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第8章
他者を紹介するときの「紹介しやすさ」を決める要素は何かー第八の課題:Twitter紹介企画ー
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ヒトを理解することはとても難しい。
何を求めているのか、何が好きなのか、上っ面ならともかく
本当に知ろうと思うと、思考が迷宮に入っていく。
「まるで哲学だよなあ」
Twitterの画面を見ながら会食の相手に応じた話題選びを
イメージトレーニングしてた僕は、大きくため息をついた。
TwitterにしてもHPにしても、書かれていることが本当とは限らない。
ブランディング上大げさに書いていたり、キャラクターが本来とは違ったり
…といったことはよくある話だ。
それでも、限られた情報から会う前に相手を知るのは極めて難しい。
「前の課題、相手の情報を聞けてたとしても合格できたかどうか…」
あらためて、この前の音声収録課題のハードさを思い知る。
誰かを知ることは、本当に難しい。
「そう、難しいものよな?」
背後から聞こえてきた声に僕はびくりと体を震わせた。
「あのう、気配を消して、背後から現れる、やめて頂けませんか、魔王様」
気づきを頂けるのはありがたいのだが、そのたびに
心臓に負荷をかけられてはたまらない。
僕の抗議を魔王様は笑って受け流した。
なんとなく楽しげに見えるのは気のせいだろうか。
「ところで、おぬしにまかせておるTwitter運用で一つ提案をしたいのじゃが」
僕のもたれかかっていた椅子にさらに体重を加えながら
魔王様はある企画について話し始めた。
「いわゆる紹介企画を、おぬしも本気でやってみてはどうかの?」
Twitterでの紹介企画というと、たとえばRTやリプといった条件を満たした人の
アカウント紹介をする企画のことだろう。
単純にアカウントのリンクだけをまとめて紹介するだけのものから
紹介文をつけてその人のよさを丁寧に紹介するものまで様々だ。
「本気で、というと、紹介文を僕が書くってことですよね?」
魔王様に念のため意図を確認する。
以前、個人アカウントである紹介企画に参加したことはあったものの
ユーザー名を羅列されただけのツイートを見て、「これって紹介なのかな」と
少し微妙な気持ちになったのを覚えている。
本気で紹介、というのなら当然そんなやり方をするわけにはいかない。
「そう、我が社の一員として本気で相手のことを理解し、紹介してみよ」
僕の問いかけに、魔王様は満足気に頷く。
そして、企画の注意点について詳しく僕に教えてくださった
今回の企画は「相手を深く知り、喜んでもらう紹介」を
することがキモになる。
そのためには、相手のことをきちんと理解しなくてはならない。
まさに僕が課題としていた部分だ。
「相手のプロフィールだけでは当然足りぬ。ツイートやブログなど情報はたくさんあるぞ。
今この瞬間、相手は自分のどんな面を紹介されたらうれしいのか、考えることじゃ」
なんとこの紹介企画、過去の別アカウントで
魔王様や執事さんも実際にやってみたことがあるらしい。
「今回は…そうじゃな、応募期間は2日、最大50人としよう」
最大50人となると、結構な数だ。
それだけの相手に対して、本気で紹介をしていく。
間違いなく、大変だ。
それでも、相手にとってはあくまで一対一のつながり。
かつての僕みたいに、「せっかく参加したのにがっかり」なんて
気持ちにさせないように、丁寧に向き合いたいと思った。
「あくまでも一提案。やるかどうかは任せるが…本気で取り組めば得られるものがあろう」
ひらひらと手を振りながら、魔王様はオフィスを出て行った。
「やらない選択肢は、ないな、よし!」
魔王様や執事さんが過去にやったという紹介企画の内容を確認してから
僕は自分なりに文面を考え、さっそく募集をかけていくことにした。
企画の立て方が悪かったのか、まだまだフォロワーさんが少なめだからか
2日で集まった応募は13名。
正直に言おう。
50名マックスで応募が来ていたら、僕は間違いなくパンクしていただろう。
紹介文を考えるのは、本当に大変だった。
