雨宿りと快雨

未来の小説家

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快雨

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 どうも空の雲が薄暗くなってきた。嫌な雨が降りそうだ。ポツリポツリと大きな雨粒が落ちてくる。今日は傘を持たないで、出てきてしまった。天気予報を見ないのは俺の悪いくせだ。
 
 疎雨そうだった雨は、少しずつ強くなり、鉄砲雨になった。少し雨が止むのを待とうと、商店街の駄菓子屋の前で雨宿りをする。10分、20分と経ったがは緩まるところを知らない。雲を消え、天気雨となったとき見覚えのある顔が雨宿りをしに入ってきた。一目でわかった咲良だ。中学の時、俺が密かに思い続けていた人だ。

 大人になって改めて見るとやっぱり初雪のような透き通るような肌と本当に日本人なのかと疑わせるぱっちりとした大きな二重の目は下界に舞い降りた女神だ。

「あれ?翔太くん?久しぶりじゃん!」
と話かけてきた。
 俺は突然のとこに戸惑いを隠せず。
「ひ、久しぶり。」
「中学以来?けどあまり変わらないね。」
「あ、そう?米倉さんも相変わらず。」
 おっと俺のしたことが下心丸見えの発言をするとこだった。
「雨、止まないね。向こうの方に厚い雲があるからもっと降りそう。」
「そうだね。」

「ねぇ、空は晴れてて雨が降ってるってなんかちょっといいよね。」
「そうかな。」
「家近所だよね?ちょっと家まで競争しない?」
「え?」
「いいからいいから。よーいどん!」

 彼女は雨の中走り出した。仕方なくついて行く。咲良に追いつき、横に並んで走っていると、びちょびちょなのに、心と空は晴れ渡った。美しい雨だな。心地いい雨だ。
 
 雨は幸運を連れてきた快雨だった。
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みんなの感想(1件)

ねる
2021.03.20 ねる

読ませて頂きました。
青春を感じる話だなと思いました。

解除

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