恋愛短編小説集

サイレント・ラブ・ソング

高校2年生の春、17歳の美咲は突然の病気で声を失ってしまう。夢だった合唱コンクールに出られなくなり、美咲は深い絶望感に囚われる。学校にも行けず、友達とも会えない日々が続く中、一通の手紙が彼女の元に届く。差出人は、クラスメイトで文芸部員の健太だった。
健太は美咲の歌声に惹かれていたが、彼女の病気を知り、何かできることはないかと考えていた。手紙を通して二人の交流が始まる。会話はできなくても、文字を通して美咲は健太の優しさに触れ、彼に惹かれていく。
夏休みが終わり、美咲は学校に戻ってくる。健太の励ましもあり、少しずつ前を向いて生きようと決意する。文化祭で健太が美咲への思いを込めて書いた詩の朗読を行う。美咲はステージ上の健太を見つめ、涙する。声を失っても、二人の恋は静かに、でも強く育まれていくのだった。