の村を訪れる事をファムは提案した。
少しだけ遠回りになるが、本格的に山に入る前に必要な情報を得る事が出来るのは貴重だったし、ゆっくりと休める場所があった方が良いと主張した。サントは余計な日数が掛かるのが気になったが、その提案に自分が焦ってしまっているのかもしれないと気が付いた。確かに真実を早く解明したいという気持ちがあったが、そのために必要以上の危険を冒す事はないと思い、ファムの提案に賛成する事にした。
何よりも、アリアドットに、ただ、たどり着く事が目的では無かった。鈍色鼠の調査をする事が目的で、アリアドットにたどり着いてからが本番になる。その時に万全の状態でなければ意味が無いのだ。その事を忘れないようにしないといけないと、サントは自覚した。
盗賊に関しては、アリアドットにむやみに人が近づかないように雇われているという話があるくらいで、うまく避けて見つからないようにする必要があった。そういう道を進んでいかないとアリアドットにたどり着く事は出来ない。
大きく迂回して進む道と言うのもある事にはあった。そちらの方が良く知られている道でもある。ただし、その道だと、かなりの日数を要する上、その道でも、別の山を越えなければならなかった。当然、その山でも、盗賊の心配をする必要が完全に無くなる訳では無かった。パミロア山と比較すれば、危険性は少ないと言われているが、日数との関係を考えれば、そこまで優位と言える道でも無かった。それだったら、日数が掛からない方を選択した方が良いとサントたちは判断した。
何の問題もなければ、十日ほどで着く距離だった。旅慣れていないリラがいたとしても山道で余計に二、三日掛かるぐらいで、十五日は掛からない。遠回りした場合は倍以上の日数が掛かることを考えると、その判断は妥当だと思われた。
アリアドットへ向かう途中で気になるのは、盗賊でその情報をちゃんと入手できるかが重要になると、旅慣れたファムは言う。大雑把な情報はギルドで得る事が出来たが、詳しい情報となるとほとんど得られておらず、情報は不足していた。その情報を得るために、麓の村を訪れる事をファムは提案した。
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何よりも、アリアドットに、ただ、たどり着く事が目的では無かった。鈍色鼠の調査をする事が目的で、アリアドットにたどり着いてからが本番になる。その時に万全の状態でなければ意味が無いのだ。その事を忘れないようにしないといけないと、サントは自覚した。
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