その人の情報を隅々まで目を通し、喜んでもらえる
紹介文を作るまでには最低2~3時間はかかる。
特に、僕が詳しくない業界の方だと
まずお仕事内容を理解するだけで一苦労だ。
「地獄か」なんて、思わずつぶやいたこともある。
それでも1人1人と本気で向き合っていくと、様々な発見があったし
紹介ツイートをした後の方々の反応もうれしかった。
「ありがとうございます!」「うれしいです」といった声が
最後のツイートをし終えるまでの僕の励みだった。
「やっと終わったーーーー!」
13人目の紹介ツイートを送信しおえて、僕は大きく息を吐いた。
自分にお疲れさまと言ってやりたい気分だった。
「たった13人とはいえ、色んな人に応募頂けたよなあ」
振り返ってみると、個性ある方々に応募頂けたように思う。
魔王の会社に興味を持って下さる方々だから、ちょっと変わり者が多いのかも
というのは考えすぎだろうか。
とにかく終わったのだ。
目を閉じて軽くまぶたを押さえる。
「…ん?」
ポケットの中で、ぶるりとスマホが震えた。
魔王様からのメールだ。
「なになに…」
短いメールには、僕への労いと質問が一つ書かれていた。
詳しくは明日、出社してから気づきを報告するようにとのことだ。
「紹介しにくかった相手、か」
=====
<第八の課題>
Q.Twitterの紹介企画で最も紹介しにくいアカウントの特徴とは何か?
=====
僕の脳裏には、どうしても紹介文がうまく作れなくて
後回しにしてしまったあるアカウントが思い浮かんだ。
どのアカウントが紹介しにくかったかだけを報告するのは容易い。
でも、この質問の意図は、なんだろう?
=====
<第八の課題のヒント>
①初見のアカウントであっても、紹介しにくいとは限らない
②今回の僕は、相手をきちんと紹介するために
過去の発信をできる限り遡ってチェックしていた
以上をふまえて、僕に質問をしてきた魔王様の意図もぜひ見抜いてほしい。
=====
何を求めているのか、何が好きなのか、上っ面ならともかく
本当に知ろうと思うと、思考が迷宮に入っていく。
「まるで哲学だよなあ」
Twitterの画面を見ながら会食の相手に応じた話題選びを
イメージトレーニングしてた僕は、大きくため息をついた。
TwitterにしてもHPにしても、書かれていることが本当とは限らない。
ブランディング上大げさに書いていたり、キャラクターが本来とは違ったり
…といったことはよくある話だ。
それでも、限られた情報から会う前に相手を知るのは極めて難しい。
「前の課題、相手の情報を聞けてたとしても合格できたかどうか…」
あらためて、この前の音声収録課題のハードさを思い知る。
誰かを知ることは、本当に難しい。
「そう、難しいものよな?」
背後から聞こえてきた声に僕はびくりと体を震わせた。
「あのう、気配を消して、背後から現れる、やめて頂けませんか、魔王様」
気づきを頂けるのはありがたいのだが、そのたびに
心臓に負荷をかけられてはたまらない。
僕の抗議を魔王様は笑って受け流した。
なんとなく楽しげに見えるのは気のせいだろうか。
「ところで、おぬしにまかせておるTwitter運用で一つ提案をしたいのじゃが」
僕のもたれかかっていた椅子にさらに体重を加えながら
魔王様はある企画について話し始めた。
「いわゆる紹介企画を、おぬしも本気でやってみてはどうかの?」
Twitterでの紹介企画というと、たとえばRTやリプといった条件を満たした人の
アカウント紹介をする企画のことだろう。
単純にアカウントのリンクだけをまとめて紹介するだけのものから
紹介文をつけてその人のよさを丁寧に紹介するものまで様々だ。
「本気で、というと、紹介文を僕が書くってことですよね?」
魔王様に念のため意図を確認する。
以前、個人アカウントである紹介企画に参加したことはあったものの
ユーザー名を羅列されただけのツイートを見て、「これって紹介なのかな」と
少し微妙な気持ちになったのを覚えている。
本気で紹介、というのなら当然そんなやり方をするわけにはいかない。
「そう、我が社の一員として本気で相手のことを理解し、紹介してみよ」
僕の問いかけに、魔王様は満足気に頷く。
