上 下
3 / 62
3

新人

しおりを挟む
コンビニに寄り、ストッキングを履き替えてたらギリギリの時間になってしまった。

あたしの会社、スムースエージェントは大手広告会社で、あたしは営業二課にいる。

オフィスの課に着くと、新人がまだ来ていないと先輩の御局様こと、冬沢幸子さんが大騒ぎをしていた。

冬沢さんは30代後半といったところ。

独身。

後輩いびりで有名で、何人やめていった事か。

あたしはここの営業部の部長で不倫相手の古川慎太郎お陰でこの人から守って貰った。

新人。

こっぴどく怒られるんだろうなぁ~。

9時からの朝礼に新人間に合わないか~。

朝の始まりは、課長の二葉康二が取り仕切り、二課の朝礼が始まる。

二葉課長はイケメンとは言えない熊のような人だか家庭を大切にする40代後半の男性。

「新人の大西君から連絡があり、電車でトラブルに巻き込まれ、終わり次第出社すると連絡があった。
なので大西君の紹介は夕方、またみんなが集まる時に紹介しようと思う。
以上解散。」

電車でトラブルかぁ~。

朝、助けてくれた男性は大丈夫だったかしら。

お礼も言えなかった。

「小池くーん。」

課長からの呼び出し。

「なんでしょう。」

「実は今日来る新人なんだが、小池君と一緒に取引先を回ってもらおうと思ってるんだよ。」

「はぁ。」

「君は取引先からも評判がいいし、部長からもお墨付きをもらっているからね。
しばらく大変だがよろしく頼む。」

「わかりました。出社したら軽くミーティングして連れて行きます。」

新人君が来る前に先方への挨拶に行く準備をしよう。

大西君って言ってたけど、男のコ?

女のコでも君ってつけるしなぁ~。

あんまり詳しく聞いてなかった。

どっちでもいい子だといいなぁ~。

新人に期待を膨らませ、朝の嫌な出来事も吹き飛んできた時大きな声が聞こえた。

「おはようございます!新人の大西遥斗です!」

「???」

「あー!」

朝の彼だ!

思わず大声が出てしまった。

彼と目が会うと、彼はニコリと笑った。

近くに来た冬沢さんが

「小池さん、知り合い?」

と尋ねてきた。

「えっと~…」

どう答えようか迷っていると、彼が近づいてきた。

「先日はありがとうございました。
俺おっちょこちょいで駅で財布落としちゃって、拾って貰ったんです。」

「なーんだ。そうなの?」

「えぇ…まぁ…」

彼が内緒と言うようにウィンクする。

「二葉課長から小池さんに仕事を教わるように言われました。
まず何をしたら?」

あ、そうだった。

「とりあえずミーティングルームに行きましょう。」

2人きり。
お礼言わなきゃ。

大西君を連れてミーティングルームに。

なんかドキドキする。

ってか、あの時声聞かれてるじゃん!

一気に体が熱くなった。

「あの~」

「あ、とりあえず座りましょうか。」

向かい側同士に椅子に腰掛けた。

とりあえずお礼を。

「今日はありがとう。わたし、そのまま行ってしまって。大丈夫だった?」

「何とか。」

彼はにこやかに話した。

「あの後、本当は被害者の小池さんもいなければいけなかったみたいですけど、色々警察に聞かれるのも嫌だろうなって思って。」

あー。

そりゃわかるよね~。何されてたか。

思い出して更に顔が赤くなっているのがわかる。

顔が熱い。

「他にも余罪があったみたいですし、大丈夫ですよ。」

「そうなんだ…でもほんとにありがとう。冬沢さんにも聞かれたくなかったし。あの人色々聞いてくるから。」

「そうだと思いました。」

大西はニコリとした。

なんていい子なの~。

とりあえず仕事の話しなくちゃ。

「仕事の話するね。
とりあえず今日は取引先の所に挨拶だけ行きましょう。
もう名刺も届いてるはずだし、先方に顔を覚えてもらいにね。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

彼氏の前でどんどんスカートがめくれていく

ヘロディア
恋愛
初めて彼氏をデートに誘った主人公。衣装もバッチリ、メイクもバッチリとしたところだったが、彼女を屈辱的な出来事が襲うー

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

壁の薄いアパートで、隣の部屋から喘ぎ声がする

サドラ
恋愛
最近付き合い始めた彼女とアパートにいる主人公。しかし、隣の部屋からの喘ぎ声が壁が薄いせいで聞こえてくる。そのせいで欲情が刺激された両者はー

人妻の日常

Rollman
恋愛
人妻の日常は危険がいっぱい

美少女幼馴染が火照って喘いでいる

サドラ
恋愛
高校生の主人公。ある日、風でも引いてそうな幼馴染の姿を見るがその後、彼女の家から変な喘ぎ声が聞こえてくるー

秘密 〜官能短編集〜

槙璃人
恋愛
不定期に更新していく官能小説です。 まだまだ下手なので優しい目で見てくれればうれしいです。 小さなことでもいいので感想くれたら喜びます。 こここうしたらいいんじゃない?などもお願いします。

処理中です...