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第19章
厳しい現実のなかで、それでも夢を叶えようと動き続ける者たちー第19の課題解答編ー
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クリエイターさんたちの働き方は様々だ。
副業として働いている人もいれば
クリエイティブ1本で生活している人もいる。
専業クリエイターだとしても、おそらく
収入レベルはピンきりだろう。
日本だと平均年収は350万程度だったはずだ。
せめてその程度はあってほしいという希望も込めて
僕は「350万くらい」という答えを口にした。
僕の返事に対して魔王様は
すぐに答えを返そうとはしなかった。
しばらく間があってから
魔王様の口から具体的なデータが語られた。
「実際のところ、上位1%程度の者は印税で年に7000万程度は
稼ぐと言われておる。残りは平均280万じゃったか」
99%の年収が平均280万、ということは
おそらく年収100万円台の人も一定数はいるのだろう。
誰かを養うどころか、一人が生きていくだけでも
苦労する額だ。
実際、僕とやりとりしているクリエイターさんのなかには
クリエイティブだけでは食べていけないからとバイトをしている人もいる。
副業の人も多いから仕方ない面もあるけれど
やっぱり厳しい世界だと言わざるを得ない。
と思っていた僕に、魔王様は爆弾をぶつけてきた。
「ちなみに先程挙げた年収の例は、職業作家として商業本を出しているか
企業に就職している者たちの話じゃ。副業だけのクリエイターは含まぬぞ」
副業レベルのクリエイターを除いても
その程度の年収だという事実は、僕にとっても衝撃だった。
デビューを果たすまでに、苦労を重ねて
やっとの思いで本を出して、それでも稼ぎは平均年収を下回る。
そんな実情はさすがに酷すぎるように思えた。
「いくら夢を描こうと、誰もが生活がある。当たり前のことじゃな。
ゆえに、いくら能力があっても経済的な理由から挫折するクリエイターは多い」
単なる一般論ではなく、多くのクリエイターと接してきた
魔王様だからこそ、自分の体験として語って下さっているのだろう。
いつもより饒舌な口調には、静かな熱量がこめられている。
「全ての者を救おうなどという気はない。それでも…
我らのような魔物と本気で手を組む仲間たちを、本気で応援する。
そんな仕組みをビジネスとして作っていきたいと思うのよ」
夢のような話だと思った。
そんなビジネスの仕組みが本当に実現できるのか?
僕には具体的なビジョンは何も見えてこない。
けれど、きっと魔王様は実現可能性を見越して
その夢を現実のものにするために今も動いているのだろう。
「…ふう、少し語りすぎたな」
魔王様の休息時間はどうやら終わりらしい。
椅子を立って、オフィスを出ていこうとする魔王様が
不意に僕の方へと振り向いた。
そして問う。
「この先、お主はどんな夢を描くのじゃろうな?」
僕の夢は、何だっただろう?
かつて勤めた工場で、親友と語りあった夢を覚えている。
いつかちっぽけな工場を抜け出そう。
そして、自分でビジネスを立ち上げて成功しよう。
会社経営なんて何も分かっていなかった頃の
妄想みたいな夢を分け合いながら、日々を過ごした。
そんな記憶も、今はもう遠い。
魔王の会社に入社できて、魔王様や色んな方の指導を受けて
僕の夢はきっとあの頃の何倍も現実に近づいたと思う。
でも当時の夢は、あくまでも当時の僕にとっての夢だ。
今の僕の夢は、なんだろう。
この人生で何を成し遂げたいと願うのか。
そして未来の僕は、どんな夢を叶えているのだろう。
自分の思考に浸っていた僕は、ポケットの中で
震えている携帯に気づかなかった。
親友からの久々の着信。
その内容は、僕が無意識にずっと恐れていたものだった。
=====
<×月×日 気づきノート>
厳しい現実の中で、それでも夢を叶える人達がいる。
才能もあるだろうけれど、一番は覚悟、なんだろうか?
