白に染まる

スカートの中の通り道

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第二十話 めちゃくちゃになる居場所 ※性的な表現が含まれています。観覧の際はご注意ください。

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 目の前の現れたのは、肩にカバンを掛け、今まさに帰宅しようとしている洞野だった。暗がりの中、窓の外から雷の閃光と共に轟音が鳴り響いた。
「洞野……先輩……」
 胸の奥から湧き上がる嫌悪感を、僕は何とか飲み込む。正直、この人に助けを求めるなんて屈辱的だ。洞野に頭を下げるくらいなら、知らない誰かにすがった方がまだましだとさえ思った。
 だけど、ありさ先輩の苦しむ姿が脳裏をよぎる。
 今は時間がない。僕のプライドなんて捨てなければならない。この非常時では、是が非でも洞野の協力が必要だった。
「……チッ……なに?」
 無表情のまま、億劫そうに言葉を吐き出す。僕はその態度に、ざらっとした感触を胸に感じた。
「あっ……すいません。その……友達が……」
 焦りや警戒心から、うまく言葉が出せなかった。洞野が冷淡に言う。
「……だから、なに?」
「友達が……高熱を出していて……。僕だけじゃ、どうにもならないんです……」
 ありさ先輩の名前を出すことを、どうしても躊躇ってしまう。
 洞野が抱いている先輩に対する恋心は厄介だ。僕のような純粋な想いとはまるで異なり、その歪んだ想いはストーカーまがいの執念じみたものだ。その危うさは、この異常事態であっても僕に迷いを生じさせる。
「知らない」
 そう言って、洞野が足を進めようとする。
「ま、待ってください」
「無理。俺、関係ない」
 その言葉が、僕に冷や水を浴びせる。
「お願いです……少しだけでいいんです……」
「なら、救急車、呼べばいい」
 当然のように突き放してくる洞野の言葉に、僕は言葉を失う。だけど、それはできない。ありさ先輩のことを思うと、事を大きくするわけにはいかなかった。
 それに、念願だったインターハイが今日、惨憺さんたんたる結果で幕を閉じたばかり。今の先輩は、絶望と失意の果てに沈んでいるに違いない。そんな先輩に、さらに負担をかけるなんて耐えられなかった。
 そこへきて僕の軽率な行動だ。罪悪感が胸を締めつけて離さない。自分の身勝手さが、どれだけの迷惑を先輩にかけたのか、その重みがのしかかりどうしようもなくやるせない気持ちが込み上げてくる。
「……呼べないんです」
 俯く僕に対し、洞野が言う。
「それ、お前が悪い。お前が、バカだから」
 無情で、切り捨てるような一言だった。
 怒りと屈辱、そして言いようのない無力感が胸の奥で煮えくり返り、僕はただ唇を噛みしめるしかなかった。洞野の言葉が的を射ていることを、痛いほど理解していたからだ。
 このすべての感情の源は、他ならぬ僕自身の愚かな行動にある。言い訳なんて一つもできるわけがない。
 こんなにも情けなく、自己嫌悪に苛まれる瞬間はなかった。
「……わかってます」
 でも、限界はすでに超えていた。頭は混乱し、心は擦り切れかけていた。
「……助けてほしいのは、ありさ先輩なんです……」
 その言葉に、洞野の態度が急変した。目を大きく見開き、まるで焦りに駆られたような不安定な表情が浮かぶ。
「宮城っ!?」
 驚くほどの変貌ぶりに、僕は一瞬たじろいだ。洞野の視線には、抑えきれない執着がにじんでいる。
「どこ! 早く、案内しろ!」
 その声に隠された薄汚れた本性が、ふと顔を覗かせた瞬間だった。洞野の目は異様な光を放ち、彼の執念があらわになった

 僕は洞野を連れて体育館へと戻った。扉を開けると、中央にありさ先輩が仰向けに倒れている。それを見た洞野は、すぐに走り出した。体育館の床を打つ足音が、外から響く雨音にかき消されるように響く。
「ほっ、ほっ、ほっ……」
 洞野の喉から漏れるその奇妙な声。低く不気味な、まるでフクロウの鳴き声のようでいて、それは洞野が興奮状態にあるときに現れる反応だった。僕はその反応に戸惑いながらも、洞野に続く。
 そして僕は、ありさ先輩の姿を目の当たりにして、深く後悔した。先輩のブラウスは、ボタンがいくつも外れた状態のままであり、無防備にも僕と洞野に胸元を曝け出す格好となっていたのだ。

 ーー僕は、本当にバカだ……。

 ありさ先輩を見下ろす洞野の目はぎらつき、欲望が混じった異常な光を宿している。助けるつもりのはずが、逆に洞野の興奮を呼び起こすきっかけになってしまっている。
 
 ーー違うんだ……そんなつもりじゃなかったんだ……。

 言い訳のように心の中で呟いてみても、その言葉は虚しく空回りし、羞恥と後悔の感情が押し寄せてくるだけだった。
 そんな中、洞野は先輩の額に手を当て、熱を確かめる仕草を見せた。しかし、その鋭い視線は終始先輩の体から離れることはなかった。
 直後、洞野が突然その場を離れ、スマホを取り出すと何やら電話をかけ始めた。
「え、救急車を……?」
 僕は驚き、慌てて問いただそうとしたが、洞野は無言で首を横に振る。しばらくして戻って来ると、短く言葉を発した。
「知り合いの、タクシー、呼んだ。裏に、来る」
 その言葉を聞いて、僕はほっと胸を撫で下ろした。

 ーーよかった……。これでなんとか、助かる……。

 だが、その安堵もつかの間だった。
「あと、数分で、来る」
 そう告げ、洞野はありさ先輩の隣に座り込むと、おもむろにズボンのファスナーを下ろした。そしてなんと、僕やありさ先輩のすぐそばでペ○スを手繰り出し、右手でしごき始めたのだ。
「な……なにをして……」
 しかし洞野は、僕の声を無視し、
「ほっ、ほっ、ほっ」
 左手でスカートを捲り上げパンツを露出させる。
「ほっ、ほっ……!」
 声が一層大きくなる。それは洞野の興奮が高まっている事を示していた。
 さらに洞野の左手が、容赦なく先輩のおっぱいを掴み、揉んだ。ブラ越しとはいえ、洞野の穢れた指が、乳房の中に沈まっていく。それから何度も何度も、僕の目の前でおっぱいを揉みしだき、その指を食い込ませる。
「や、やめろ!」
 その光景に耐えられず、僕は思わず声を張り上げる。しかし、洞野は意に返さない。
「イヤなら、救急車、呼べ。タクシー、俺だけ、乗って帰る」
 そのたった一言の言葉に、僕は身動きが取れなくなった。
 洞野が非情な笑みを浮かべる。邪魔者がいなくなったとばかりに、荒々しく勃起したペ○スをさらに強くこすり上げながら、先端を乳房に当て、そのまま女肉に押し込んだ。
「ほーっ!」

 ーーなんてことを……。

 悔しさと屈辱で、僕の胸は海に沈んで行くかのようだった。無意識のうちに、拳が固く握りしめられていたが、それでも僕にはただ立ち尽くすことしかできなかった。
 いつもそうだ。玉津のときも、和志のときも、そして洞野も。僕は結局、何もできずに無力な自分を突きつけられるばかりだ。僕が憧れたり、手を伸ばそうとしたりした途端、男たちは平然と自分のもののように振る舞いその体を弄んでいく。僕の目の前で……。
 耐えられないほどの悔しさが全身に広がり、僕は思わず目を逸らした。
 だがそのとき、洞野のスマホが鳴り響いた。
「……チッ……そろそろ、だ」
 そう言った洞野の声には、どこか名残惜しさが滲んでいた。その瞬間、怒りの炎が一気に胸の奥で燃え上がったが、僕は必死に衝動を抑え込んだ。拳に力を込めたまま、冷静を保つ。
「お前、手伝え」
 洞野が指図する。
 僕が疑問に思っていると、洞野がシャツを脱いで上半身裸になった。
「俺、抱っこする。そしたら、シャツ、宮城の体に、羽織らせろ」
 抱っこと言う言葉に、僕は耳を疑う。
 すると洞野は、なんとペ○スを曝け出したまま先輩の体を抱っこしてかかえ上げたのだ。そしてありさ先輩の両手を首に巻き付け、お尻の下で自分の手を繋いで落ちないように固定した。僕と同じくらいの身長なのに、洞野の見かけによらない腕っぷしに、妙な敗北感を覚えた。
 しかしその二人の姿は、とても見るに耐えなかった。まるで対面立位のような体勢だったからだ。それにスカートが仕切りになっているとはいえ、洞野のペ○スが先輩の股間に当たっていることにたまらなく嫌悪した。
「おい」
 洞野だ。
「これ、どかせ」
 洞野は顎をクイッと動かし、僕に合図した。
 一体何を? そう思いながら近づき、二人の股のところを横から覗き込むと、先端を真っ赤に染め、我慢汁を溢れさせているペ○スが、スカートに押し付けられながらビクビクと鼓動していた。
 それを見て、すぐに理解した。
「早く、裾、捲れ。チン○に、被せろ」
 僕は仕方なく裾をつまみ上げ、言われた通りに被せた。するとペ○スは、スカートの裾に隠れまわりからは見えなくなった。でもその光景が、妙な興奮を駆り立てる。
 洞野は、またほっほっという声を発して、腰を左右に動かして股間をこすり合わせる。おそらく中では、ペ○スの先端が先輩のお腹の辺りに、そして竿の部分がパンツに当たっているのだろう。僕はその感触を想像しただけで、胸が異常なほど高鳴った。
 僕は震える手で、ありさ先輩の体にもう一枚のシャツを丁寧に羽織らせた。何かを隠すように、あるいは自分の罪を少しでも覆い隠したいかのように、慎重に。
「お前、俺と宮城、のバック持って、裏から出ろ。俺、正門から出て、裏に、回る」
 洞野は淡々と指示を出し、先輩を軽々と抱きかかえながら体育館を後にした。
 僕はただその場に立ち尽くし、重く沈む気持ちを抱えながら、手元に残った二つのバッグを無意識に握りしめた。シャツを羽織らせた先輩のぬくもりがまだ指先に残っているが、それはどこか遠く……心の中にある唯一の光と共に、自分の手を離れて行ってしまったような気がして、僕は空虚な世界を漂った。

