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「貴女は甘すぎる」
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そういうわけで、あたしは、お店の裏のスペースでおいしいお紅茶と――これから、天才パティシエのブリュレをいただく!
キッチンとひと続きのお店のなかのスペース。
あたしは天才パティシエがブリュレを作る、その後ろ姿を見つめている。
複雑で、華麗。
トントン、ザッ。ザカッ。ジジジ……ガッタン。
なんか、なんていうか、……すごいな。
「いいのかい、ココちゃん。ミカドのブリュレの前に、ほれ、ビスケットもクッキーもあるんだぞ。ふわっふわのショートケーキは、どうだいぃ??」
「あ、いいんです、あたし、見てられれば……」
「やれやれ。ココちゃんはホントに、調理場の観察が好きだな」
「……できました」
天才パティシエミカドは無表情でコトン、とテーブルにブリュレを置く。
まあるい、いれもの。
表面が、きつね色にこんがり。それでいて、やわらかそう。
ブリュレとは、フランス語で「焦がしたクリーム」――まさにそういう見た目だった。
あたしは、ごくん、と生唾を飲み込んだ。
そして、両手を合わせる。
「……いただき、ます」
スプーンを、手に取った。
もぐ、と。
……あたしはものすごくめちゃくちゃびっくりした。
一言でいうならそこは、
天国、
だった。
……口のなかが天国で満たされた。
それはあたしがいままで知らない甘さだった。お上品で、おとなびていて――。
「おいしい……」
「だから、言ったでしょ。僕はお客さんにはスイーツのことだけ考えていてほしい。店の新人がなんだとか、かんだとか、んなの関係ないじゃないですか。スイーツ業界はね、そんなに『甘くない』んですから」
そんなことをイヤミったらしく言われてるのに、
……それがまるで天使のお告げのように聞こえるよ。
「……僕の弟子になりたいなら、貴女は甘すぎます」
そんなことを。
そんなことを、言われても、さ。
キッチンとひと続きのお店のなかのスペース。
あたしは天才パティシエがブリュレを作る、その後ろ姿を見つめている。
複雑で、華麗。
トントン、ザッ。ザカッ。ジジジ……ガッタン。
なんか、なんていうか、……すごいな。
「いいのかい、ココちゃん。ミカドのブリュレの前に、ほれ、ビスケットもクッキーもあるんだぞ。ふわっふわのショートケーキは、どうだいぃ??」
「あ、いいんです、あたし、見てられれば……」
「やれやれ。ココちゃんはホントに、調理場の観察が好きだな」
「……できました」
天才パティシエミカドは無表情でコトン、とテーブルにブリュレを置く。
まあるい、いれもの。
表面が、きつね色にこんがり。それでいて、やわらかそう。
ブリュレとは、フランス語で「焦がしたクリーム」――まさにそういう見た目だった。
あたしは、ごくん、と生唾を飲み込んだ。
そして、両手を合わせる。
「……いただき、ます」
スプーンを、手に取った。
もぐ、と。
……あたしはものすごくめちゃくちゃびっくりした。
一言でいうならそこは、
天国、
だった。
……口のなかが天国で満たされた。
それはあたしがいままで知らない甘さだった。お上品で、おとなびていて――。
「おいしい……」
「だから、言ったでしょ。僕はお客さんにはスイーツのことだけ考えていてほしい。店の新人がなんだとか、かんだとか、んなの関係ないじゃないですか。スイーツ業界はね、そんなに『甘くない』んですから」
そんなことをイヤミったらしく言われてるのに、
……それがまるで天使のお告げのように聞こえるよ。
「……僕の弟子になりたいなら、貴女は甘すぎます」
そんなことを。
そんなことを、言われても、さ。
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