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第4章
事業の仕組みを学びとり、発展させる視点をつかめー第四の課題:「街コン」分析ー
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魔王の会社に入社して数週間。
残念だが認めよう、僕は会社の足手まといだ。
伸びしろは認めてもらっているし
思いがけないチャンスを頂いたこともある。
でも、魔物の先輩方と比べれば
僕は一円のお金も稼げていないのだ。
会社に利益を作れていないのは
新人なら仕方ない、と人間界の会社なら言えるかもしれない。
でも、僕が入ったのは魔王の会社。
魔物達がひしめくシビアなビジネスの世界では
僕が新人だというのは何の言い訳にもならない。
でも、毎日の仕事ですでにいっぱいいっぱいな僕としては
何かスキルや知識を身に付けるにしても、きちんと効率を考えたい。
何から手をつければいいのか、僕一人では答えが出せそうにない。
そこで、思い切って魔王様に相談してみることにした。
「きちんと利益を作れるように、もっとビジネスを学びたいんです」
本当は、魔王様を煩わせたくない。
それでも、変な遠慮をしていたら、今の僕には何も出来ない。
アポの合間に休息を取っている魔王様に
僕は思い切って話しかけた。
「ふむ…用意していた課題はあったが、おぬしにはまだ早いじゃろうな」
そんなことはないです、と反論したかったが
僕は口をつぐむことにした。
僕が自分を判断するよりずっと
魔王様は僕のレベルを分かっているに違いない。
「そうじゃな。そなた、会社に利益を作りたいというのは本心じゃな?」
僕の意志を確認しようとする魔王様に
僕はただ頷いた。
「で、なんでこんなことに…?」
数日後、僕は自転車を必死で漕ぎながら
思わずぼやいていた。
魔王様は僕に、まずは自ら汗をかき
お金を得る経験を積むように命じた。
魔王様に渡されたのは、当時流行りだしていた
デリバリーサービス、ウーバーイーツのパンフレット。
即座に登録会に出向き、中古の自転車を手に入れて
僕は一時的に人間界の皆さまに食事を届けるドライバーになった。
「ノルマは50件じゃ。終わるまでは出社せんでよいぞ」
魔王様の言葉に僕は焦った。
会社で学ぶことはたくさんあるのに
出社できないのは困ってしまう。
50件をどうにか配り終えたのは、ドライバー開始から4日後。
終わった頃には、全身筋肉痛になっていたし
特に自転車の硬いサドルに当たっていたお尻はひりひりと痛んだ。
「あちこち痛いなあ」
夜に湿布を貼りながら、思わず笑ってしまう。
稼いだお金は会社に納めるから、僕の手元には残らない。
それでも、やり方はどうあれ、自分の働きできちんと利益を作れたことがうれしかった。
翌日、会社に出社した僕は、魔王様のデスクへと向かった。
1週間もたっていないのに、お会いするのがずいぶんと久しぶりな感じがする。
「さて、ドライバーとして働いてみて、ウーバーイーツという事業のことが少しは分かったか?」
魔王様がおっしゃるには、どんな事業であっても土台は一緒なのだという。
どんな業界なのか?どんな市場なのか?どんなお客様のニーズがあるのか?
もし自分で事業を興していくなら、こういった土台の部分をしっかり調査して
事業の仕掛け方を考えなくてはならない。
「ビジネスというのは、何ごともリサーチありきじゃ」
とにかく調べろ、というのは他の魔物達もよく口にしていることだ。
リサーチが重要というのは、ビジネス初心者の僕でもなんとなく分かる。
ただ、どんな風に調べればいいのか今いちつかめていない。
たとえばウーバーイーツについて調べるなら
どんなことを考えればいいんだろう。
飲食の宅配という業界で、個人事業主としてドライバーが飲食店とお客様とを仲介する仕事だ。
お店で食べるより割高だが、家や職場から移動せずに出前を頼みたいというお客様のニーズを満たしている。
同時に、デリバリー用の従業員を雇わずに出前がしたい飲食店の需要にも合っているのだろう。
基本的には間違ってはいないはずだ。
でも、そんなことは多分ちょっと調べればすぐに分かることだ。
魔王様がおっしゃるリサーチはきっと
僕が思っているリサーチとは別物のような気がする。
「おぬしの考えはリサーチと言うには視野が狭いし、分析が浅すぎるな」
考えていたことをそのまま魔王様に伝えると、苦笑が返ってきた。
「少し例題を出すか。そういえば先日近場で『街コン』が開かれていたな。知っていたか?」
僕は小さく頷いた。
ウーバーイーツで配達をしていたときに、たまたま会場近くを通りがかったように思う。
特定の街を舞台に男女が出会うコンパ、街コン。
参加者たちは出会いを楽しんで、おのおの盛り上がっていたように見えた。
僕は参加したこともないし
今は遊ぶ心のゆとりも足りていない。
ただ、楽しそうだとは思う。
「『街コン』も立派なビジネスじゃぞ。街コンがどんな事業なのか自分なりに分析してみよ」
思わぬ話の流れから、僕の次の課題が決まった。
=====
<第四の課題>
Q.「街コン」というビジネスは、どんな仕組みの事業なのだろうか?
=====
業界・市場・ニーズなどの観点から、街コンを考える。
その晩、新たな課題に僕は頭を悩ませた。
これまでの僕にとって、街コンはただの楽しそうな出会い系イベントでしかなかった。
いったん思い込みを捨てて、ネットで様々な「街コン」を調べていく。
すると、少しずつだけれどビジネスとしての姿が僕にも見えてきた。
=====
<第四の課題のヒント>
・「街コン」というイベント単体にとらわれすぎずに、視野を広くもとう
・イベントには人が多く集まる。ということは…?
