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セレスティア王立学園編
10.私が公爵令嬢テルマイル
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――王城の迎賓館。
私、テルマイル・ハイネケンは12歳で望まぬ婚約をさせる。
今はお披露目パーティで私を紹介するタイミング待ちで待機中なのだけど、相手はこの国の王子なので大人の事情で断ることなど出来なかった。
望まぬ婚約ではあるけど、正直そこまで嫌ではない。
あ、勘違いしないで欲しいのだけど、婚約者に惚れたとか、そーいった感情は一切ないわ。
嫌では無いと言うより、全く関心がない。
――そう、それは私の事情と言うものだ。
「ではご入場下さい!我が王国ハイネケン公爵家!テルマイル様でございます!」
自身の名前を呼ばれ席を立つ。
大きな拍手と共に目の前のカーテンが開かれる。
「(はぁ……これじゃ見世物ね)」
笑顔でと言われていたけど、こんな気分で笑顔なんて作れるはずもない。
2度目の溜息を吐くと、目の前に金髪の高貴そうな少年が笑顔で私を迎える。
その後方にはこの国の王様の姿も見える。
人が生きる上で、他者への秘密事などいくらでもある。
それを気にして生きるより、他者から興味を抱かれなければ秘密を勘ぐ人もいない。
だけどこれだけ大勢の人の前に晒されてしまった今となっては、その時が来るまで本当の自分を偽り、仮面を被り続けなければ。と、前を向き、イケメン王子に笑顔を向けた。
王子の後方に立つテレスティア王が私に微笑みかけ。
「テルマイル嬢、後ほど教会より聖女が貴殿へ予言を授けてくれるそうだ」
聖女の予言?
「そう身構えなくともよい。教会の説教だとでも思って聞いておればよかろう」
テレスティア王はそう言うと私の父へと興味が移る。
教会認定聖女の噂は聞いているけど、その姿を見た者は居ない。
聖女認定は確か6年前。
それ以来なぜ教会がその存在だけ公表し、聖女自身は姿を見せないのか不思議だった。
そんな彼女に今日会えると聞き私は。。。
「(興味深いわね)」
――――
――
時は流れ、王立テレスティア学園入学前日。
「お嬢様、礼拝が終わりますまで我々はこちらで待機しております」
家令達が頭を垂れる中、私は目の前の聖堂へ歩みを進める。
翌日からの学園生活を平穏なものとするため、礼拝へ訪れたのだ。
一般の方も多く居る為、騒ぎを起こさない様今日はフード付きのロングマントを羽織っている。
――ドン
聖堂へ入るその時、独りの修道女と肩をぶつけてしまう。
「大丈夫ですか?」
「あ、はい。少し考え事をしてましたすみません」
そう答えながら、修道女は自身のフードを下す。
その燃える様な赤い髪に、強い意志を感じるその瞳は、聖職者と言うより冒険者を思わせる。
そう、教会認定の聖女様だ。
相手が聖女だと気付き、私もフードを下す。
が、次の瞬間。
「悪役公爵令嬢!」
「今日も居たのね性悪聖女」
睨み合う虎と龍。
――私達がここまで犬猿となったのには大きな理由がある。
そう、あの婚約発表のあの日。
私は初めてこの国の聖女と会った。
そこで彼女が言った予言なるものに私は怒りを爆発させたのだ。
――「あなたはいずれこの国の王妃となる」
予言が始まった最初の言葉がコレである。
その言葉でこの女が聖女なんかでは無い事を私は悟る。
王子の婚約者に「そのうち王妃になる」なんて予言でもなんでもない。
それに私は婚約はすれど、王子と結婚するつもりが全くない。
