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第6章
関わるべき相手をどんな基準で選ぶのか?ー第六の課題:オンラインサロンのメンバー選出の意図ー
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会社のTwitter運用を始めて、しばらく経ってからのこと。
僕は、少しずつ欲ばりになっていった。
Twitterを発信を見て下さる方の利益だけではなく
もっと会社にも利益を出せるようにしたい。
そのためにはどうしたらいいのか
ない知恵をふり絞って考え始めたのだ。
「そもそも利益ってなんだ、お金か…?」
会社にとっての利益として、分かりやすいのはお金だ。
売上が上がれば、それで利益に直結する。
でも、そもそも利益を作るにはお客様に利を作る必要があって
自社だけでは出来ないことは、他の相手と組む必要があって
でも他の企業にも当然利益が必要で…
「利益」なんてシンプルな漢字2文字なのに
考え始めると、一気に頭の中がごちゃごちゃしはじめた。
とりあえず思いついたキーワードやフレーズを
片っ端からノートに書いていく。
が、一向にまとまる気配がない。
「うわあ、ぐっちゃぐちゃ」
自分で書いたはずのノートを見て、僕は大きくため息をついた。
「…面白そうな考え事をしておるな」
後ろからいきなり肩を叩かれて、僕はひいっと悲鳴を上げた。
完全な不意打ちで現れた魔王様に、背後から
ひょいっとノートを奪われる。
清書前のノートはかなりぐちゃぐちゃなので
見られるのが恥ずかしい。
なんとか奪い返そうとあがくが、魔王様には敵わない。
そのまま目の前でページがめくられていく。
魔王様は僕のノートをなかなか返してはくれなかった。
同じページを何度もめくりながら、考え事をしているようだ。
「あのう、そろそろ返して頂きたいんですが…」
ためらいがちに発した僕の声は、まるっと無視された。
魔王様は、近くを通りがかった執事さんを呼び止めて
僕のノートを見せていく。
僕の心境としてはまさに、勘弁して下さいよ、の一言だ。
「執事、そろそろ頃合いじゃろう。”あそこ”を案内してやってくれ」
魔王様の言葉に執事さんは頷きを返す。
そして、僕には何も言わないまま、スマホで何かを操作し始めた。
「しばらくすれば招待が届くはずじゃ。しっかりと観察してみるがよい」
魔王様と執事さんの間では通じているらしい話が
僕にはまったく理解できなかった。
魔王様はどこかに言ってしまったので、執事さんに尋ねてみるも
「見れば分かる」としか返事が返ってこない。
魔王の会社のメンバーの秘密主義には慣れたものだが
気になるものは気になるのだ。
問いただすのは諦めて、自分のデスクに戻る。
そのタイミングで、僕は執事さんから一通のメールを受け取った。
件名は、秘密のオンラインコミュニティへの招待状。
「あやしい…」
件名を見た瞬間、思わず心の声が口をついて出た。
差出人が執事さんだから開封するけれど
通常なら間違いなく即迷惑メール行きにしている。
メール文面を読み進めて、ようやく意味がわかった。
「オンラインサロンのことだったのか」
一部の限定メンバー向けにオンラインコミュニティを設けるという話を
僕は会社の企画の一環として耳にしたことがあった。
魔王様や執事さんの厳正な審査をくぐり抜けたメンバーのみが参加出来る
超少人数サロンだ。
「月会費は設けておるが、全体の収益はどう考えても赤字じゃな」
以前に魔王様が執事さんと笑いながら話していたのを覚えている。
執事さんも収益が赤字という点には全面同意らしい。
「めっちゃ手間ですからねえ。割に合いません」
魔王様の言葉に大きく頷きながら、そんな返事を返していた。
その会話の場面に出くわした僕は、ある疑問を当然のように抱いたのだ。
なぜ収益が赤字だと分かっているのに、それでもコミュニティを運営するのか。
実際に、後で魔王様に質問をぶつけたときに返ってきた答えは何だったか。
「まいた種を育てていけば、1割くらいは花が咲くじゃろうて」
そんな答えが返ってきたような記憶がある。
1割くらいは花が咲く、ということはおそらくだが
会社の利益につながる成果への期待がオンラインサロンにはあるのだろう。
僕がずっと悩んでいた「会社の利益」に関する考え方のヒントが
コミュニティを見ていれば分かるのかもしれない。
僕はさっそくメールに記載されていたURLをクリックし
秘密のオンラインコミュニティへと飛び込んだ。
「さて、どんな人達が揃っているんだろう?」
あの魔王様や執事さんが厳選したメンバーだ。
審査に落ちた人も多かったと聞く。
どんな人で構成されているサロンなのか
