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第12章
状況や目的に応じて、適切な日本語で表そうー第12の課題:限定ラジオからの企画書作成 整文編ー
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書き起こしが終わったところで
ゲーテさんに進捗を含めて報告することにした。
「だいたい所要時間、二時間ってとこだね」
目標時間からは大幅オーバーだ。
けれど、まるで予想していたかのように、ゲーテさんは淡々としている。
「次の整文はどのくらい掛かるだろうねー
時間はかかっていいからさ、一発合格狙ってみてよ!がんばって~]
ひらひらっと手を振るゲーテさんは、相変わらず笑っている。
そのニヤついた表情に、また胸の内がもやっとした。
文章を整えるだけなら、そんなに時間が掛かるとも思えない。
今度こそ、すぐに作業を終えて一発合格してやろうと決めた。
やることは、文章を整える。
たったそれだけのこと。
“ええと”などの不要な言葉を削るのは簡単だった。
添削の用語では、ケバ取りといわれるプロセスらしい。
ただ問題は、文章を整えるということだ。
そのままでも意味は分かる。なのにどう整えろというのだろう?
まずは、全体を“ですます調“に統一してみた。
この部分は、ゲーテさんからすでにヒントを頂いていた。
問題はこの先だ。
なんとなく、このまま提出してはダメなことは分かる。
けれど、どこをどう直せばいいか全く自信がもてなかった。
ああでもない、こうでもないと自分なりに整文をしてみて
2時間が経ち、精一杯のところまでは出来上がった。
これ以上取り組んでも改善できるとは思えない。
時間がかかりすぎていることもあって
僕はいったん原稿を提出することにした。
運が良ければ、一発合格できるだろうか。
なんて思いはあっさりと崩れ去る。
ゲーテさんは一通り目を通したとたんに、眉をしかめた。
「ううーん…あのさ~口語と文語の違い分かってる?」
口語?文語?
僕の頭の中にハテナがいくつも浮かぶ。
文語って、昔習った漢文とか古文のたぐいだろうか?
僕が苦手だった科目だ。
明らかに分かっていない表情の僕に、ゲーテさんの目つきが厳しくなる。
「これからオフィスを出るところだから、軽く説明するね」
身支度を整えながら、ゲーテさんが教えてくれたのは
次のようなことだった。
口語と文語とは、話し言葉と書き言葉のこと。
文章を書く際には、これらを意識して使い分ける必要がある。
例えば、“いろんな“という口語は“色々な“という文語で書き表すし
“起きれる“のような「ら抜き言葉」も省略せずに正しく書く必要がある。
「この原稿は口語と文語が入り混じってるのよね」
原稿を何箇所か指さしてゲーテさんは次々と指摘していく。
「例えばこことかこことか…修正箇所が多いから、まずは自分で調べて。
時間をかけてもいいから、文語にきっちり統一してね。じゃないとお客様に出せないから」
口語が混じっているだけで、お客様に出せないのか。
思っていたより面倒だし、正直細かい。
そこまでしなくちゃいけないのか、という思いが
どうやら表情に出ていたらしい。
「細かすぎると思う?じゃあ明日までにコレも考えておいて」
=====
<第12の課題>
Q.なぜ公式の文章を書く時に口語と文語を混ぜてはいけないのか?