「学園に通う様になる頃にはその美しさで様々な殿方が貴女に釘付けとなり――」
「……あなた。偽物?」
「は?」
予言を続ける彼女に思わず本音がこぼれたのは仕方ない事だと思う。
「だって予言ではなく、ずっと貴女の予想を私に言ってるだけの様な気がして」
「はぁあ!?よ、予言にきまってるじゃない!これだから悪役公爵令嬢は」
「……聞き間違いかしら?今なんておっしゃいまして?」
「あ、ヤバ。べ、別に……そ、それより予言の続きを」
「私の何が悪役なのかしら」
「聞こえてるじゃない!ぁあ~もう!だからこんな本筋にあるか無いかの仕事なんてしたくなかったのよ!」
何が気に障ったのか、怒り出す偽聖女。
「だいたいね!聖女として時期王妃となるあなたに予言をって言い出したのはテレスティア王なのよ?断れるわけないじゃない!「予言の書」とか言って台本渡して来るし!――あ、でもまぁお布施は個人的に結構な額もらっちゃったし?この世界で生きていくにはやっぱりお金って必要なわけで……って!私の事はいいのよ!そもそもなんで婚約発表が12歳の今な訳!?6歳でしょ!6歳で婚約発表しなさいよ!」
偽聖女は意味が有るのか無いのか言葉を捲し立てる。
だけど一つだけはっきりした事がある。
「守銭奴の性悪聖女」
あ、声にでちゃったわ。
「だ、誰が守銭奴よ!」
確かに、お金は必要だものね。なら――
「性悪聖女?」
「はぁあ?なにこの悪役令嬢!悪役の上に根性最悪ってホント最悪ね!」
「だ、だれが悪役よ!このインチキ聖女!」
「うるさい!ブス!」
「はぁあああああ?ブスはそっちでしょ!」―――
それが私と偽聖女との初めての出会いだった。
――――
――
――そして時は聖堂入口に戻り――
「いい悪役令嬢。明日からあんた絶対私の邪魔しないでよね」
「あぁ~王子の事?忘れてたわ。あんなの全然興味ないんだけど?」
「……ほんと貴女って冷酷よね」
「普通にしているだけよ。それより貴女も私の邪魔はしないで下さいね」
「し、しないわよ!近づきたくもないわよ!」
「それなら学園生活の平和は守られますわね」
「当然じゃない」
そう言って二人は別れたのだった。
私、テルマイル・ハイネケンは12歳で望まぬ婚約をさせる。
今はお披露目パーティで私を紹介するタイミング待ちで待機中なのだけど、相手はこの国の王子なので大人の事情で断ることなど出来なかった。
望まぬ婚約ではあるけど、正直そこまで嫌ではない。
あ、勘違いしないで欲しいのだけど、婚約者に惚れたとか、そーいった感情は一切ないわ。
嫌では無いと言うより、全く関心がない。
――そう、それは私の事情と言うものだ。
「ではご入場下さい!我が王国ハイネケン公爵家!テルマイル様でございます!」
自身の名前を呼ばれ席を立つ。
大きな拍手と共に目の前のカーテンが開かれる。
「(はぁ……これじゃ見世物ね)」
笑顔でと言われていたけど、こんな気分で笑顔なんて作れるはずもない。
2度目の溜息を吐くと、目の前に金髪の高貴そうな少年が笑顔で私を迎える。
その後方にはこの国の王様の姿も見える。
人が生きる上で、他者への秘密事などいくらでもある。
それを気にして生きるより、他者から興味を抱かれなければ秘密を勘ぐ人もいない。
だけどこれだけ大勢の人の前に晒されてしまった今となっては、その時が来るまで本当の自分を偽り、仮面を被り続けなければ。と、前を向き、イケメン王子に笑顔を向けた。
王子の後方に立つテレスティア王が私に微笑みかけ。
「テルマイル嬢、後ほど教会より聖女が貴殿へ予言を授けてくれるそうだ」
聖女の予言?