そして、どんなハイレベルなやり取りがされているのか
期待値は高まる一方だ。
さっそくサロンに入り、まずはメンバーそれぞれの自己紹介文を
コミュニティのなかで読ませてもらった。
そこからしばらくサロン内のやりとりを観察した僕の感想として
若干期待はずれだという印象が否めなかった。
どの人も人柄は素晴らしいと思うし、参加者の一員として
メンバー達と意見を交わすのは非常に勉強になった。
交流は活発で様々な話題が出てきたし、社員の僕ですらほとんど知らなかった
魔王の会社の内情も色々と明かされていて興味深かった。
「ただ、メンバーの選定基準がよくわからないんだよなあ」
画面の向こうで今日も交わされるメンバーたちのやり取りを眺めながら
僕は魔王様達の意図に思いを巡らせた。
サロンメンバーには、明らかに優れた実績やスキルの持ち主もいるが
属性も立ち位置もバラバラで、ほとんどの人は「まだまだこれから」という感じだった。
影響力で言えば、Twitterのフォロワーが1000人いかない人がいるし
ビジネス面で見ても、自分のビジネスをまだ立ち上げていない勉強段階の人がいた。
魔王様や執事さんならもっとすごい人だって集められるだろう。
それはほぼ確信に近い思いだった。
それなのに、「これから」の人達をあえて集めて
赤字覚悟でコミュニティを作り、色んなことを教えている。
「この意図は、何だろう?」
疑問は日に日に大きくなっていく。
しばらくコミュニティの観察を続けてから、僕は思いきって魔王様に
サロンメンバーをどうやって選んだのか、基準を尋ねてみることにした。
「利益を長期で考えて、見定めたまでのことよ」
僕の疑問に一言、魔王様はきっぱりと返した。
=====
<第六の課題>
Q利益を長期で考えて人を見定めるとは、どういう意味なのだろうか?
=====
=====
<第六の課題のヒント>
・審査基準に現在の収入やスキルは含まれない
・たとえばフォロワー数が多くて影響力のある人でも、審査が通らなかったケースがある
・今回の「僕」が観察して得た印象の中にヒントがある
どんな人と一緒に仕事をしたいと思うのか、どんな人と関係を築きたいと思うのか。
ぜひあなたなりの目線で新人の「僕」と一緒に考えてみてほしい。
=====
僕は、少しずつ欲ばりになっていった。
Twitterを発信を見て下さる方の利益だけではなく
もっと会社にも利益を出せるようにしたい。
そのためにはどうしたらいいのか
ない知恵をふり絞って考え始めたのだ。
「そもそも利益ってなんだ、お金か…?」
会社にとっての利益として、分かりやすいのはお金だ。
売上が上がれば、それで利益に直結する。
でも、そもそも利益を作るにはお客様に利を作る必要があって
自社だけでは出来ないことは、他の相手と組む必要があって
でも他の企業にも当然利益が必要で…
「利益」なんてシンプルな漢字2文字なのに
考え始めると、一気に頭の中がごちゃごちゃしはじめた。
とりあえず思いついたキーワードやフレーズを
片っ端からノートに書いていく。
が、一向にまとまる気配がない。
「うわあ、ぐっちゃぐちゃ」
自分で書いたはずのノートを見て、僕は大きくため息をついた。
「…面白そうな考え事をしておるな」
後ろからいきなり肩を叩かれて、僕はひいっと悲鳴を上げた。
完全な不意打ちで現れた魔王様に、背後から
ひょいっとノートを奪われる。
清書前のノートはかなりぐちゃぐちゃなので
見られるのが恥ずかしい。
なんとか奪い返そうとあがくが、魔王様には敵わない。
そのまま目の前でページがめくられていく。
魔王様は僕のノートをなかなか返してはくれなかった。
同じページを何度もめくりながら、考え事をしているようだ。
「あのう、そろそろ返して頂きたいんですが…」
ためらいがちに発した僕の声は、まるっと無視された。
魔王様は、近くを通りがかった執事さんを呼び止めて
僕のノートを見せていく。
僕の心境としてはまさに、勘弁して下さいよ、の一言だ。
「執事、そろそろ頃合いじゃろう。”あそこ”を案内してやってくれ」
魔王様の言葉に執事さんは頷きを返す。
そして、僕には何も言わないまま、スマホで何かを操作し始めた。
「しばらくすれば招待が届くはずじゃ。しっかりと観察してみるがよい」
魔王様と執事さんの間では通じているらしい話が
僕にはまったく理解できなかった。
魔王様はどこかに言ってしまったので、執事さんに尋ねてみるも
「見れば分かる」としか返事が返ってこない。
魔王の会社のメンバーの秘密主義には慣れたものだが
気になるものは気になるのだ。
問いただすのは諦めて、自分のデスクに戻る。
そのタイミングで、僕は執事さんから一通のメールを受け取った。