=====
提出した原稿を数枚コピーしてから、ゲーテさんはコピーの方を
かばんのファイルに追加する。
「答えは明日ちょーだい!じゃ行ってきま~す」
問いだけ残して、ゲーテさんはオフィスの玄関から
小走りでどこかに行ってしまった。
おそらくリアルでの商談か打ち合わせが入っているのだろう。
「口語と文語、かあ…」
ネットで調べてみると、口語と文語の間違い例が大量に見つかった。
全てを覚えるのは到底無理そうだったので、書き起こし原稿と照らし合わせつつ
気になった箇所をひとつひとつ調べていくことにした。
ふと窓を見れば、もう日は暮れている。
なれない調べ物でぐったりだ。
コーヒーを一口飲んでから、ラジオ体操の要領で
体を捻って大きめに動かす。
その動きで、ポケットから携帯が床に飛んでいく。
「うわ、液晶割れてないよな…ってあれ、メールだ」
幸い携帯は無事だった。
液晶画面には、懐かしい相手からのメール着信通知が光っている。
「うわあ、元気にしてるかな」
メールの差出人は、僕の親友ともいうべき人からだった。
魔王の会社に入ったことを僕は家族の誰にも伝えなかった。
とにかく今の自分の環境で集中したくて、家族には詳細は伝えず、ただ
住んでいる場所と簡単な仕事内容だけを伝えていた。
けれど、ひとりだけ。
以前の職場で同僚だった僕の親友にだけは、執事さんとの出会いから入社までの
経緯を全て、僕の思いとともに話していた。
僕にとって、親友は同志ともいうべき人だった。
いつかこのちっぽけな工場を抜け出して
何かを成しとげたい
僕らの思いはきっと、同じベクトルを向いていた。
だからこそ、魔王の会社に入るという僕の人生を賭けた挑戦を
きっと彼だけは理解してくれるだろうと思ったのだ。
入社してからしばらく互いに連絡をとっていなかった。
僕だってそれどころではなかったし、相手には相手の生活がある。
すぐにメールを見ようか迷ってやめた。
どうせならゆっくり落ち着いてから読みたかった。
「まずは口語と文語、なんとかしなくちゃ」
プライベートのメールを読むのは、その後だ。
=====
<第12の課題のヒント>
①意図的に小説などで口語を文語に混ぜて使うことはある
②今回の書き起こしと成文は「何のため」の作業だろうか?
今回の課題は、文章を書くことになれているひとなら基礎の内容かもしれない。
あっさりと分かった人は、僕が企画書を作り上げるまでにどれだけの時間がかかったのか?
ここまでの経緯をもとに改めて予想してみるのもいいだろう。
=====
ゲーテさんに進捗を含めて報告することにした。
「だいたい所要時間、二時間ってとこだね」
目標時間からは大幅オーバーだ。
けれど、まるで予想していたかのように、ゲーテさんは淡々としている。
「次の整文はどのくらい掛かるだろうねー
時間はかかっていいからさ、一発合格狙ってみてよ!がんばって~]
ひらひらっと手を振るゲーテさんは、相変わらず笑っている。
そのニヤついた表情に、また胸の内がもやっとした。
文章を整えるだけなら、そんなに時間が掛かるとも思えない。
今度こそ、すぐに作業を終えて一発合格してやろうと決めた。
やることは、文章を整える。
たったそれだけのこと。
“ええと”などの不要な言葉を削るのは簡単だった。
添削の用語では、ケバ取りといわれるプロセスらしい。
ただ問題は、文章を整えるということだ。
そのままでも意味は分かる。なのにどう整えろというのだろう?
まずは、全体を“ですます調“に統一してみた。
この部分は、ゲーテさんからすでにヒントを頂いていた。
問題はこの先だ。
なんとなく、このまま提出してはダメなことは分かる。
けれど、どこをどう直せばいいか全く自信がもてなかった。
ああでもない、こうでもないと自分なりに整文をしてみて
2時間が経ち、精一杯のところまでは出来上がった。
これ以上取り組んでも改善できるとは思えない。
時間がかかりすぎていることもあって
僕はいったん原稿を提出することにした。
運が良ければ、一発合格できるだろうか。
なんて思いはあっさりと崩れ去る。
ゲーテさんは一通り目を通したとたんに、眉をしかめた。
「ううーん…あのさ~口語と文語の違い分かってる?」
口語?文語?
僕の頭の中にハテナがいくつも浮かぶ。
文語って、昔習った漢文とか古文のたぐいだろうか?