「そう身構えなくともよい。教会の説教だとでも思って聞いておればよかろう」
テレスティア王はそう言うと私の父へと興味が移る。
教会認定聖女の噂は聞いているけど、その姿を見た者は居ない。
聖女認定は確か6年前。
それ以来なぜ教会がその存在だけ公表し、聖女自身は姿を見せないのか不思議だった。
そんな彼女に今日会えると聞き私は。。。
「(興味深いわね)」
――――
――
時は流れ、王立テレスティア学園入学前日。
「お嬢様、礼拝が終わりますまで我々はこちらで待機しております」
家令達が頭を垂れる中、私は目の前の聖堂へ歩みを進める。
翌日からの学園生活を平穏なものとするため、礼拝へ訪れたのだ。
一般の方も多く居る為、騒ぎを起こさない様今日はフード付きのロングマントを羽織っている。
――ドン
聖堂へ入るその時、独りの修道女と肩をぶつけてしまう。
「大丈夫ですか?」
「あ、はい。少し考え事をしてましたすみません」
そう答えながら、修道女は自身のフードを下す。
その燃える様な赤い髪に、強い意志を感じるその瞳は、聖職者と言うより冒険者を思わせる。
そう、教会認定の聖女様だ。
相手が聖女だと気付き、私もフードを下す。
が、次の瞬間。
「悪役公爵令嬢!」
「今日も居たのね性悪聖女」
睨み合う虎と龍。
――私達がここまで犬猿となったのには大きな理由がある。
そう、あの婚約発表のあの日。
私は初めてこの国の聖女と会った。
そこで彼女が言った予言なるものに私は怒りを爆発させたのだ。
――「あなたはいずれこの国の王妃となる」
予言が始まった最初の言葉がコレである。
その言葉でこの女が聖女なんかでは無い事を私は悟る。
王子の婚約者に「そのうち王妃になる」なんて予言でもなんでもない。
それに私は婚約はすれど、王子と結婚するつもりが全くない。
「学園に通う様になる頃にはその美しさで様々な殿方が貴女に釘付けとなり――」
「……あなた。偽物?」
「は?」
予言を続ける彼女に思わず本音がこぼれたのは仕方ない事だと思う。
「だって予言ではなく、ずっと貴女の予想を私に言ってるだけの様な気がして」
「はぁあ!?よ、予言にきまってるじゃない!これだから悪役公爵令嬢は」
「……聞き間違いかしら?今なんておっしゃいまして?」
「あ、ヤバ。べ、別に……そ、それより予言の続きを」
「私の何が悪役なのかしら」
「聞こえてるじゃない!ぁあ~もう!だからこんな本筋にあるか無いかの仕事なんてしたくなかったのよ!」
何が気に障ったのか、怒り出す偽聖女。
「だいたいね!聖女として時期王妃となるあなたに予言をって言い出したのはテレスティア王なのよ?断れるわけないじゃない!「予言の書」とか言って台本渡して来るし!――あ、でもまぁお布施は個人的に結構な額もらっちゃったし?この世界で生きていくにはやっぱりお金って必要なわけで……って!私の事はいいのよ!そもそもなんで婚約発表が12歳の今な訳!?6歳でしょ!6歳で婚約発表しなさいよ!」
偽聖女は意味が有るのか無いのか言葉を捲し立てる。
だけど一つだけはっきりした事がある。
「守銭奴の性悪聖女」
あ、声にでちゃったわ。
「だ、誰が守銭奴よ!」
確かに、お金は必要だものね。なら――
「性悪聖女?」
「はぁあ?なにこの悪役令嬢!悪役の上に根性最悪ってホント最悪ね!」
「だ、だれが悪役よ!このインチキ聖女!」
「うるさい!ブス!」
「はぁあああああ?ブスはそっちでしょ!」―――
それが私と偽聖女との初めての出会いだった。
――――
――
――そして時は聖堂入口に戻り――
「いい悪役令嬢。明日からあんた絶対私の邪魔しないでよね」
「あぁ~王子の事?忘れてたわ。あんなの全然興味ないんだけど?」
「……ほんと貴女って冷酷よね」
「普通にしているだけよ。それより貴女も私の邪魔はしないで下さいね」
「し、しないわよ!近づきたくもないわよ!」
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「当然じゃない」
そう言って二人は別れたのだった。
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