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春
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告白されて、返事して、僕たちは付き合う事になった。でも、付き合う事になって、何をしたら良いのかと言うのが良く分からなかった。彼女もそんな感じだった。恋愛ドラマだとどんな感じなんだろうとか思ったけど、参考になりそうな知識と言うのは僕にはなかった。彼女にあったのかも疑問だ。
とりあえず、という感じで、一緒に帰るのが日常になったというのが、僕たちの始まりだった。クラスメイトに知られて良いのかと言うのが、ひとつ迷うところだった。別に悪い事をしている訳ではないから良いのだけど、わざわざ、今日から付き合う事になりましたとアピールするのも変だろう。
自然に何となく知られるぐらいがちょうどいいと思う。彼女もそんな感じだった。そういう意味では、僕も彼女もクラスから特別に注目されている存在ではなかったから、多分、付き合っているいないは、瞬間的に盛り上がる話題にはなっても、基本的にはそんなに興味を惹かれる話題にはならないだろうと思った。
何となく、あの二人、仲がいいよねぐらいな感じで、伝われば、それが一番かもしれないと思った。だから、一緒に帰るのにひと手間加えた。図書室で一時間ほど、勉強してから帰る事にしたのだ。僕も彼女も受験組なので、高校三年生になって、受験勉強を本格的に始めたと考えれば、それほど不自然では無かったし、僕自身、先の事を考えれば、勉強をした方が良いと思っていたのも事実で、丁度、良い事でもあった。
ちなみに成績で言えば、僕の方が少し良かったりする。ただ、僕は英語が苦手で、彼女は理系だけど、英語は苦労しないタイプだった。
席は隣に座っていたけど、勉強中はほとんど会話をする事は無かった。苦手な英語を教えて欲しいという気持ちは少しあったけど、どうやら、僕は人に教わる事、特に同年代の人にと言うのが苦手らしく、彼女も人に説明するのが得意でも無いようで、お互いに別々に勉強する方が効率が良いと思ったからだ。
帰り道はよく喋った。何を喋ったのか、そう言われると覚えていないほど、普通の会話をしていた気がする。高校生なので、学校の話題が多かったと思うけど、昨日見たテレビの話とか、そんな他愛もない話だったと思う。覚えているのは、そういう話が自然と出来ていたという事だった。最初の二、三日は変に意識して緊張してしまったけど、ちょっと慣れると普通に会話出来ていた。仲の良い友達と話しているのと同じ感覚と言ったら、変だろうか。でも、それが一番分かりやすい気がする。
とりあえず、という感じで、一緒に帰るのが日常になったというのが、僕たちの始まりだった。クラスメイトに知られて良いのかと言うのが、ひとつ迷うところだった。別に悪い事をしている訳ではないから良いのだけど、わざわざ、今日から付き合う事になりましたとアピールするのも変だろう。
自然に何となく知られるぐらいがちょうどいいと思う。彼女もそんな感じだった。そういう意味では、僕も彼女もクラスから特別に注目されている存在ではなかったから、多分、付き合っているいないは、瞬間的に盛り上がる話題にはなっても、基本的にはそんなに興味を惹かれる話題にはならないだろうと思った。
何となく、あの二人、仲がいいよねぐらいな感じで、伝われば、それが一番かもしれないと思った。だから、一緒に帰るのにひと手間加えた。図書室で一時間ほど、勉強してから帰る事にしたのだ。僕も彼女も受験組なので、高校三年生になって、受験勉強を本格的に始めたと考えれば、それほど不自然では無かったし、僕自身、先の事を考えれば、勉強をした方が良いと思っていたのも事実で、丁度、良い事でもあった。
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