「推し」のためならなんでもできるっ ~もしもマッチ売りの少女が「マッチ売りの少女」のオタクだったら?~

今年最後の寒い雪の日。かわいそうな少女は、がんばってマッチを売っていました。
幸福そうなひとびとは、だれひとりとして、少女に目を向けません。
少女は、焦っていました。だって少女は、ふしぎなお導きで、「マッチ売りの少女」という物語をすでに知っていて――このままだときっと自分が昇天するということも、知っていました。
「マッチ売りの少女」は少女の大好きな物語でしたが、かといって、そのままの流れになっていいとも思いません。天国のおばあさんには、会いたいけど、まだ早すぎる気がするのです。

どうしよう、どうしようと思いつつも、マッチは売れず、時ばかり過ぎて、どんどん寒くなっていきます。
少女は、マッチを擦りました。ほしいものは――大好きなキャラクター。

つまり、推しでした。
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