 慎重にフェンスを乗り越え、道路沿いに出た。あたりを見回しても、タクシーはおろか洞野の姿すら見えない。胸の奥で不安が急速に膨らんだ。もしかして、洞野はありさ先輩をどこかへ連れ去ってしまったのではないか? そんな悪い予感が頭をよぎる。
 けど、それは杞憂だった。視界の向こうから、上半身裸の洞野がゆっくりと歩み寄ってきた。その腕には、まるで宝物を扱うように大切に抱かれたありさ先輩の姿がしっかりとあった。先輩の体は依然ぐったりとしているが、洞野の表情には焦りとともに、微かな誇りのようなものが滲んでいた。
 洞野が僕のそばまで来ると、急に怒ったような口調で言い放った。
「傘、差せ。俺と、宮城、びしょ濡れだ」
 その声に、僕はハッとした。手に持っていた傘を急いで広げ、二人を雨から守る。
「ボケっと、するな」
 なにも言い返せなかった。
 傘は一本しかなく、僕はその手で二人を覆い隠すように持ち続けた。ありさ先輩を抱える洞野の肩は濡れず、先輩の髪も体も、雨から守られている。僕自身は、傘の外で雨に打たれていた。
 そのとき、道の先から黒いワゴン車がやって来た。車には「個人」と書かれた行灯が取り付けられていて、近づいてくるとクラクションが鳴った。車は僕たちの目の前で止まり、運転席からサングラスにアロハシャツという奇妙な格好をした色黒の老人が降りてきた。年の頃は六十代くらいだろうか。
「おう甲介、待たせたな」

 ーーこうすけ?  洞野の名前か……。

 運転手は洞野に近づくと、まるで品定めをするように、図々しくありさ先輩を上から下までじろじろと眺め回した。その目には不快なほどの好奇心が浮かんでおり、やがてニヤリと口角を上げて、洞野に似た下品な笑みを浮かべた。
「ほう、なかなかの美人じゃねえか。お前の彼女か?」
 その言葉に、
「うん」
 洞野は一瞬の間も置かずに、まるで当然のように即答した。
「えっ……違う……」
 すぐに反論の言葉が口から出たが、雨の音にかき消され、誰の耳にも届かなかった。まるで僕の存在さえも、この雨に溶けて消えてしまったかのように。
「よし、そのまま助手席に乗れ」
 運転手がそう言い放つと、洞野は先輩を抱きかかえたまま車に乗り込む。僕はただ傘を握りしめ、それを眺めていた。
「ゆっくりな、頭ぶつけんなよ」
 そう言いながら、運転手は洞野に手を貸す。しかし僕は見逃さなかった。運転手がありさ先輩の体を支えるようにしながら、黒々としたゴツい手をスカートの中に忍ばせたことを。

