空に憧れて

未来の小説家

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みんなのところ

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「こうすけ!俺の駒と勝負だ!」

「よーし、負けないぞ!」

 昔よく駒回ししたよな。あの時から僕は友徳と仲良かったよな。友徳は根っから明るくてみんなが着いてくるようなやつだった。

「なあ俺たちがお爺ちゃんになる頃ってどんな時代なんだろな。」

「え、まぁ遠くの人と喋れたりとかすんじゃねぇの?」

「そんな事考えたらワクワクするよな!俺絶対長生きするんだ!」

「へぇ長生きするってのも大変だぜ。働けないジジイは山へポイされる。」

「でも、見たくない?想像もできない未来をさ。」

「未来ねぇ。」

 この時までは僕たち仲良かったんだよな。そうあの時までは。

 僕が
「ねぇこうすけ君放課後何してるの?」

「あ、畑の手伝いかな。」

「えぇ偉いのねこうすけ君って。」

「そうかな。みんなそんなもんだぜ。」

「じゃあ、夜って何してるの?」

「ご飯食べて本読んだりとか、」

「じゃあ今日の夜9時頃私の家の近くの空き地に来てね。」

「家ってどこ?」

「三丁目」

「うん。」

「あ!あと友達も連れてきてね!」

「あ。」

 言っちゃった。彼女は靖子。クラスの中で活発な方で、顔も可愛い。向日葵のような存在だった。

「友徳、今日靖子に誘われてさ。夜9時に友達連れて3丁目にこいって。」

「へぇそらてめえに気あるんじゃねぇの⁉︎というか本当は俺を好きなのに恥ずかしいから親友のこうすけから紹介してもらおうって乙女心かも…絶対、絶対だ!絶対行こう!」

「でも9時だぜ?大人に見つかりでもしたら大事になる。」

「友よ。これが青春ってやつだ。」

 友徳は俺に肩を組み、ボソッとささやいた。

「いや~靖子って俺言っちゃなんだけど結構可愛いと思うんだよね。ね、そうだよな⁉︎」

「まぁそうかなぁ。」

「どうしよう?好きです!って急に告白されたら、、、その時ははいかいいえか?いやこの男ともノリ何があろうともはいと言ってみせよう。」

「いや、僕の事好きな可能性だってあるじゃないか。」

「え、こうすけを?ないない、こんな暗いやつを好きになるわけあるか!」

「勝負しようよ。僕と友徳のどっちが靖子と致せるか。」

「いいよ。俺が負けるわけがない。」

 こんな感じで喧嘩しながらも一回別れ、夜9時前落ち合った。

「でも、友達連れて来いって他に誰かいるのかな?」

「だから、その友達ってのが俺で、こうすけに連れてきてもらうって算段さ。ひとりだよ。」

「なんでだよ。というか急に告白なんてしないだろ普通。まともに喋ったこともないのに。」

「一目惚れってやつよ。そんな恋だってこの友徳受けて立って見せましょう!お姫様。」

「お姫様って…そんな柄じゃないだろ。」

「なんだよ。悪いかよ。」

「別に」

 自然と2人の顔は笑っていた。

「3丁目の空き地ってここだよな。あードキドキする。」

「2人いる。誰だ?」

「おーい!ここだよ!」

「しっー!バレたらどうすんだっての!」

 そこには靖子と美智子がいた。美智子は可愛いというよりも綺麗って感じでお淑やかな女の子だ。靖子とは性格合わなそうなのになんでここにいるんだ?

「こうすけ君。それにとものり君。あなたたちには私たちの男友達になってもらいます!」

「え、友達ってそんな感じで作るもんじゃないだろ。」

「いいじゃん。まずは友達からってことでしょ!」

「そんなつもりじゃないわ。ただ私は自由になりたいだけ。要はこの夜の時間帯は女の子だけで遊んでると危ないでしょ!クラスのあの子から襲われちゃうかも!だから私たちを守って欲しいの!」

「そんなのしたくないよ。大人にバレたらどうなることか。」

「はーいお守りしまーす!我の名は靖子様親衛隊です!なぁお前もそうだろ!」

「じゃあ決定ね。毎日9時にここで集合ね。」

 もう身勝手なやつらだ。顔を上げると美智子と目があった。

「こうすけ君よろしくね。」

「あ、うん。」

 美智子はうっすら微笑みながら僕の顔を見ていた。

 それから僕らは毎晩会うようになった。

「美智子は何を見てるの?」

「星よ。星。私たちはお星様に毎日守ってもらってるの。」

「ふーんお日様じゃないんだね。」

「昼はお日様。夜はお星様よ。お星様は私達の祖先が眠ってるの。みんな星になるのよ。よくみてあれ白鳥座!」

「え?どれ?」

「あれよあれ!」

「あれってどれよ⁉︎」

 2人は2人の時間と空間の中で星見ていた。あの日はよく笑ったな。生きていて1番笑った夜かもしれない。

「あー。美智子とこうすけイチャイチャしてる!もうこれなんだから男はいけないわ!」

「いや、そういうつもりじゃなくて。」

「もういい。」

 靖子は帰ってしまった。






 
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