他の何かを捨ててでも夢のために全てを注ぐ。
その覚悟が、僕にはあるだろうか?
=====
副業として働いている人もいれば
クリエイティブ1本で生活している人もいる。
専業クリエイターだとしても、おそらく
収入レベルはピンきりだろう。
日本だと平均年収は350万程度だったはずだ。
せめてその程度はあってほしいという希望も込めて
僕は「350万くらい」という答えを口にした。
僕の返事に対して魔王様は
すぐに答えを返そうとはしなかった。
しばらく間があってから
魔王様の口から具体的なデータが語られた。
「実際のところ、上位1%程度の者は印税で年に7000万程度は
稼ぐと言われておる。残りは平均280万じゃったか」
99%の年収が平均280万、ということは
おそらく年収100万円台の人も一定数はいるのだろう。
誰かを養うどころか、一人が生きていくだけでも
苦労する額だ。
実際、僕とやりとりしているクリエイターさんのなかには
クリエイティブだけでは食べていけないからとバイトをしている人もいる。
副業の人も多いから仕方ない面もあるけれど
やっぱり厳しい世界だと言わざるを得ない。
と思っていた僕に、魔王様は爆弾をぶつけてきた。
「ちなみに先程挙げた年収の例は、職業作家として商業本を出しているか
企業に就職している者たちの話じゃ。副業だけのクリエイターは含まぬぞ」
副業レベルのクリエイターを除いても
その程度の年収だという事実は、僕にとっても衝撃だった。
デビューを果たすまでに、苦労を重ねて
やっとの思いで本を出して、それでも稼ぎは平均年収を下回る。
そんな実情はさすがに酷すぎるように思えた。
「いくら夢を描こうと、誰もが生活がある。当たり前のことじゃな。
ゆえに、いくら能力があっても経済的な理由から挫折するクリエイターは多い」
単なる一般論ではなく、多くのクリエイターと接してきた
魔王様だからこそ、自分の体験として語って下さっているのだろう。
いつもより饒舌な口調には、静かな熱量がこめられている。
「全ての者を救おうなどという気はない。それでも…
我らのような魔物と本気で手を組む仲間たちを、本気で応援する。
そんな仕組みをビジネスとして作っていきたいと思うのよ」
夢のような話だと思った。
そんなビジネスの仕組みが本当に実現できるのか?
僕には具体的なビジョンは何も見えてこない。
けれど、きっと魔王様は実現可能性を見越して
その夢を現実のものにするために今も動いているのだろう。
「…ふう、少し語りすぎたな」
魔王様の休息時間はどうやら終わりらしい。
椅子を立って、オフィスを出ていこうとする魔王様が
不意に僕の方へと振り向いた。
そして問う。
「この先、お主はどんな夢を描くのじゃろうな?」
僕の夢は、何だっただろう?
かつて勤めた工場で、親友と語りあった夢を覚えている。
いつかちっぽけな工場を抜け出そう。
そして、自分でビジネスを立ち上げて成功しよう。
会社経営なんて何も分かっていなかった頃の
妄想みたいな夢を分け合いながら、日々を過ごした。
そんな記憶も、今はもう遠い。
魔王の会社に入社できて、魔王様や色んな方の指導を受けて
僕の夢はきっとあの頃の何倍も現実に近づいたと思う。
でも当時の夢は、あくまでも当時の僕にとっての夢だ。
今の僕の夢は、なんだろう。
この人生で何を成し遂げたいと願うのか。
そして未来の僕は、どんな夢を叶えているのだろう。
自分の思考に浸っていた僕は、ポケットの中で
震えている携帯に気づかなかった。
親友からの久々の着信。
その内容は、僕が無意識にずっと恐れていたものだった。
=====
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才能もあるだろうけれど、一番は覚悟、なんだろうか?
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その覚悟が、僕にはあるだろうか?
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