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hachijam

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学園祭の前の日の帰り道、いつもと同じように彼女と一緒だった。僕は彼女に一緒に学園祭を回らないかと提案してみた。彼女はちょっと驚いた表情をする。そんなに意外な提案だったのかなと思う。どうしようか少し考えているようだった。

彼女が考えている理由と言うのは分かる気がする。僕と彼女が付き合っているというのは、クラスでは何となくは伝わっている。でも、それをわざわざはアピールしていないし、普段、教室で話すというのも、理由があれば別だけど、無ければ、わざわざは会話していない。その中で、二人きりで回るというのは、アピールするようで恥ずかしいという感じだろう。それはそうだ。彼女が考えている姿を見て、言わなければ良かったかなと思ったけど、もうすでに言った後ではどうにもならない。

彼女は少し考えた後、友達と回る約束があると言う。それじゃあ、仕方ないなと思っていたら、少しだけだったら、大丈夫かもと言った。無理に時間作らなくても良いよと言いそうになったけど、言わなかった。何となく、彼女が無理にでも時間を作ると言いたそうにしていると感じたからだ。僕もそうして欲しい気持ちがあった。ちなみに僕は何の予定もしていない。教室でじっとして時間をつぶしそうな気もしたし、暇つぶしでウロウロするぐらいだろうと考えていた。

どこを回るのと聞いたら、出来れば全部と即答してきた。それはそれで大変そうだなと思ったけど、確かにそれだけの時間はありそうだ。体育館でバンドのライブと言うのもあるみたいで、それも見に行くらしい。

何でも学校で一番格好良い男子が組んだバンドと言うのがあるそうで、それを見に行くみたいだ。ちょっと悪戯っぽく笑ったのは、僕がちょっと不機嫌な表情をしたからかもしれない。彼氏いるのに格好良い男子のバンドを見に行くのかと思ったのが表情に出ていたのかもしれない。いや、別に嫉妬している訳じゃないけど、同じ高校の男子を格好良いと言われると、容姿に自信が無い僕は、やっぱり、気になってしまう。

そういうのを嫉妬と呼ぶかもしれない。彼女は、友達が見に行きたいって言ってから付き合うだけだよと言っていた。その言い方を聞くと、本当にそうなんだろうけど、でもなと思う気持ちはあった。そういうのを見破られているんだなと彼女の表情を見て思う。図星だけど少し悔しい。

でも、とりあえず、約束が出来た事は間違いない。これで学園祭当日が楽しみになると思ったりした。
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