58 / 72
第5章 パーティ!!!
2 いよいよ今日は、姉妹校との打ち合わせの日だ。
しおりを挟む2
いよいよ今日は、姉妹校との打ち合わせの日だ。
俺は昨日からそわそわして、むしろやる気十分!って感じ。
だって、噂に聞くと、姉妹校の生徒会の皆さんはなかなかにレベルが高いらしい。そりゃあそうだろう、全国屈指のお嬢様高校の中の、選りすぐりのメンバーだ。お近づきになるかどうかはともかく、そんな女の子たちを間近で見られるのが嬉しいよね。
「鼻の下伸ばしてんじゃねえ」
「ぁだ、」
お出迎え、に選ばれたのは会長と俺だ(熱烈に所望したのは内緒)。他のメンバーは、会議室の設置をしている。
正門へ向かって相手いる最中、こつん、と軽く頭を小突かれた。
「テンション上がるのは仕方ないでしょー」
「面倒なだけだぞ、交流なんて」
「うわあやる気ない。会長さあ、」
「なんだ」
去年も経験して、特にいい思いもしなかったんだろう。
あからさまに、今までのどの行事よりも面倒そうに息を吐く会長を見上げ、悪戯に笑ってその耳元に囁いた。背伸びするしかないのが悔しい。
「チャラくて鈍い子、に、出会えるといーね?」
会長の理想のタイプが、生徒会なんかにいないと思うけど。
期待を煽る意味で言ったら会長は目を丸めて、「はあぁ」と、それはもうこれ見よがしに、重くて深い息を吐いた。額をおさえるポーズつきだ。何それ、やな感じ!
「去年はいなかったの」
「あ?」
「会長の理想の女子高生」
「あー……」
会長は空を見上げる。
冬の空は、日が短い。
そんなに遅い時間じゃないのに、青がオレンジ色に浸食され始めている。
「まあ、いずれわかる」
「なにそれどゆこと」
「ほらよ、お嬢様方のお出ましだ」
随分ジラされた上に、教えてもらえなかったという……。
そうこうしている間に既に校門は目の前で、俺ははっとした。
校門の向こうに見える、五つのシルエット。
清楚な紺色のセーラー服に身を纏ったそれらは、紛れもなく、姉妹校の生徒会のお嬢様方だ。
校門の前に辿り着いて対面する。
――もう、周囲に華が飛んでいるように見えた。
中央には、一番背が低いが、気品の感じる金髪ロングヘアの女の子。え、金髪。人工的ではない、透き通るような自然な色だから、もしかしたらハーフか何かかもしれない。瞳の色も、透けるような茶色だ。瞳はまん丸なのに、意思が強そうにツリ上がっている。
その隣には、金髪ちゃんよりも背が高くて、何より大きな胸につい視線が行きそうになってつい逸らした。肩くらいの黒髪ストレートで、穏やかで優しそうな顔をしている子。でも今は緊張しているみたいで、俺と目が合ったら、その隣にいる背が高い子の後ろに隠れてしまった。
背が高い子は、あーきっと女の子にモテるんだろうなあ、ってタイプの女の子。茶色い短い髪に、しゅっとした輪郭、ハッキリとした顔立ちは宝塚さながらで、俺よりイケメンなんじゃないの、ってレベル。後ろに隠れた子に、何やら囁いている仕草も、王子様みたいだ。
金髪ちゃんを挟んで反対側に、黒髪を一つに結んだポニーテールの細身の子。薙刀か何かの武器を背中に背負ってる。え、こわい。しかもすごく睨まれている、こわい。激しい敵対心を感じる。
そしてその横には、かわいい女の子、ではなく、スーツに身を包んだ若い男の人がいる。顧問か何かかな。
どの子も、清楚な白いセーラー服に身を包んでいる。スカートだって、校則遵守な膝丈だ。紺や黒のタイツが、眩しい。
「どうも、ご足労感謝する」
「昨年ぶりね、各務総一郎」
一歩前に出た会長が、改めて礼をして出迎えると、金髪ちゃんが顎を上げて可愛らしい声で会長を見上げた。フルネーム呼び。
「今年こそ、華麗なエスコートを期待するわ」
「努力はする。……会計の鈴宮だ。鈴宮、向こうの会長の白鳥坂」
とん、と背中を押されて促された。
ぴん、と背筋が伸びる。
「はい! 2年の鈴宮流でーす、よろしくお願いしまっす」
流石に初対面で余計なことは言わない、言えない。
にこ、と笑って見ると、五人分の目線が俺に向かう。約一名、視線がすごく痛い子がいる。こわい。
「全く、気品を疑うな」
「え」
「何故こんなヤツが生徒会なんだ」
「え」
「ちょ、ちょっと、葉月ちゃん」
視線だけじゃなくて、言葉でも攻撃される。
人を刺すような目で、謂われもない(いや、完璧にないわけではないけども)批判を向けられて戸惑っていると、大人しそうな子が間に入ってくれた。
「悪いねー、こいつちょっと思想が偏ってるんだ。気にしないで。自分は副会長の杉野、よろしく」
イケメン女子は中身までイケメンだった。
ぐるる、と唸ってきそうな薙刀女子を制して、爽やかに笑ってくる。
「あ、会計の、間宮です。よろしくお願いします」
「ふん。……柳田。監査だ」
大人しい子がぺこりと頭を下げて、薙刀女子は目を合わすことなくぽそりと自己紹介してくれた。
「あ、顧問です。僕のことはお気になさらず」
「今年赴任された柄本先生よ。交流が気になるというから、連れてきたの。いいわよね?」
「勿論、問題ない」
会長は頷く。顧問がしっかり仕事してるなんて、流石女子校だ。うちの学校も顧問はいるけど、先生にしかできない仕事を頼むことしかしてない。基本、放任主義だ。
「会議室まで案内します。どうぞ」
会長はあくまでもいつものペースだ。
俺はかわいこちゃんズに心躍る、ってより、個性豊かな女子高生たちに圧倒されまくりだ。
今まで遊んだ子たちと、タイプが全く違う。
11
お気に入りに追加
339
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

