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第1章 ミーツ!!!
1 今までの俺の放課後は、
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今までの俺の放課後は、たまに部活に顔を出して、それ以外の日は学園の外に繰り出し、街を歩いて女の子に声をかけ、門限ギリギリに寮に戻るというのが日常だった。孤島にあるこの学園だが、学校以外に何もない、なんてことはない。少し離れたところには姉妹校の女子校もあるし、ちょうど中間地点には繁華街もある。ゲーセン、カラオケ、そしてホテルがあれば、若い男子校生は十分に遊べるのである。そこで適当に女の子をひっかけて、ちょっぴり健全じゃない遊びをして、寮に戻るとゆーのが、青春を満喫していた俺の毎日だったのにィ…。
「今では、書類が恋人です……」
「妙なこと言ってないで手を進めろ」
「そして友達は、鬼畜会長……ぁだっ」
「誰が友達だ死ね」
冷たすぎる……。黒髪短髪、男なら誰もが羨むような整った顔つき(でも目付きはちょー悪い。こわい。)と、筋肉質な身体をもった男前生徒会長に書類で叩かれた頭を撫でてぐすんと鼻を鳴らすと、コトンと音がしてデスクにカップが置かれた。2つ。
「アンニュイな流ちゃんに差し入れだよ」
「ちなみにどちらかには激辛スパイス入りさ」
きらきらという効果音とともに現れたのは、学園でも有名なホスト系双子の千堂兄弟。ウィンクしながら物騒なことを言われ、鼻を鳴らしてカップを確かめる。赤みかかった薄茶色の液体は、アッサムとか言っても通用しそう。ちらりと見て、ここは飲まなきゃ男じゃねーと言われるような視線を感じ、手前のカップを手に取る。警戒しつつも一口飲み込む。鼻を抜ける紅茶の香り、そして。
「っぶはあっ!? みっ、みずみずみずみず」
「ふふ、刺激が強すぎたかい?」
「水が欲しいなら、……口移しはどうかな?」
優雅に笑うのが兄の真宏、口ん中が燃えるように辛くて最早泣き出しそうになっている俺の顎を掴んで優雅に笑うのが弟の真白。俺はぶんぶん首を横に振って、真白の持つミネラルウォーターを奪ってがぶ飲みした。マジ辛い。
「っぷは、……ほんと、タチ悪い悪戯すんなってー」
「可愛らしい悪戯じゃないか」
「日常にちょっとしたスパイスは、必要だろ?」
「そのまんま辛いのはゴメンだってばー」
うー、まだヒリヒリする。口元をごしごし拭っていると、目の前に缶コーヒーが差し出された。
「ありがとー」
無言で俺の大好きなマックスコーヒーを差し出してくれたのは、かわいい後輩の平良くん。190近い長身で迫力があり、ゴツいけど、まあかわいい。こんなふうに、俺の好みをわかっているところとか、ちゃっかり仕事を片付けてくれるところとか。平良は無表情のまま頷いて、俺の前の席で再び淡々と仕事をしだした。うーん、クール……。
あと二人、傲慢女王様の椎葉副会長、補佐の北野がいれば、生徒会役員が全員そろう。今日は二人は、風紀委員と簡易会議だと言っていた。
――今ではすっかり、こうして生徒会室で男に囲まれて仕事をするのが、俺の日常になってしまった。
かわいい女の子もいないし、生真面目な仕事ばかりで性に合わないとは思うけれど、案外このまったりとした感じも、きらいじゃない。
やっと慣れてきた日常が、崩れ去っていくのは、そう遅くはなかった。
今までの俺の放課後は、たまに部活に顔を出して、それ以外の日は学園の外に繰り出し、街を歩いて女の子に声をかけ、門限ギリギリに寮に戻るというのが日常だった。孤島にあるこの学園だが、学校以外に何もない、なんてことはない。少し離れたところには姉妹校の女子校もあるし、ちょうど中間地点には繁華街もある。ゲーセン、カラオケ、そしてホテルがあれば、若い男子校生は十分に遊べるのである。そこで適当に女の子をひっかけて、ちょっぴり健全じゃない遊びをして、寮に戻るとゆーのが、青春を満喫していた俺の毎日だったのにィ…。
「今では、書類が恋人です……」
「妙なこと言ってないで手を進めろ」
「そして友達は、鬼畜会長……ぁだっ」
「誰が友達だ死ね」
冷たすぎる……。黒髪短髪、男なら誰もが羨むような整った顔つき(でも目付きはちょー悪い。こわい。)と、筋肉質な身体をもった男前生徒会長に書類で叩かれた頭を撫でてぐすんと鼻を鳴らすと、コトンと音がしてデスクにカップが置かれた。2つ。
「アンニュイな流ちゃんに差し入れだよ」
「ちなみにどちらかには激辛スパイス入りさ」
きらきらという効果音とともに現れたのは、学園でも有名なホスト系双子の千堂兄弟。ウィンクしながら物騒なことを言われ、鼻を鳴らしてカップを確かめる。赤みかかった薄茶色の液体は、アッサムとか言っても通用しそう。ちらりと見て、ここは飲まなきゃ男じゃねーと言われるような視線を感じ、手前のカップを手に取る。警戒しつつも一口飲み込む。鼻を抜ける紅茶の香り、そして。
「っぶはあっ!? みっ、みずみずみずみず」
「ふふ、刺激が強すぎたかい?」
「水が欲しいなら、……口移しはどうかな?」
優雅に笑うのが兄の真宏、口ん中が燃えるように辛くて最早泣き出しそうになっている俺の顎を掴んで優雅に笑うのが弟の真白。俺はぶんぶん首を横に振って、真白の持つミネラルウォーターを奪ってがぶ飲みした。マジ辛い。
「っぷは、……ほんと、タチ悪い悪戯すんなってー」
「可愛らしい悪戯じゃないか」
「日常にちょっとしたスパイスは、必要だろ?」
「そのまんま辛いのはゴメンだってばー」
うー、まだヒリヒリする。口元をごしごし拭っていると、目の前に缶コーヒーが差し出された。
「ありがとー」
無言で俺の大好きなマックスコーヒーを差し出してくれたのは、かわいい後輩の平良くん。190近い長身で迫力があり、ゴツいけど、まあかわいい。こんなふうに、俺の好みをわかっているところとか、ちゃっかり仕事を片付けてくれるところとか。平良は無表情のまま頷いて、俺の前の席で再び淡々と仕事をしだした。うーん、クール……。
あと二人、傲慢女王様の椎葉副会長、補佐の北野がいれば、生徒会役員が全員そろう。今日は二人は、風紀委員と簡易会議だと言っていた。
――今ではすっかり、こうして生徒会室で男に囲まれて仕事をするのが、俺の日常になってしまった。
かわいい女の子もいないし、生真面目な仕事ばかりで性に合わないとは思うけれど、案外このまったりとした感じも、きらいじゃない。
やっと慣れてきた日常が、崩れ去っていくのは、そう遅くはなかった。
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