そして、企画の注意点について詳しく僕に教えてくださった
今回の企画は「相手を深く知り、喜んでもらう紹介」を
することがキモになる。
そのためには、相手のことをきちんと理解しなくてはならない。
まさに僕が課題としていた部分だ。
「相手のプロフィールだけでは当然足りぬ。ツイートやブログなど情報はたくさんあるぞ。
今この瞬間、相手は自分のどんな面を紹介されたらうれしいのか、考えることじゃ」
なんとこの紹介企画、過去の別アカウントで
魔王様や執事さんも実際にやってみたことがあるらしい。
「今回は…そうじゃな、応募期間は2日、最大50人としよう」
最大50人となると、結構な数だ。
それだけの相手に対して、本気で紹介をしていく。
間違いなく、大変だ。
それでも、相手にとってはあくまで一対一のつながり。
かつての僕みたいに、「せっかく参加したのにがっかり」なんて
気持ちにさせないように、丁寧に向き合いたいと思った。
「あくまでも一提案。やるかどうかは任せるが…本気で取り組めば得られるものがあろう」
ひらひらと手を振りながら、魔王様はオフィスを出て行った。
「やらない選択肢は、ないな、よし!」
魔王様や執事さんが過去にやったという紹介企画の内容を確認してから
僕は自分なりに文面を考え、さっそく募集をかけていくことにした。
企画の立て方が悪かったのか、まだまだフォロワーさんが少なめだからか
2日で集まった応募は13名。
正直に言おう。
50名マックスで応募が来ていたら、僕は間違いなくパンクしていただろう。
紹介文を考えるのは、本当に大変だった。
その人の情報を隅々まで目を通し、喜んでもらえる
紹介文を作るまでには最低2~3時間はかかる。
特に、僕が詳しくない業界の方だと
まずお仕事内容を理解するだけで一苦労だ。
「地獄か」なんて、思わずつぶやいたこともある。
それでも1人1人と本気で向き合っていくと、様々な発見があったし
紹介ツイートをした後の方々の反応もうれしかった。
「ありがとうございます!」「うれしいです」といった声が
最後のツイートをし終えるまでの僕の励みだった。
「やっと終わったーーーー!」
13人目の紹介ツイートを送信しおえて、僕は大きく息を吐いた。
自分にお疲れさまと言ってやりたい気分だった。
「たった13人とはいえ、色んな人に応募頂けたよなあ」
振り返ってみると、個性ある方々に応募頂けたように思う。
魔王の会社に興味を持って下さる方々だから、ちょっと変わり者が多いのかも
というのは考えすぎだろうか。
とにかく終わったのだ。
目を閉じて軽くまぶたを押さえる。
「…ん?」
ポケットの中で、ぶるりとスマホが震えた。
魔王様からのメールだ。
「なになに…」
短いメールには、僕への労いと質問が一つ書かれていた。
詳しくは明日、出社してから気づきを報告するようにとのことだ。
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=====
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Q.Twitterの紹介企画で最も紹介しにくいアカウントの特徴とは何か?
=====
僕の脳裏には、どうしても紹介文がうまく作れなくて
後回しにしてしまったあるアカウントが思い浮かんだ。
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でも、この質問の意図は、なんだろう?
=====
<第八の課題のヒント>
①初見のアカウントであっても、紹介しにくいとは限らない
②今回の僕は、相手をきちんと紹介するために
過去の発信をできる限り遡ってチェックしていた
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☆第12回ドリーム小説大賞エントリー中☆
お読み頂き、ありがとうございます。毎日20時頃に更新していきます。
「面白い!」「続きが気になる…」と思われた方はぜひ、「お気に入り登録」頂ければうれしいです。
感想頂けた方には必ずお返事をさせて頂きます!
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