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アキラとエリーゼの出会い
落ちこぼれクラスの日常
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<アキラ視点>
ミラヴェニア魔法学校は、エリートコースを突き進むドラゴンクラス、普通クラスのフェニックスクラス、今は落ちこぼれているが未来が期待されるキリンクラスから成る。
2年次の試験で、ドラゴンクラスとフェニックスクラスだけに選抜され、キリンクラスに残留した生徒は自動的に退学になる。
同じく、3年次のクラス分けでドラゴンクラスの精鋭だけが進級でき、フェニックスの生徒たちも退学する。
僕とエリーゼは当然の如く、キリンクラスであった。
そんなわけで、クラスの雰囲気はなかなかのハードモードだ。
「ちょっと、あんた名家じゃなかったの?こんなしょぼい実力だと知っていたらあんたと組まなかったわ」
「何言ってるんだ。俺と組みたいと迫って言ってきたのは君の方だろ。なんだよ学生なのにそのケバいマスカラ。全然似合ってないよ」
「よくも言ったわね。キーッ!むかつく!」
こんな地獄のような口論が耳に入るので他人事ながら胃が痛い。
もっとも、不仲なペアが声がでかいだけで、仲睦まじいペアはおとなしく黙っているのかもしれない。
そもそも、会ったばかりでお互いの人間関係模索しているところだしね。
それにしても、こんなに、ぎすぎすした学校に皆、よく入りたいなんて思うなと僕は思った。
そこまで、将来が保証されていて、卒業が名誉な学校なのだろうか。
日本人として生まれ育った僕にとっては、国内の名門国立大学、海外の名門大学などに置き換えて、この学校の価値について想像するが、それでもピンと来ない部分があった。
さて、横にいるエリーゼはどうかというと無関心だった。
「まあ、あんたの実力だとこんなもんじゃない?適当にやって適当に中退しなさい。私はあんたに何の期待もしていないし」
頬杖をついてやる気なさそうな顔をする。
上昇志向の塊のような女の子に責められるのはプレッシャーでつらいものがあるが、見捨てられているのは、それはそれでむなしいものがあった。
それでいて不思議なのは、彼女は学業に無関心とも言えない節があるところだった。
なぜか、彼女は、女声ではなく、男声魔法のテキストを食い入るように熱心に熟読し、必死で古代語を覚えようとしていた。
あまりに夢中に読みふけっているので声をかけても気が付かないほどだった。
「悔しい……絶対に成りあがってやる」
と独り言をつぶやいていることがあったので、何らかのコンプレックスと向上心を抱えていているのは間違いなかった。
いずれにせよ、ぎすぎすしつつも、それなりに平穏な学生生活を送れると思っていた。
だが、戦火は静かに、しかし確実に僕たちの日常へと迫りつつあったのである。
ミラヴェニア魔法学校は、エリートコースを突き進むドラゴンクラス、普通クラスのフェニックスクラス、今は落ちこぼれているが未来が期待されるキリンクラスから成る。
2年次の試験で、ドラゴンクラスとフェニックスクラスだけに選抜され、キリンクラスに残留した生徒は自動的に退学になる。
同じく、3年次のクラス分けでドラゴンクラスの精鋭だけが進級でき、フェニックスの生徒たちも退学する。
僕とエリーゼは当然の如く、キリンクラスであった。
そんなわけで、クラスの雰囲気はなかなかのハードモードだ。
「ちょっと、あんた名家じゃなかったの?こんなしょぼい実力だと知っていたらあんたと組まなかったわ」
「何言ってるんだ。俺と組みたいと迫って言ってきたのは君の方だろ。なんだよ学生なのにそのケバいマスカラ。全然似合ってないよ」
「よくも言ったわね。キーッ!むかつく!」
こんな地獄のような口論が耳に入るので他人事ながら胃が痛い。
もっとも、不仲なペアが声がでかいだけで、仲睦まじいペアはおとなしく黙っているのかもしれない。
そもそも、会ったばかりでお互いの人間関係模索しているところだしね。
それにしても、こんなに、ぎすぎすした学校に皆、よく入りたいなんて思うなと僕は思った。
そこまで、将来が保証されていて、卒業が名誉な学校なのだろうか。
日本人として生まれ育った僕にとっては、国内の名門国立大学、海外の名門大学などに置き換えて、この学校の価値について想像するが、それでもピンと来ない部分があった。
さて、横にいるエリーゼはどうかというと無関心だった。
「まあ、あんたの実力だとこんなもんじゃない?適当にやって適当に中退しなさい。私はあんたに何の期待もしていないし」
頬杖をついてやる気なさそうな顔をする。
上昇志向の塊のような女の子に責められるのはプレッシャーでつらいものがあるが、見捨てられているのは、それはそれでむなしいものがあった。
それでいて不思議なのは、彼女は学業に無関心とも言えない節があるところだった。
なぜか、彼女は、女声ではなく、男声魔法のテキストを食い入るように熱心に熟読し、必死で古代語を覚えようとしていた。
あまりに夢中に読みふけっているので声をかけても気が付かないほどだった。
「悔しい……絶対に成りあがってやる」
と独り言をつぶやいていることがあったので、何らかのコンプレックスと向上心を抱えていているのは間違いなかった。
いずれにせよ、ぎすぎすしつつも、それなりに平穏な学生生活を送れると思っていた。
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