僕が苦手だった科目だ。
明らかに分かっていない表情の僕に、ゲーテさんの目つきが厳しくなる。
「これからオフィスを出るところだから、軽く説明するね」
身支度を整えながら、ゲーテさんが教えてくれたのは
次のようなことだった。
口語と文語とは、話し言葉と書き言葉のこと。
文章を書く際には、これらを意識して使い分ける必要がある。
例えば、“いろんな“という口語は“色々な“という文語で書き表すし
“起きれる“のような「ら抜き言葉」も省略せずに正しく書く必要がある。
「この原稿は口語と文語が入り混じってるのよね」
原稿を何箇所か指さしてゲーテさんは次々と指摘していく。
「例えばこことかこことか…修正箇所が多いから、まずは自分で調べて。
時間をかけてもいいから、文語にきっちり統一してね。じゃないとお客様に出せないから」
口語が混じっているだけで、お客様に出せないのか。
思っていたより面倒だし、正直細かい。
そこまでしなくちゃいけないのか、という思いが
どうやら表情に出ていたらしい。
「細かすぎると思う?じゃあ明日までにコレも考えておいて」
=====
<第12の課題>
Q.なぜ公式の文章を書く時に口語と文語を混ぜてはいけないのか?
=====
提出した原稿を数枚コピーしてから、ゲーテさんはコピーの方を
かばんのファイルに追加する。
「答えは明日ちょーだい!じゃ行ってきま~す」
問いだけ残して、ゲーテさんはオフィスの玄関から
小走りでどこかに行ってしまった。
おそらくリアルでの商談か打ち合わせが入っているのだろう。
「口語と文語、かあ…」
ネットで調べてみると、口語と文語の間違い例が大量に見つかった。
全てを覚えるのは到底無理そうだったので、書き起こし原稿と照らし合わせつつ
気になった箇所をひとつひとつ調べていくことにした。
ふと窓を見れば、もう日は暮れている。
なれない調べ物でぐったりだ。
コーヒーを一口飲んでから、ラジオ体操の要領で
体を捻って大きめに動かす。
その動きで、ポケットから携帯が床に飛んでいく。
「うわ、液晶割れてないよな…ってあれ、メールだ」
幸い携帯は無事だった。
液晶画面には、懐かしい相手からのメール着信通知が光っている。
「うわあ、元気にしてるかな」
メールの差出人は、僕の親友ともいうべき人からだった。
魔王の会社に入ったことを僕は家族の誰にも伝えなかった。
とにかく今の自分の環境で集中したくて、家族には詳細は伝えず、ただ
住んでいる場所と簡単な仕事内容だけを伝えていた。
けれど、ひとりだけ。
以前の職場で同僚だった僕の親友にだけは、執事さんとの出会いから入社までの
経緯を全て、僕の思いとともに話していた。
僕にとって、親友は同志ともいうべき人だった。
いつかこのちっぽけな工場を抜け出して
何かを成しとげたい
僕らの思いはきっと、同じベクトルを向いていた。
だからこそ、魔王の会社に入るという僕の人生を賭けた挑戦を
きっと彼だけは理解してくれるだろうと思ったのだ。
入社してからしばらく互いに連絡をとっていなかった。
僕だってそれどころではなかったし、相手には相手の生活がある。
すぐにメールを見ようか迷ってやめた。
どうせならゆっくり落ち着いてから読みたかった。
「まずは口語と文語、なんとかしなくちゃ」
プライベートのメールを読むのは、その後だ。
=====
<第12の課題のヒント>
①意図的に小説などで口語を文語に混ぜて使うことはある
②今回の書き起こしと成文は「何のため」の作業だろうか?
今回の課題は、文章を書くことになれているひとなら基礎の内容かもしれない。
あっさりと分かった人は、僕が企画書を作り上げるまでにどれだけの時間がかかったのか?
ここまでの経緯をもとに改めて予想してみるのもいいだろう。
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☆第12回ドリーム小説大賞エントリー中☆
お読み頂き、ありがとうございます。毎日20時頃に更新していきます。
「面白い!」「続きが気になる…」と思われた方はぜひ、「お気に入り登録」頂ければうれしいです。
感想頂けた方には必ずお返事をさせて頂きます!
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「面白い!」「続きが気になる…」と思われた方はぜひ、「お気に入り登録」頂ければうれしいです。
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