この僕が、いろんな人に詰め寄られまくって困ってます!〜まだ無自覚編〜
小屋瀬 千風
BL
〜まだ無自覚編〜のあらすじ
アニメ・漫画ヲタクの主人公、薄井 凌(うすい りょう)と、幼なじみの金持ち息子の悠斗(ゆうと)、ストーカー気質の天才少年の遊佐(ゆさ)。そしていつもだるーんとしてる担任の幸崎(さいざき)teacher。
主にこれらのメンバーで構成される相関図激ヤバ案件のBL物語。
他にも天才遊佐の事が好きな科学者だったり、悠斗Loveの悠斗の実の兄だったりと個性豊かな人達が出てくるよ☆
〜自覚編〜 のあらすじ(書く予定)
アニメ・漫画をこよなく愛し、スポーツ万能、頭も良い、ヲタク男子&陽キャな主人公、薄井 凌(うすい りょう)には、とある悩みがある。
それは、何人かの同性の人たちに好意を寄せられていることに気づいてしまったからである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
【超重要】
☆まず、主人公が各キャラからの好意を自覚するまでの間、結構な文字数がかかると思います。(まぁ、「自覚する前」ということを踏まえて呼んでくだせぇ)
また、自覚した後、今まで通りの頻度で物語を書くかどうかは気分次第です。(だって書くの疲れるんだもん)
ですので、それでもいいよって方や、気長に待つよって方、どうぞどうぞ、読んでってくだせぇな!
(まぁ「長編」設定してますもん。)
・女性キャラが出てくることがありますが、主人公との恋愛には発展しません。
・突然そういうシーンが出てくることがあります。ご了承ください。
・気分にもよりますが、3日に1回は新しい話を更新します(3日以内に投稿されない場合もあります。まぁ、そこは善処します。(その時はまた近況ボード等でお知らせすると思います。))。

平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜
ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。
王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています!
※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。
※現在連載中止中で、途中までしかないです。

学園と夜の街での鬼ごっこ――標的は白の皇帝――
天海みつき
BL
族の総長と副総長の恋の話。
アルビノの主人公――聖月はかつて黒いキャップを被って目元を隠しつつ、夜の街を駆け喧嘩に明け暮れ、いつしか"皇帝"と呼ばれるように。しかし、ある日突然、姿を晦ました。
その後、街では聖月は死んだという噂が蔓延していた。しかし、彼の族――Nukesは実際に遺体を見ていないと、その捜索を止めていなかった。
「どうしようかなぁ。……そぉだ。俺を見つけて御覧。そしたら捕まってあげる。これはゲームだよ。俺と君たちとの、ね」
学園と夜の街を巻き込んだ、追いかけっこが始まった。
族、学園、などと言っていますが全く知識がないため完全に想像です。何でも許せる方のみご覧下さい。
何とか完結までこぎつけました……!番外編を投稿完了しました。楽しんでいただけたら幸いです。

星蘭学園、腐男子くん!
Rimia
BL
⚠️⚠️加筆&修正するところが沢山あったので再投稿してますすみません!!!!!!!!⚠️⚠️
他のタグは・・・
腐男子、無自覚美形、巻き込まれ、アルビノetc.....
読めばわかる!巻き込まれ系王道学園!!
とある依頼をこなせば王道BL学園に入学させてもらえることになった為、生BLが見たい腐男子の主人公は依頼を見事こなし、入学する。
王道な生徒会にチワワたん達…。ニヨニヨして見ていたが、ある事件をきっかけに生徒会に目をつけられ…??
自身を平凡だと思っている無自覚美形腐男子受け!!
※誤字脱字、話が矛盾しているなどがありましたら教えて下さると幸いです!
⚠️衝動書きだということもあり、超絶亀更新です。話を思いついたら更新します。

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~
シキ
BL
全寮制学園モノBL。
倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。
倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……?
真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。
一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。
こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。
今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。
当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる