竜探しのお話

hachijam

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4章.竜の研究者

5.

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「私たち、竜を探しているんです」

リラが率直に言った。

「はい、私も探しています」

バナはそう言うと笑顔を浮かべたまま話を続けた。

「どこまで信じるかというのは難しい所なのですが、竜に関する噂話がこれだけあるという事は、竜はまだ存在しているという可能性は高いと私は思っています。ただの願望と言われてしまうとそれまでなんですけど、どこかには必ずいるだろうと思っています。ただ、どこにいるというはっきりした事は残念ながら分かっていないというのが正直なところです。結局、ひとつひとつ地道にその噂が本当かどうかを確かめないといけないという事になっています。ただ…」

「ただ?」

「噂を確かめるというのもなかなか大変で、情報を集める事も大変なんですが、確認するためには現地に行ったり、検証したりといろいろとあるんです」

「確かに…」

「まあ、作業自体はそれが楽しいから別に良いんですが、やっぱり先立つものが…。最近はそっちの方でどうするかばかり考えていますよ」

そう言えば、自分たちが来たとき借金取りに間違えられたのをサントは思い出した。この研究室を見ても金銭的に恵まれているとは思えなかった。一瞬、場が暗くなる。

「ははは、そんな訳でいろいろと苦労していて、なかなか研究が進んでいないというのが実情です」

その場の空気を感じてか、誤魔化すように笑ってバナは言った。

結局、いくつか噂話を聞く事は出来たが、どれが役に立つ情報なのかは良く分からなかった。期待していた情報は得られなかったとサントたちは少し落胆する。

「あの話をしてあげたらどうだい?」

「あの話?」

ルメが言った言葉にバナが反応する。

「ロットフートの洞窟の話だよ」

「ああ、怪物の…。ん、そうか、でも…」

「何かあるんですか?」

そのやり取りが気になったラテアが尋ねた。

「えぇ。でもな…」

「丁度、良いじゃないか。協力してもらえば、お互い様だろ」

「うーん」

「そういう割り切りが出来ないからダメなんだよ。そもそもね…」

「ああ、分かりました」

ルメの長い説教が始まりそうになる気配を察してか、バナはさえぎるようにそう言った。ただ、それでも躊躇しているようでチラチラとサントたちの様子を伺った。

「良いから、話しなさい」

ルメは、はっきりしないバナを怒るようにそう言った。

「分かりましたよ」

ため息をつくようにそういうと、バナは話を始めた。それはこの近くにあるロットフートと言う洞窟に関する噂話だった。
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