47 / 155
4章.竜の研究者
7.
しおりを挟む
翌日、早速、ロットフートの洞窟に向かう事になった。一番乗り気だったのは、ラテアでもしかしたら珍しい鉱物が見つかるのではないかと期待しているようだった。リラも洞窟探検と言う未知の場所の探索が楽しみだったようだ。ファムは昨日から続いて不機嫌のままだったが、洞窟探索の危険性を考えれば行かないという選択肢はないと考えていたようだった。サントはリラ同様洞窟を探検できるというのが結局は楽しみだと感じていた。
ロットフートの洞窟の洞窟の入り口は広く、中も比較的広かった。途中まで開発が行われたという事で、整備された道が続いていた。途中、いくつか分岐する道があったが、そのいずれもが開発のために掘られた道のようで、バナの話では行き止まりがほとんどだという。洞窟の中に魔物が住み着いているという話だったが、バナとサントたちの合わせて五人と言う数を警戒してか、襲われる事は無かった。様子を伺っているような気配を感じる部分もあったが、それだけだった。
しばらく、奥に進んだ後、少し細い道へと入る。その先で干からびた魔物の死骸が見つかったという、自然と緊張感が高まる。先頭をファムとサントが進み、その後に道を案内しながら、バナとリラが続き、最後尾にラテアと言う順番で洞窟を進んでいった。細い道に入ってから、魔物の気配と言うのをより強く感じられた。ファムは少し神経質になっているようで、慎重に進んでいる。その様子を見て、サントはもしかして、暗闇を怖がっているのではと思ったが、言うと怒られそうなので、黙ったまま進んでいった。
細い道も先に進むと、少し膨らんでちょっとしたスペースになっているところにたどり着いた。どうやら、採掘が行われた場所のようで壁が削られているのが分かった。ラテアは興味深そうにその壁を見ている。
「何か珍しい物なんですか」
リラが聞く。
「物としては、そこまで珍しい物では無いけど、こういう洞窟に来る事はあまりないから、天然の姿で見ると面白いなと思って」
壁を触りながら言う。
「何でも良いよ。ここがその場所かい?」
ファムは壁には興味なさそうに言った。少し広い所に出て落ち着いているようだった。
「いや、もう少し先にここよりもっと広い所があって、そっちの方です」
まだ、先に進む必要があると知って、ちょっと顔をしかめるファム。と、奥の方から、何か音が聞こえてきた。金属がぶつかるような音がしていた。
「あの音は?」
サントはバナに聞く。
「分かりません。魔物か、それとも他の誰かが来ているのかもしれないです」
と、小さな爆発音も聞こえてきた。
「戦っている?」
「多分な」
サントとリラはそう結論付けるとファムと共に音のする方向に向かった。
「ええっと」
「私たちも行きましょう」
戸惑うバナに対して、ラテアが声を掛けて、奥へと向かった。
ロットフートの洞窟の洞窟の入り口は広く、中も比較的広かった。途中まで開発が行われたという事で、整備された道が続いていた。途中、いくつか分岐する道があったが、そのいずれもが開発のために掘られた道のようで、バナの話では行き止まりがほとんどだという。洞窟の中に魔物が住み着いているという話だったが、バナとサントたちの合わせて五人と言う数を警戒してか、襲われる事は無かった。様子を伺っているような気配を感じる部分もあったが、それだけだった。
しばらく、奥に進んだ後、少し細い道へと入る。その先で干からびた魔物の死骸が見つかったという、自然と緊張感が高まる。先頭をファムとサントが進み、その後に道を案内しながら、バナとリラが続き、最後尾にラテアと言う順番で洞窟を進んでいった。細い道に入ってから、魔物の気配と言うのをより強く感じられた。ファムは少し神経質になっているようで、慎重に進んでいる。その様子を見て、サントはもしかして、暗闇を怖がっているのではと思ったが、言うと怒られそうなので、黙ったまま進んでいった。
細い道も先に進むと、少し膨らんでちょっとしたスペースになっているところにたどり着いた。どうやら、採掘が行われた場所のようで壁が削られているのが分かった。ラテアは興味深そうにその壁を見ている。
「何か珍しい物なんですか」
リラが聞く。
「物としては、そこまで珍しい物では無いけど、こういう洞窟に来る事はあまりないから、天然の姿で見ると面白いなと思って」
壁を触りながら言う。
「何でも良いよ。ここがその場所かい?」
ファムは壁には興味なさそうに言った。少し広い所に出て落ち着いているようだった。
「いや、もう少し先にここよりもっと広い所があって、そっちの方です」
まだ、先に進む必要があると知って、ちょっと顔をしかめるファム。と、奥の方から、何か音が聞こえてきた。金属がぶつかるような音がしていた。
「あの音は?」
サントはバナに聞く。
「分かりません。魔物か、それとも他の誰かが来ているのかもしれないです」
と、小さな爆発音も聞こえてきた。
「戦っている?」
「多分な」
サントとリラはそう結論付けるとファムと共に音のする方向に向かった。
「ええっと」
「私たちも行きましょう」
戸惑うバナに対して、ラテアが声を掛けて、奥へと向かった。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
【完結】結婚前から愛人を囲う男の種などいりません!
つくも茄子
ファンタジー
伯爵令嬢のフアナは、結婚式の一ヶ月前に婚約者の恋人から「私達愛し合っているから婚約を破棄しろ」と怒鳴り込まれた。この赤毛の女性は誰?え?婚約者のジョアンの恋人?初耳です。ジョアンとは従兄妹同士の幼馴染。ジョアンの父親である侯爵はフアナの伯父でもあった。怒り心頭の伯父。されどフアナは夫に愛人がいても一向に構わない。というよりも、結婚一ヶ月前に破棄など常識に考えて無理である。無事に結婚は済ませたものの、夫は新妻を蔑ろにする。何か勘違いしているようですが、伯爵家の世継ぎは私から生まれた子供がなるんですよ?父親?別に書類上の夫である必要はありません。そんな、フアナに最高の「種」がやってきた。
他サイトにも公開中。
さようなら、私の初恋。あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
最強幼女は惰眠を求む! 〜神々のお節介で幼女になったが、悠々自適な自堕落ライフを送りたい〜
フウ
ファンタジー
※30話あたりで、タイトルにあるお節介があります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
これは、最強な幼女が気の赴くままに自堕落ライフを手に入を手に入れる物語。
「……そこまでテンプレ守らなくていいんだよ!?」
絶叫から始まる異世界暗躍! レッツ裏世界の頂点へ!!
異世界に召喚されながらも神様達の思い込みから巻き込まれた事が発覚、お詫びにユニークスキルを授けて貰ったのだが…
「このスキル、チートすぎじゃないですか?」
ちょろ神様が力を込めすぎた結果ユニークスキルは、神の域へ昇格していた!!
これは、そんな公式チートスキルを駆使し異世界で成り上が……らない!?
「圧倒的な力で復讐を成し遂げる?メンド臭いんで結構です。
そんな事なら怠惰に毎日を過ごす為に金の力で裏から世界を支配します!」
そんな唐突に発想が飛躍した主人公が裏から世界を牛耳る物語です。
※やっぱり成り上がってるじゃねぇか。 と思われたそこの方……そこは見なかった事にした下さい。
この小説は「小説家になろう」 「カクヨム」でも公開しております。
上記サイトでは完結済みです。
上記サイトでの総PV1000万越え!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる