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子犬男子(美咲の場合)

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その日は朝から結のLINEが入った。

結『今日ランチする~?それとも直接営業ニ課に行ってよい~?
早く見たいんだけどw』

美咲『ランチは出ちゃうから無理かなぁ~』

結『じゃあ、夜新人君誘ってよ~』

美咲『どうだろう。』

結『乗り気じゃない感じ?』

美咲『そうじゃないけど』

結『じゃあ営業ニ課行くわ!』

美咲『ちょっと』

最後のLINEを送った瞬間、課の出入り口から声がした。

「美咲~」

ニヤニヤと結が小振りに手を振る。

来たよ。

あたしはデスクを立ち結に駆け寄る。

「結局来ちゃった。」

ニヤける結。

「見に来たの?」

「見に来たし、直接ご飯のお誘いに来ちゃった!」

結がキョロキョロと課内を見渡す。

その結の後ろに

「すみません。」

自販機で買ってきたであろう、コーヒーを持つ大西が。

「あ、ごめんなさい。」

結が振り返る。

タイミング~

結は男好きだから会わせたくなかったー。

「あ、君!新人君?」

結は大西の首から下げているネームを手に取った。

「大西遥人君!」

「は、はい。」

「わたし、小池美咲の親友の日野結。美咲がお世話してまーす。今日の夜って暇?」

「あ、えー、まぁ…」

大西、ちらっとあたしを見る。

「三人でご飯行かない?」

「さ、三人ですか?…」

「結、大西君困ってるでしょ!」

「困ってないよね~?」

「えぇ、まぁ…」

またチラっとこっちを見る。

ワンコみたいー。

結が話を続ける。

「じゃあさ、友達誰かいない?」

「友達ですか?ちょっと聞いてみます。」

「じゃあ、よろしくね!」

結は大西の型をポンポンっと叩いて出て行った。

「ごめんね。強引で。」

「いえ。どうせ一人暮しですし。」

「彼女とかに怒られない?」

「彼女とかいないんで…」

いないんだ。

大西のちょっと強引だったキスを思い出す。

キス上手だったな。

「小池さん?」

はっと我に帰る。

欲求不満なのかなぁ、あたし。

「あ、じゃあ場所決まったら連絡するね!」

あたしは慌ててデスクに戻った。

そういえば、昨日バタバタして資料の事そのままだっけ!

コーヒーを飲みながら大西がコピーを取ってる。

50部。

間に合うかしら。

あたしは再び大西に駆け寄る。

「間に合う?」

「昼休み削れば間に合いますから大丈夫ですよ。小池さんと食事楽しみなんで。」

ニコリと笑う。

かわいい。

唇を見つめる。

このコ、あんなキスしちゃうんだよね。

再び思い出す。

ダメダメ!

酔ってした事だし、本人覚えてないんだもん。

デスクに戻り、明日のプレゼンの準備を始めた。
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