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冬
3.
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その電話が掛かってきたのは、年が明けてからだった。冬休みに入ってから私は必死に勉強しようとしたけど、なかなか思ったようには捗らなかった。夏とは違い、予備校には通っていない。短期集中で最後の追い込みと言う冬期講習と言うのもあったけど、それは必要ないと思ったからだ。その時の状態を考えれば、申し込んで無理矢理にでも勉強漬けの方が良かったのかもと思ったけど、申し込みの時にはそこまで自分が追い込まれる状況と言うのを想像していなかった。
むしろ、少し気分を楽にして、受験に備えるという心づもりだった。だから、彼からのその電話を少し鬱陶しいと感じてしまった。明けましておめでとうと、本当にそう思っているのか分からない感じでの挨拶。何となく、彼が苦笑いしているのを感じた。また、八つ当たりしている気分になり、少しイライラしてしまう。
彼は多分、それに気が付いていると思うと、余計にイライラしてきた。でも、彼はそんな私の態度にめげず、初詣に行かないと誘ってきた。寒いし風邪ひくと大変だしと、良く分からない理由で断ろうとしたら、彼は一言大丈夫だと言い、強引に行く事を決められてしまった。
その時、どういう気持ちだったのかを表現するのは難しい。断ろうと思っていたくらいだから、嫌だなと言う気持ちが強かったのは事実だ。でも、電話を切った後、ちょっとホッとしているような、安心しているような自分がいた事も事実だった。何か良く分からなくなってきた。これで受験に失敗したら、彼のせいにしてやるなんて事を思ったら、凄く楽な気分になれた。
電話の後、少し集中して勉強する事が出来た。彼と初詣に行くなら、その分、勉強しておかないといけないと思ったからだ。
初詣に行った日は少しうす曇りで寒い日だった。初詣だから着物で何て事は当然なく、寒いから風邪ひかないように厚着して行きなさいと親に言われ、何だか雪だるまのような恰好をしている気になる。冬だから元々厚着なんだけど、無理にもう一枚着ている感じだ。おかげで寒さは和らいでいるけど、コロコロと転がりそうな自分の姿を想像してちょっと恥ずかしくなる。
彼に何て言われるだろうなんて事が気になってしまった。電話があったから、ちょっと話したけど、冬休みに入ってからは会っていない。そういうのを意識する事もなかったと思う。それが良いのか悪いのかは良く分からないけど、寒い中、待つのは嫌だなと思いながらも五分前には待ち合わせの場所についていた。
むしろ、少し気分を楽にして、受験に備えるという心づもりだった。だから、彼からのその電話を少し鬱陶しいと感じてしまった。明けましておめでとうと、本当にそう思っているのか分からない感じでの挨拶。何となく、彼が苦笑いしているのを感じた。また、八つ当たりしている気分になり、少しイライラしてしまう。
彼は多分、それに気が付いていると思うと、余計にイライラしてきた。でも、彼はそんな私の態度にめげず、初詣に行かないと誘ってきた。寒いし風邪ひくと大変だしと、良く分からない理由で断ろうとしたら、彼は一言大丈夫だと言い、強引に行く事を決められてしまった。
その時、どういう気持ちだったのかを表現するのは難しい。断ろうと思っていたくらいだから、嫌だなと言う気持ちが強かったのは事実だ。でも、電話を切った後、ちょっとホッとしているような、安心しているような自分がいた事も事実だった。何か良く分からなくなってきた。これで受験に失敗したら、彼のせいにしてやるなんて事を思ったら、凄く楽な気分になれた。
電話の後、少し集中して勉強する事が出来た。彼と初詣に行くなら、その分、勉強しておかないといけないと思ったからだ。
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彼に何て言われるだろうなんて事が気になってしまった。電話があったから、ちょっと話したけど、冬休みに入ってからは会っていない。そういうのを意識する事もなかったと思う。それが良いのか悪いのかは良く分からないけど、寒い中、待つのは嫌だなと思いながらも五分前には待ち合わせの場所についていた。
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