件名は、秘密のオンラインコミュニティへの招待状。
「あやしい…」
件名を見た瞬間、思わず心の声が口をついて出た。
差出人が執事さんだから開封するけれど
通常なら間違いなく即迷惑メール行きにしている。
メール文面を読み進めて、ようやく意味がわかった。
「オンラインサロンのことだったのか」
一部の限定メンバー向けにオンラインコミュニティを設けるという話を
僕は会社の企画の一環として耳にしたことがあった。
魔王様や執事さんの厳正な審査をくぐり抜けたメンバーのみが参加出来る
超少人数サロンだ。
「月会費は設けておるが、全体の収益はどう考えても赤字じゃな」
以前に魔王様が執事さんと笑いながら話していたのを覚えている。
執事さんも収益が赤字という点には全面同意らしい。
「めっちゃ手間ですからねえ。割に合いません」
魔王様の言葉に大きく頷きながら、そんな返事を返していた。
その会話の場面に出くわした僕は、ある疑問を当然のように抱いたのだ。
なぜ収益が赤字だと分かっているのに、それでもコミュニティを運営するのか。
実際に、後で魔王様に質問をぶつけたときに返ってきた答えは何だったか。
「まいた種を育てていけば、1割くらいは花が咲くじゃろうて」
そんな答えが返ってきたような記憶がある。
1割くらいは花が咲く、ということはおそらくだが
会社の利益につながる成果への期待がオンラインサロンにはあるのだろう。
僕がずっと悩んでいた「会社の利益」に関する考え方のヒントが
コミュニティを見ていれば分かるのかもしれない。
僕はさっそくメールに記載されていたURLをクリックし
秘密のオンラインコミュニティへと飛び込んだ。
「さて、どんな人達が揃っているんだろう?」
あの魔王様や執事さんが厳選したメンバーだ。
審査に落ちた人も多かったと聞く。
どんな人で構成されているサロンなのか
そして、どんなハイレベルなやり取りがされているのか
期待値は高まる一方だ。
さっそくサロンに入り、まずはメンバーそれぞれの自己紹介文を
コミュニティのなかで読ませてもらった。
そこからしばらくサロン内のやりとりを観察した僕の感想として
若干期待はずれだという印象が否めなかった。
どの人も人柄は素晴らしいと思うし、参加者の一員として
メンバー達と意見を交わすのは非常に勉強になった。
交流は活発で様々な話題が出てきたし、社員の僕ですらほとんど知らなかった
魔王の会社の内情も色々と明かされていて興味深かった。
「ただ、メンバーの選定基準がよくわからないんだよなあ」
画面の向こうで今日も交わされるメンバーたちのやり取りを眺めながら
僕は魔王様達の意図に思いを巡らせた。
サロンメンバーには、明らかに優れた実績やスキルの持ち主もいるが
属性も立ち位置もバラバラで、ほとんどの人は「まだまだこれから」という感じだった。
影響力で言えば、Twitterのフォロワーが1000人いかない人がいるし
ビジネス面で見ても、自分のビジネスをまだ立ち上げていない勉強段階の人がいた。
魔王様や執事さんならもっとすごい人だって集められるだろう。
それはほぼ確信に近い思いだった。
それなのに、「これから」の人達をあえて集めて
赤字覚悟でコミュニティを作り、色んなことを教えている。
「この意図は、何だろう?」
疑問は日に日に大きくなっていく。
しばらくコミュニティの観察を続けてから、僕は思いきって魔王様に
サロンメンバーをどうやって選んだのか、基準を尋ねてみることにした。
「利益を長期で考えて、見定めたまでのことよ」
僕の疑問に一言、魔王様はきっぱりと返した。
=====
<第六の課題>
Q利益を長期で考えて人を見定めるとは、どういう意味なのだろうか?
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<第六の課題のヒント>
・審査基準に現在の収入やスキルは含まれない
・たとえばフォロワー数が多くて影響力のある人でも、審査が通らなかったケースがある
・今回の「僕」が観察して得た印象の中にヒントがある
どんな人と一緒に仕事をしたいと思うのか、どんな人と関係を築きたいと思うのか。
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☆第12回ドリーム小説大賞エントリー中☆
お読み頂き、ありがとうございます。毎日20時頃に更新していきます。
「面白い!」「続きが気になる…」と思われた方はぜひ、「お気に入り登録」頂ければうれしいです。
感想頂けた方には必ずお返事をさせて頂きます!
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