 ーーなんで……どいつもこいつも……。

 そう思っていると、運転手の手はしっかりと先輩のお尻を揉んでいた。一度や二度じゃない。何度も何度も、口に入れたデザートを咀嚼するように、先輩の感触を確かめていた。
「ハハハ。お前の彼女、なかなかじゃねえか、ええ?」
 まるでからかうように、運転手は洞野に言う。そして、思い出したかのように振り返ると、
「おっと、お前は? 乗るのか?」
 一転してバツが悪そうに聞いてきた。
「あ、はい……」
 僕が答えると、運転手は舌打ちをして、
「なら、後ろだ。とっとと乗れ」
 無愛想に言った。
 僕は一人体を濡らしながら、よくわからない様々な感情に苛まれながら震えていた。

 車が走り出してから、数分が経った。
 車内では、ありえない光景が僕の目の前で繰り広げられていた。
 洞野に抱かれたまま、相変わらずありさ先輩の意識は朦朧としていて、ぐったりしている。
 しかしその状態を悪用するかのように、先輩はブラウスの上からブラのホックを外されていた。「締め付けは体に悪いからな」と言った運転手が、片手で器用に外したのだ。

 ーーけれど……それだけならまだしも……なぜ……?

 目を疑う光景だった。運転手はハンドルを握りながら、もう一方の手をブラウスの襟元に伸ばして、堂々とおっぱいを揉みしだいているのだ。僕の大切な想い人であるありさ先輩の胸を、僕の目の前でだ。
「お前の彼女、ぷりっぷりのたまらん乳してるじゃねえか!」
 興奮しているのか、その声は車内に響き渡る。
「……Dカップ」
 ボソッと洞野が言う。
「ハハハ! しばらく見ないうちに、お前も隅に置けなくなったな。こんな美人をものにするなんてよ。んで、セックスは、したのか?」
「……まだ」
「なんだと、まだ? おいおいしっかりしろよ。こんな極上の体を持て余すなんて、正気じゃねえぞ?」
 そう言って、運転手は先輩のパンツの中に手を伸ばした。
「おっ……おおっ! いいねえ、良い毛並みだ。やっぱり美人てえのは、アソコの毛も上品なんだな」
 僕は耐えかねて、耳を塞いだ。心がおかしくなりそうだった。それこそ正気でいられる自分が信じられなかった。普通なら、こんなことを見せられて我慢出来るわけがない。自分の好きな女性が、弄ばれているんだ。なんで、僕はじっとしていられる。
 僕は自問自答を繰り返しながら、必死に歯を食いしばる。
 するとまたしても、
「やや! これも上品だな。なんて艶々しいお◯ンコだ。膣肉の触り心地も最高だし、締まりも絶品だ。文句の付け所がない体だな」
 信じられない言葉だった。ついに、運転手の指が、ありさ先輩の秘部に侵入したのだ。
 僕は絶望に打ちひしがれて、全身から力が抜けた。
 下では運転手がお◯ンコに指を挿入し、上では洞野がありさ先輩の乳首にしゃぶりついている。

 ーーこの人たちは……本当に人間なのか? 赤い血が流れているのか?

 人ならざるものの所業。僕には、まるで理解できなかった。
 そのとき、
「あっ……ああっ……!」
 洞野だ。絶頂が近づき、これまでとは違う声を発するようになった。
「おっと、俺の手が当たってんのか。悪いわるい」
 運転手はそう言って手を抜き取ると、ありさ先輩のお尻に手を回し、グイグイと洞野に向かって押し込む。
「あっ……ダメだよ……当たってる!」
 素股のように、洞野のペ◯スが先輩の股間でこすれているのだ。
「ハハハ、どうだ、いいだろう!」
 運転手はなおもグイグイと刺激を伝える。
「あっ……ああ……もう……出る」
 洞野の顔が真っ赤に燃え上がる。
「出せ! 全部出して、ぶつまけろ!」
「宮城! 宮城! ああ……! 出すよ……出すからね!」
 その瞬間だった。
 洞野の体が大きく震え、直後、魂が抜けたみたいに一気に脱力した。洞野の満足気な表情がミラーに映り、僕はそれを憎々しげに見つめた。
 すると、車が信号で停車する。興奮した様子の運転手が、すぐさまスカートを乱暴に掴み上げると、ありさ先輩のお腹やパンツに、洞野の精液がべっとりと付着していた。
 目を覆いたくなる光景だった。
 だがそれを見た運転手は、横顔に不適な笑みを浮かべ、なにを思ったのか洞野の精液をたっぷりと指で掬い取った。

 ーーあっ……。

 そしてそれを、なんとありさ先輩の秘部に塗りたくったのだ。上から下まで、満遍なく、肌の奥底に浸透させるように……。
「これで、あと一息だな! ハハハ!」

 ーー最低だよ……こいつら……。

 二人に向けたつもりだったが、その言葉は僕の胸を深く抉った。
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