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第1部-ファフニール王国・自由編-
017_帰路
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翌日、穏やかな朝を迎えたリリア。オズウェルよりも早く起きたサンドラの作った朝食を食べて帰路へと着く。
馬車の中で名残惜しそうに後ろを眺めているリリアに、オズウェルは安心したように声をかけた。
「最初は連れてこないほうが良かったかと思いましたが、そうでもなかったようですね」
「自分のことを知れたこともそうだけど、サンドラ様にお会いできて良かったと思って」
「何かお話を?」
「無理せぬよう励ましてもらったんだけど、お話していると、なんだかとても懐かしいような気持ちになって。以前にお会いしたのは、私が物心つく前だというのに」
「もしかしたらどこかで縁があったのかもしれませんね。きっとまた会えるでしょう」
「そうかな。そうだと嬉しい」
「ええ」
どこか確信めいた肯定にリリアはじっとオズウェルを見つめるが、オズウェルはといえばどこ吹く風で目をそらし話題も変えた。
「これでもうリリア嬢がファフニール王国の出身であるといえますね」
「どういうこと?」
「ファフニール王家の血を引いているということは、レオファルドの血縁でしょう。そして、僕の家バーロンドも王家の親戚筋」
茶会でバーロンド家の遠縁だとついた嘘は、事実となった。だがオズウェルの言わんとすることがわからずにリリアは先を促す。偶然事実だったにせよ、公にできるものではない。
「ハミルトン家の養子になりませんか。そうすれば名実ともに、あなたはファフニール王国の身分を得ることができる」
「え? でも……」
突然何を言い出すのかと呆気に取られて見上げるリリア。
「王族の証である黒髪をお持ちですから、口さがない者たちが王家の隠し子だと騒ぐかもしれませんが、実際王家の者に手を出す度胸のあるものはおりません。それに、その黒髪のおかげで、僕やレオファルドのそばにいても何の違和感もない。いかがですか?」
「そんな……」
「急ぎはしません。ゆっくりお考えください」
そうして考える時間といわんばかりにオズウェルは黙り込んでしまい、屋敷までの帰路、リリアも考え込む。行きはあっという間だった距離が、帰りは随分と長いように感じていた。
馬車の中で名残惜しそうに後ろを眺めているリリアに、オズウェルは安心したように声をかけた。
「最初は連れてこないほうが良かったかと思いましたが、そうでもなかったようですね」
「自分のことを知れたこともそうだけど、サンドラ様にお会いできて良かったと思って」
「何かお話を?」
「無理せぬよう励ましてもらったんだけど、お話していると、なんだかとても懐かしいような気持ちになって。以前にお会いしたのは、私が物心つく前だというのに」
「もしかしたらどこかで縁があったのかもしれませんね。きっとまた会えるでしょう」
「そうかな。そうだと嬉しい」
「ええ」
どこか確信めいた肯定にリリアはじっとオズウェルを見つめるが、オズウェルはといえばどこ吹く風で目をそらし話題も変えた。
「これでもうリリア嬢がファフニール王国の出身であるといえますね」
「どういうこと?」
「ファフニール王家の血を引いているということは、レオファルドの血縁でしょう。そして、僕の家バーロンドも王家の親戚筋」
茶会でバーロンド家の遠縁だとついた嘘は、事実となった。だがオズウェルの言わんとすることがわからずにリリアは先を促す。偶然事実だったにせよ、公にできるものではない。
「ハミルトン家の養子になりませんか。そうすれば名実ともに、あなたはファフニール王国の身分を得ることができる」
「え? でも……」
突然何を言い出すのかと呆気に取られて見上げるリリア。
「王族の証である黒髪をお持ちですから、口さがない者たちが王家の隠し子だと騒ぐかもしれませんが、実際王家の者に手を出す度胸のあるものはおりません。それに、その黒髪のおかげで、僕やレオファルドのそばにいても何の違和感もない。いかがですか?」
「そんな……」
「急ぎはしません。ゆっくりお考えください」
そうして考える時間といわんばかりにオズウェルは黙り込んでしまい、屋敷までの帰路、リリアも考え込む。行きはあっという間だった距離が、帰りは随分と長いように感じていた。
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