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第7章
会食の音声を収録する前に絶対に聞くべきだった一つの質問-第七の課題解答編ー
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会食に向けた音声収録。
その課題を、僕なりにがんばったと思う。
これまでの課題でも、僕は未熟なりにがんばって
魔王様や執事さんに認めてもらってきた。
だからだろうか?
こうしてあっさりと「不合格」にされてしまうと
納得しきれない面もあるし、気持ちが沈んでしまう。
「まず、努力は認めよう。おそらく何度も練習したことも聞けば分かる」
魔王様が淡々とおっしゃった言葉に、おそらく嘘はないだろう。
僕のがんばりについては、ある程度評価はしてもらえてる。
それなのに、どうして不合格なのか。僕はますます混乱してしまった。
「ところで、おぬし今回の音声を誰のために収録した?」
誰のため。
誰の?
頭の中で言葉が繰り返されていく。
課題を判定するのは魔王様、収録したのば僕だ。
けれど、誰のために?
目を見開いた僕に、魔王様は大きな頷きを一つ返す。
そしてさらに、魔王様はこうおっしゃった。
「今回の音声は、会食を意識したもの。さて、会食の相手は誰じゃ?」
僕は、会食のお相手を知らない。
魔王様から説明がなかったのをそのままに、質問もしていなかった。
愕然とする。
いつの間にか、試されているのは自分のトークだと思っていた。
会食に同席させてもらった時に、少しでも場を盛り上げるための話題を考えた。
それなのに、そもそも会食の相手はどんな方なのか僕は知りもしなかったのだ。
「会食は、誰のための場じゃ?」
魔王様はさらに僕に問いを投げかけて、畳み掛けてくる。
会食の場で考えるべきは、まず相手のことだ。
相手に合わせて場を作り、相手に利を与えることで
はじめて相互に利のある関係へと一歩を踏み出せる。
そんな、きっと当たり前のことが僕の頭から
いつの間にか抜けてしまっていた。
「相手のことを何も知らずにトークをしても、響くはずもなかろう?」
魔王様の言葉がビシビシと僕に突き刺さる。
相手とのコミュニケーションを円滑にするためには
相手が喜ぶことや興味があることをきちんと知っておく必要がある。
僕が選んだウーバーイーツの話題だって、相手の関心とずれていれば
どれだけうまく話したところで先につながることはないだろう。
「そりゃ、不合格になりますよね…」
思わずうなだれた。
むしろなぜ、そこで合格できると思っていたのか、僕は自分を恥じた。
「理由はわかったようじゃな。うむ、今回はお預けじゃ」
魔王様は僕をふりかえらずに、立ち去っていく。
相手を知り、少しずつでも信頼関係を築いていく大切さを
僕は入社してからずっと学ばせて頂いていたはずだ。
けれど、結局実践で活かせていないのなら意味はない。
今の僕が会食に行っても相手を喜ばせることなどできないだろうし
会社の利益も作れないだろう。
ふらふらと自分のデスクに戻って
僕はそのまま突っ伏した。
「遠いなあ…」
魔王様はあまりに遠く先にいる。
執事さんや他の魔物達だって、僕からすれば遥か遠くだ。
上出来だと思った音声を今すぐにでも消したかった。
Stand FMのアプリを開き、消去のボタンに手を掛ける。
そして、押そうとして、やめた。
この失敗を絶対に忘れないでいよう。
そして、くり返さないようにしよう。
=====
<×月×日 学びメモ>
執事さんに伺ったところ、今回の会食のお相手はなんとーーーーーさんだったらしい。
数多くの事業を展開している経営者であり、独自のコミュニティを運営しているインフルエンサー。
魔界のつながりは相変わらずとんでもないと感じる。
今の僕ではまだお会いできないけれど、もしお会いしたらどんな話題を話せばよりよかったのか
自分なりに考えをまとめていこう。
=====
その課題を、僕なりにがんばったと思う。
これまでの課題でも、僕は未熟なりにがんばって
魔王様や執事さんに認めてもらってきた。
だからだろうか?
こうしてあっさりと「不合格」にされてしまうと
納得しきれない面もあるし、気持ちが沈んでしまう。
「まず、努力は認めよう。おそらく何度も練習したことも聞けば分かる」
魔王様が淡々とおっしゃった言葉に、おそらく嘘はないだろう。
僕のがんばりについては、ある程度評価はしてもらえてる。
それなのに、どうして不合格なのか。僕はますます混乱してしまった。
「ところで、おぬし今回の音声を誰のために収録した?」
誰のため。
誰の?
頭の中で言葉が繰り返されていく。
課題を判定するのは魔王様、収録したのば僕だ。
けれど、誰のために?
目を見開いた僕に、魔王様は大きな頷きを一つ返す。
そしてさらに、魔王様はこうおっしゃった。
「今回の音声は、会食を意識したもの。さて、会食の相手は誰じゃ?」
僕は、会食のお相手を知らない。
魔王様から説明がなかったのをそのままに、質問もしていなかった。
愕然とする。
いつの間にか、試されているのは自分のトークだと思っていた。
会食に同席させてもらった時に、少しでも場を盛り上げるための話題を考えた。
それなのに、そもそも会食の相手はどんな方なのか僕は知りもしなかったのだ。
「会食は、誰のための場じゃ?」
魔王様はさらに僕に問いを投げかけて、畳み掛けてくる。
会食の場で考えるべきは、まず相手のことだ。
相手に合わせて場を作り、相手に利を与えることで
はじめて相互に利のある関係へと一歩を踏み出せる。
そんな、きっと当たり前のことが僕の頭から
いつの間にか抜けてしまっていた。
「相手のことを何も知らずにトークをしても、響くはずもなかろう?」
魔王様の言葉がビシビシと僕に突き刺さる。
相手とのコミュニケーションを円滑にするためには
相手が喜ぶことや興味があることをきちんと知っておく必要がある。
僕が選んだウーバーイーツの話題だって、相手の関心とずれていれば
どれだけうまく話したところで先につながることはないだろう。
「そりゃ、不合格になりますよね…」
思わずうなだれた。
むしろなぜ、そこで合格できると思っていたのか、僕は自分を恥じた。
「理由はわかったようじゃな。うむ、今回はお預けじゃ」
魔王様は僕をふりかえらずに、立ち去っていく。
相手を知り、少しずつでも信頼関係を築いていく大切さを
僕は入社してからずっと学ばせて頂いていたはずだ。
けれど、結局実践で活かせていないのなら意味はない。
今の僕が会食に行っても相手を喜ばせることなどできないだろうし
会社の利益も作れないだろう。
ふらふらと自分のデスクに戻って
僕はそのまま突っ伏した。
「遠いなあ…」
魔王様はあまりに遠く先にいる。
執事さんや他の魔物達だって、僕からすれば遥か遠くだ。
上出来だと思った音声を今すぐにでも消したかった。
Stand FMのアプリを開き、消去のボタンに手を掛ける。
そして、押そうとして、やめた。
この失敗を絶対に忘れないでいよう。
そして、くり返さないようにしよう。
=====
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自分なりに考えをまとめていこう。
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