街コンはどこから利益を得るのか、ぜひビジネスとして考えてみよう。
=====
残念だが認めよう、僕は会社の足手まといだ。
伸びしろは認めてもらっているし
思いがけないチャンスを頂いたこともある。
でも、魔物の先輩方と比べれば
僕は一円のお金も稼げていないのだ。
会社に利益を作れていないのは
新人なら仕方ない、と人間界の会社なら言えるかもしれない。
でも、僕が入ったのは魔王の会社。
魔物達がひしめくシビアなビジネスの世界では
僕が新人だというのは何の言い訳にもならない。
でも、毎日の仕事ですでにいっぱいいっぱいな僕としては
何かスキルや知識を身に付けるにしても、きちんと効率を考えたい。
何から手をつければいいのか、僕一人では答えが出せそうにない。
そこで、思い切って魔王様に相談してみることにした。
「きちんと利益を作れるように、もっとビジネスを学びたいんです」
本当は、魔王様を煩わせたくない。
それでも、変な遠慮をしていたら、今の僕には何も出来ない。
アポの合間に休息を取っている魔王様に
僕は思い切って話しかけた。
「ふむ…用意していた課題はあったが、おぬしにはまだ早いじゃろうな」
そんなことはないです、と反論したかったが
僕は口をつぐむことにした。
僕が自分を判断するよりずっと
魔王様は僕のレベルを分かっているに違いない。
「そうじゃな。そなた、会社に利益を作りたいというのは本心じゃな?」
僕の意志を確認しようとする魔王様に
僕はただ頷いた。
「で、なんでこんなことに…?」
数日後、僕は自転車を必死で漕ぎながら
思わずぼやいていた。
魔王様は僕に、まずは自ら汗をかき
お金を得る経験を積むように命じた。
魔王様に渡されたのは、当時流行りだしていた
デリバリーサービス、ウーバーイーツのパンフレット。
即座に登録会に出向き、中古の自転車を手に入れて
僕は一時的に人間界の皆さまに食事を届けるドライバーになった。
「ノルマは50件じゃ。終わるまでは出社せんでよいぞ」
魔王様の言葉に僕は焦った。
会社で学ぶことはたくさんあるのに
出社できないのは困ってしまう。
50件をどうにか配り終えたのは、ドライバー開始から4日後。
終わった頃には、全身筋肉痛になっていたし
特に自転車の硬いサドルに当たっていたお尻はひりひりと痛んだ。
「あちこち痛いなあ」
夜に湿布を貼りながら、思わず笑ってしまう。
稼いだお金は会社に納めるから、僕の手元には残らない。
それでも、やり方はどうあれ、自分の働きできちんと利益を作れたことがうれしかった。
翌日、会社に出社した僕は、魔王様のデスクへと向かった。
1週間もたっていないのに、お会いするのがずいぶんと久しぶりな感じがする。
「さて、ドライバーとして働いてみて、ウーバーイーツという事業のことが少しは分かったか?」
魔王様がおっしゃるには、どんな事業であっても土台は一緒なのだという。
どんな業界なのか?どんな市場なのか?どんなお客様のニーズがあるのか?
もし自分で事業を興していくなら、こういった土台の部分をしっかり調査して
事業の仕掛け方を考えなくてはならない。
「ビジネスというのは、何ごともリサーチありきじゃ」
とにかく調べろ、というのは他の魔物達もよく口にしていることだ。
リサーチが重要というのは、ビジネス初心者の僕でもなんとなく分かる。
ただ、どんな風に調べればいいのか今いちつかめていない。
たとえばウーバーイーツについて調べるなら
どんなことを考えればいいんだろう。
飲食の宅配という業界で、個人事業主としてドライバーが飲食店とお客様とを仲介する仕事だ。
お店で食べるより割高だが、家や職場から移動せずに出前を頼みたいというお客様のニーズを満たしている。
同時に、デリバリー用の従業員を雇わずに出前がしたい飲食店の需要にも合っているのだろう。
基本的には間違ってはいないはずだ。
でも、そんなことは多分ちょっと調べればすぐに分かることだ。
魔王様がおっしゃるリサーチはきっと
僕が思っているリサーチとは別物のような気がする。
「おぬしの考えはリサーチと言うには視野が狭いし、分析が浅すぎるな」
考えていたことをそのまま魔王様に伝えると、苦笑が返ってきた。
「少し例題を出すか。そういえば先日近場で『街コン』が開かれていたな。知っていたか?」
僕は小さく頷いた。
ウーバーイーツで配達をしていたときに、たまたま会場近くを通りがかったように思う。
特定の街を舞台に男女が出会うコンパ、街コン。
参加者たちは出会いを楽しんで、おのおの盛り上がっていたように見えた。
僕は参加したこともないし
今は遊ぶ心のゆとりも足りていない。
ただ、楽しそうだとは思う。
「『街コン』も立派なビジネスじゃぞ。街コンがどんな事業なのか自分なりに分析してみよ」
思わぬ話の流れから、僕の次の課題が決まった。
=====
<第四の課題>
Q.「街コン」というビジネスは、どんな仕組みの事業なのだろうか?
=====
業界・市場・ニーズなどの観点から、街コンを考える。
その晩、新たな課題に僕は頭を悩ませた。
これまでの僕にとって、街コンはただの楽しそうな出会い系イベントでしかなかった。
いったん思い込みを捨てて、ネットで様々な「街コン」を調べていく。
すると、少しずつだけれどビジネスとしての姿が僕にも見えてきた。
=====
<第四の課題のヒント>
・「街コン」というイベント単体にとらわれすぎずに、視野を広くもとう
・イベントには人が多く集まる。ということは…?
街コンはどこから利益を得るのか、ぜひビジネスとして考えてみよう。
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