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スパゲッティのお店の夢
4.
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「そう言えば、また、変な夢を見ちゃって」
そう言ったのは三ヶ嶋君だった。
「何、今度はどういうお姫様が出てきたの?」
と、早速茶化す充。
「いやいや、そうでは無くて」
軽く充をいなしながら話を続ける。それはこんな話だった。とても高い山、イメージとしては富士山みたいだ、に昇ろうとしている三ヶ嶋君。大きなリュックを背負って山道を進むと二つの分かれ道があった。片方は楽だけどとても長い道、片方は険しいけど短い道、それぞれの道の入り口には番人が立っている。どっちの道を選んだら良いのか悩んでいたら、長い道の番人は短い道を、短い道の番人は長い道を、それぞれ自分が番人をしている道とは逆の道を勧めて来たのだという。てっきり、自分が番人をしている道の方を勧めると思っていた三ヶ嶋君はどうしたら良いのか更に悩んでしまった。長い時間悩んでいたら、両方の番人に呆れられ、そんなに悩むなら帰れと言われて、結局、元来た道を帰ったというお話だった。
「あれだな。迷っている事があって、その解決策が分かっているのに、自分では解決したくないってことだな」
何だか偉そうに充が講釈を垂れた。
「なるほど」
三ヶ嶋君が妙に納得した顔をした。僕も充が思い付きで言った割にはピッタリと当てはまっている気もしていた。
「ひとつ、気になるとすれば、その番人かな」
と偉そうに充は続けた。
「番人?」
と僕は聞いてみた。
「そう、その番人が誰かって事だね」
ますます、充は調子に乗ったようだ。
「番人ねぇ」
三ヶ嶋君は番人が誰だったか思い出そうとしているみたいだった。
「きっと、自分では越えられない憧れの人だったんだろう。だから、挑戦する事を止めたんだな」
「じゃあ、何で、その番人は自分の道を勧めなかったの?」
と、僕は聞いてみた。
「憧れはあるけど、確信はないというところじゃないか。だから迷って、結局、帰ったという感じじゃないか」
辻褄が合うような合わないような事を言う。もっといろいろと質問すればだんだんと答えが厳しくなってくるだろう。更にいろいろと突っ込んでやろうかと思ったけど、あまりいじめるとかわいそうなので、そこら辺でやめておく事にした。
「あー、そうかなるほどな」
と、三ヶ嶋君が何かを思い出したように言った。僕と充がその声に驚くと
「門番が誰だったか思い出した」
「誰?」
と興味を示す充。そんな充と僕を三ヶ嶋君は指さした。
「お前ら二人だな。そうか、俺はお前ら二人に憧れているんだ」
そう言って三ヶ嶋君は笑った。
そう言ったのは三ヶ嶋君だった。
「何、今度はどういうお姫様が出てきたの?」
と、早速茶化す充。
「いやいや、そうでは無くて」
軽く充をいなしながら話を続ける。それはこんな話だった。とても高い山、イメージとしては富士山みたいだ、に昇ろうとしている三ヶ嶋君。大きなリュックを背負って山道を進むと二つの分かれ道があった。片方は楽だけどとても長い道、片方は険しいけど短い道、それぞれの道の入り口には番人が立っている。どっちの道を選んだら良いのか悩んでいたら、長い道の番人は短い道を、短い道の番人は長い道を、それぞれ自分が番人をしている道とは逆の道を勧めて来たのだという。てっきり、自分が番人をしている道の方を勧めると思っていた三ヶ嶋君はどうしたら良いのか更に悩んでしまった。長い時間悩んでいたら、両方の番人に呆れられ、そんなに悩むなら帰れと言われて、結局、元来た道を帰ったというお話だった。
「あれだな。迷っている事があって、その解決策が分かっているのに、自分では解決したくないってことだな」
何だか偉そうに充が講釈を垂れた。
「なるほど」
三ヶ嶋君が妙に納得した顔をした。僕も充が思い付きで言った割にはピッタリと当てはまっている気もしていた。
「ひとつ、気になるとすれば、その番人かな」
と偉そうに充は続けた。
「番人?」
と僕は聞いてみた。
「そう、その番人が誰かって事だね」
ますます、充は調子に乗ったようだ。
「番人ねぇ」
三ヶ嶋君は番人が誰だったか思い出そうとしているみたいだった。
「きっと、自分では越えられない憧れの人だったんだろう。だから、挑戦する事を止めたんだな」
「じゃあ、何で、その番人は自分の道を勧めなかったの?」
と、僕は聞いてみた。
「憧れはあるけど、確信はないというところじゃないか。だから迷って、結局、帰ったという感じじゃないか」
辻褄が合うような合わないような事を言う。もっといろいろと質問すればだんだんと答えが厳しくなってくるだろう。更にいろいろと突っ込んでやろうかと思ったけど、あまりいじめるとかわいそうなので、そこら辺でやめておく事にした。
「あー、そうかなるほどな」
と、三ヶ嶋君が何かを思い出したように言った。僕と充がその声に驚くと
「門番が誰だったか思い出した」
「誰?」
と興味を示す充。そんな充と僕を三ヶ嶋君は指さした。
「お前ら二人だな。そうか、俺はお前ら二人に憧れているんだ」
そう言って三ヶ嶋君は笑った。
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