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アキラとエリーゼの出会い
アキラはエリーゼと出会う
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<アキラ視点>
新入生オリエンテーション会場と書かれた会場に僕はやってきた。
僕と同じ制服を着た男女がわらわらと集っている。
「キャー、ペドロさま。かっこいー」
女子がわらわらと一人の男子に群がっている。
「名家の男だね」
と、ウサモフが解説する。
「なにせ、この入学オリエンテーション会場は、入学生の女子にとっては死活問題だよ。優秀な男とペアを組めないとみじめな3年間をすごすことになるんだから」
「ペア……か」
ナーシャからあらかじめ、このシステムについて聞かされていたものの、いざ、目の当たりにしてみると怖いものがあった。
「僕も誰かとペアを組むことになるのかな?」
「上位の男がペアを組んで、あぶれた女子が次善の男に群がって、それもあぶれた女子がさらに普通の男と仕方なく組んでいき、ってあぶれにあぶれた女子が最後の方に君の方に回ってくるんじゃないかな?」
「うう……そこまで大してプライドもなく生きてきたつもりだけど、それでも、そんな光景目の当りにしたらさすがに傷つくよ。女性不信になるかも」
僕の目の前を眼鏡のおとなしそうな女の子が通った。
肩に埃と糸がついていたので、「ついているよ」と教えてあげることにした。
「ちょっと、君」
「ひいっ。近寄らないで!私みたいなおとなしそうな女の子ならペア組めると思ってるんでしょ。このけだもの!」
全力疾走で走り去っていった。
「ウサモフー。これ、本当に傷つくシステムだよ。どうにかなんないの?」
きっと、惨めな思いをするのは入学式だけじゃなく、誰かとペアを組んだ後の今後の学園生活も続くのだろうということが容易に想像がついた。
入学を辞退しようかと思ったその時だった。
「ねえ、君?ペアの女の子決まってないの?」
ひとりの女の子が僕に声をかけた。
「え、ぼ、僕ですか?」
「あなたに決まってるじゃない」
女の子は美少女と言って差支えのない外見をしていたが、目が鋭く気が強そうだった。
「まだ決まってないですよ。補欠合格だし、魔法の技能も初心者みたいなもので……」
「いいねえ!君に決めた!」
「へ?」
「君を私のパートナーにする!そのぼさぼさの髪!頭の悪そうな顔!泥にまみれた靴。すべて気に入った。記帳しに行こう!」
バカにしているのかと僕は思ったが圧に押されて僕は口に出せなかった。
強引に僕の手を引き、会場のパートナー記帳名簿の前に到着する。
彼女は自分の名前、エリーゼ・オブルスと書いた。
「さ、どうした?自分の名前書かないの?」
「そんな。いきなり、言われても、僕、自分の気持ちの整理が、で、で、できないよ」
「どうせパートナーなんてできないくせして。私がなってあげるって言ってるんだから、レディーの善意は受け取るものよ」
「でも……」
「書きなさい!」
「は、はい」
「ふんふん。アキラ・スズキね。変わった名前ね。外国出身?」
「この名前には説明すると長い理由がありまして……」
「まあ、どうでもいいわ。どうせ、もうすぐ、今の自分ともおさらばなんだから」
彼女はよくわからないことを言い出すのだった。
「よ、よろしく」
僕は右手を出すと彼女に握手をうながす。
「はあ?あなたごときが私と握手なんてできると思ってるの?気安く触らないで」
「ええっ。せっかくペアになったのに」
なかなか辛辣な言葉を投げかけてくる。
僕は彼女とペアになったことを後悔しはじめていた。
新入生オリエンテーション会場と書かれた会場に僕はやってきた。
僕と同じ制服を着た男女がわらわらと集っている。
「キャー、ペドロさま。かっこいー」
女子がわらわらと一人の男子に群がっている。
「名家の男だね」
と、ウサモフが解説する。
「なにせ、この入学オリエンテーション会場は、入学生の女子にとっては死活問題だよ。優秀な男とペアを組めないとみじめな3年間をすごすことになるんだから」
「ペア……か」
ナーシャからあらかじめ、このシステムについて聞かされていたものの、いざ、目の当たりにしてみると怖いものがあった。
「僕も誰かとペアを組むことになるのかな?」
「上位の男がペアを組んで、あぶれた女子が次善の男に群がって、それもあぶれた女子がさらに普通の男と仕方なく組んでいき、ってあぶれにあぶれた女子が最後の方に君の方に回ってくるんじゃないかな?」
「うう……そこまで大してプライドもなく生きてきたつもりだけど、それでも、そんな光景目の当りにしたらさすがに傷つくよ。女性不信になるかも」
僕の目の前を眼鏡のおとなしそうな女の子が通った。
肩に埃と糸がついていたので、「ついているよ」と教えてあげることにした。
「ちょっと、君」
「ひいっ。近寄らないで!私みたいなおとなしそうな女の子ならペア組めると思ってるんでしょ。このけだもの!」
全力疾走で走り去っていった。
「ウサモフー。これ、本当に傷つくシステムだよ。どうにかなんないの?」
きっと、惨めな思いをするのは入学式だけじゃなく、誰かとペアを組んだ後の今後の学園生活も続くのだろうということが容易に想像がついた。
入学を辞退しようかと思ったその時だった。
「ねえ、君?ペアの女の子決まってないの?」
ひとりの女の子が僕に声をかけた。
「え、ぼ、僕ですか?」
「あなたに決まってるじゃない」
女の子は美少女と言って差支えのない外見をしていたが、目が鋭く気が強そうだった。
「まだ決まってないですよ。補欠合格だし、魔法の技能も初心者みたいなもので……」
「いいねえ!君に決めた!」
「へ?」
「君を私のパートナーにする!そのぼさぼさの髪!頭の悪そうな顔!泥にまみれた靴。すべて気に入った。記帳しに行こう!」
バカにしているのかと僕は思ったが圧に押されて僕は口に出せなかった。
強引に僕の手を引き、会場のパートナー記帳名簿の前に到着する。
彼女は自分の名前、エリーゼ・オブルスと書いた。
「さ、どうした?自分の名前書かないの?」
「そんな。いきなり、言われても、僕、自分の気持ちの整理が、で、で、できないよ」
「どうせパートナーなんてできないくせして。私がなってあげるって言ってるんだから、レディーの善意は受け取るものよ」
「でも……」
「書きなさい!」
「は、はい」
「ふんふん。アキラ・スズキね。変わった名前ね。外国出身?」
「この名前には説明すると長い理由がありまして……」
「まあ、どうでもいいわ。どうせ、もうすぐ、今の自分ともおさらばなんだから」
彼女はよくわからないことを言い出すのだった。
「よ、よろしく」
僕は右手を出すと彼女に握手をうながす。
「はあ?あなたごときが私と握手なんてできると思ってるの?気安く触らないで」
「ええっ。せっかくペアになったのに」
なかなか辛辣な言葉を投げかけてくる。
僕は彼女とペアになったことを後悔しはじめていた。
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