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幕間1.
1.
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運転席に座り、ふーっと息を吐く。まだ、運転に慣れているとは言えない、教習所で言われた手順で運転前の確認。こういうのをしないといけないと思ってしまうのが、いかにも初心者と言う感じだと思った。
「大丈夫。落ち着いて、ゆっくりやれば良い」
わざわざ、言葉にしてみる。それで少し落ち着いた。免許を取ってから、何度か運転はしたけど、本格的な遠出と言うのは初めてだった。道は確認した。ナビもあるから大丈夫なはずだ。とりあえず、彼の家までたどり着けるかが少し不安だ。
彼の家までは一人で行く。それが不安な理由のひとつだった。これまでは助手席に誰かを乗せていた。免許持っている父親が一緒の時は安心だったし、運転しない母親でも隣にいれば安心は出来た。でも、今回は一人だ。
その不安は、必ずしも運転の事だけでは無い。それも分かっている。でも、今はそれを考えない。考える余裕はなかった。その方が安心するというのも変な感じがした。
「良し」
そう気合をいれて言う。カギをさしてエンジンを掛ける。エンジンが掛かるとちょっと落ち着いた気分になる。もう一度、大きく息を吐いてアクセルに足を掛ける。
「良し」
もう一度そう言う。ゆっくりとアクセルを踏んで、車が動き出した。
待ち合わせの場所が僕の家と聞いて、最初は意味が良く分からなかった。迎えに行くからという話を聞いて、車と言うのがすぐに浮かんだ。受験が終わったら、免許を取りたいと言っていたのを思い出す。無事に取れたんだと思う。
もしかして、内緒にして驚かせたいという事なんだろうけど、バレバレな気もした。気が付かないふりをした方が良いんだろうか。だから、あまり深い事を尋ねる事はしなかった。道分かるのかなと思ったけど、運転するぐらいだから、大丈夫なんだろうと思う事にした。聞いたら、それこそ僕が気が付いている事がすぐに分かってしまうだろう。
でも、待ち合わせの時間になっても彼女は来ない。少し、心配になったら、電話が掛かってきた。
「近くのコンビニにいるんだけど…」
そう彼女は言う。ちょっとがっかりしたような、どこか不安そうな声に聞こえた。僕は短く
「分かった」
と言うと、そのコンビニに向かった。コンビニの駐車場には水色の小さな車が止まっていた。運転席に彼女の姿が見えた。
「驚かせようと思ったんだけどな」
上手くたどり着けなかった事が悔しそうに、でも、僕の顔を見て、少し安心したような表情をして彼女が言った。
「大丈夫。落ち着いて、ゆっくりやれば良い」
わざわざ、言葉にしてみる。それで少し落ち着いた。免許を取ってから、何度か運転はしたけど、本格的な遠出と言うのは初めてだった。道は確認した。ナビもあるから大丈夫なはずだ。とりあえず、彼の家までたどり着けるかが少し不安だ。
彼の家までは一人で行く。それが不安な理由のひとつだった。これまでは助手席に誰かを乗せていた。免許持っている父親が一緒の時は安心だったし、運転しない母親でも隣にいれば安心は出来た。でも、今回は一人だ。
その不安は、必ずしも運転の事だけでは無い。それも分かっている。でも、今はそれを考えない。考える余裕はなかった。その方が安心するというのも変な感じがした。
「良し」
そう気合をいれて言う。カギをさしてエンジンを掛ける。エンジンが掛かるとちょっと落ち着いた気分になる。もう一度、大きく息を吐いてアクセルに足を掛ける。
「良し」
もう一度そう言う。ゆっくりとアクセルを踏んで、車が動き出した。
待ち合わせの場所が僕の家と聞いて、最初は意味が良く分からなかった。迎えに行くからという話を聞いて、車と言うのがすぐに浮かんだ。受験が終わったら、免許を取りたいと言っていたのを思い出す。無事に取れたんだと思う。
もしかして、内緒にして驚かせたいという事なんだろうけど、バレバレな気もした。気が付かないふりをした方が良いんだろうか。だから、あまり深い事を尋ねる事はしなかった。道分かるのかなと思ったけど、運転するぐらいだから、大丈夫なんだろうと思う事にした。聞いたら、それこそ僕が気が付いている事がすぐに分かってしまうだろう。
でも、待ち合わせの時間になっても彼女は来ない。少し、心配になったら、電話が掛かってきた。
「近くのコンビニにいるんだけど…」
そう彼女は言う。ちょっとがっかりしたような、どこか不安そうな声に聞こえた。僕は短く
「分かった」
と言うと、そのコンビニに向かった。コンビニの駐車場には水色の小さな車が止まっていた。運転席に彼女の姿が見えた。
「驚かせようと思ったんだけどな」
上手くたどり着けなかった事が悔しそうに、でも、僕の顔を見て、少し安心したような表情をして彼女が言った。
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