フリーダム!!!~チャラ男の俺が王道学園の生徒会会計になっちゃった話~

いちき

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第5章 パーティ!!!

8 生徒会室を出て、校舎を出る頃には、

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 生徒会室を出て、校舎を出る頃には、すっかりと空に星が瞬く時間になってしまっていた。そろそろ最終バスが出る時間で、間に合うように、レンガが敷き詰められた歩道を歩く。女子高は、道路でさえもオシャレだ。

「今日は、というか、いつも本当に本当にありがとうございます……」

 わざわざ送ってくれる清楚ちゃんは、隣に立って改めて頭を下げてきた。ちなみに、薙刀ちゃんも後ろについていて、俺に険しい視線を送ってくる。うん、もう慣れてきたかな!
 平良くんはその後ろにいるし、会長は金髪ちゃんと何か話しながら最後尾を歩いている。

「いやいや、お互いさまでしょー」
「わたしが頼ってばっかりで」
「だーいじょうぶだいじょうぶ、女の子の涙は見過ごせないしね」

 なんて軽く言って、ウィンクなんてして見せると、清楚ちゃんが笑った。泣いてばかりだったから、笑顔は久し振りに見た気がする。

「うん、やっぱり、笑ってた方がかわいいよ」

 女の子の笑顔は、例外なく可愛らしい。
 俺の自論を伝えると、清楚ちゃんの顔が、ぽん、と一気に赤くなった。
 それと同時に、斜め後ろにいる薙刀ちゃんの顔が般若の形相に……ひい、恐ろしい。
 若干引いていたら、隣の清楚ちゃんが、ぴたりと足を止めた。

「ん?」
「あ、あの」
「なあに」

 あ、なんだかすごく、いやな予感。
 顔を真っ赤にして、潤んだ瞳で見上げてくる清楚ちゃんと視線を合わせる。

「わ、わたし、――」

 何か言いかけた清楚ちゃんの頭を、ぽん、と軽く撫でて、笑いかけた。

「今日はもう遅いから、ここまでで大丈夫。ありがとねー、送ってくれて」
「あ、……は、はい」

 清楚ちゃんは、眉を下げたけれど、それ以上は言わなかった。
 ふん、と、薙刀ちゃんは鼻を鳴らす。

「おい」

 そして、平良くんを呼び止めた。

「は、はい」

 平良くんの背筋が、ピンと伸びる。

「お前の動きは悪くなかった」
「? ど、どうも……ありがとうございます?」

 急に褒められて、平良くんが戸惑っている。
 確かに、平良くんは今日も黙々と真面目に作業していた。うちの後輩、すごいんです。なんて、内心でドヤる俺だ。……声に出したらほら、すごく睨まれそうだから、内心に留めておく。

「それじゃ、またね」
「は、はい! ありがとうございました」

 ひらひら手を振って、バス停まで歩き出した。
 何度も何度も頭を下げる清楚ちゃんに見送られる。
 金髪ちゃんと話していた会長も、早足で俺たちに追いついてきた。
 バス停に辿り着いたときにタイミングよく最終バスがやって来て、それに乗り込む俺たちだ。
 バスの中は、ガラガラだった。



 「明日は槍が降るんじゃねえのか」

 バスの一番後ろの座席、会長を挟むようにして座る。平良くんは端っこで身体を小さくしていた。ガラガラだから、気にしなくていいのに。

「なに、見てたんすか」
「そりゃあな」
「槍が降ったら休校になるかなあ」

 なんて軽口を叩きながら、バスに揺られる。
 窓の外は真っ暗で、冬の澄んだ空に浮かぶ星がよく見えた。

「もーすぐ本番っすね」
「だな」
「平良くん準備ばっちり?」
「え」
「カノジョと踊るんでしょ~?」
「え、あ」
「鈴宮」
「はい」
「セクハラでパワハラはやめろ」
「はあい」

 会長は平良くんに過保護な気がする。
 ――と思うけど、ちょっとその話を出しただけで真っ赤になって俯く平良くんを見てたら、あながち間違った対応ではないのかも。
 もしかしたら当日、平良くんのカノジョちゃん初お目見えになるかもしれないし、その日を楽しみにしておこう……。
 あとは、今日の晩ご飯とか、衣装のこととか、そんな他愛もないことを(主に俺が)話しているうちに、バスが我らが桃華学園へと辿り着いた。
 校門に天使もいないし、校舎が教会じみてもないけれど、やっぱりうちの学校が落ち着く。
 そんな実感をしながら、バスを降りた。





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