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血塗られたウエディングドレス!ナーシャの結婚編
ナーシャの結婚式
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<ナーシャ視点>
「結婚か……」
ベッドに体を放り投げ、髪の毛をくねくねといじる。
これから、隣村に嫁ぎ自分の生活はガラリと変わる。
ピンとこなかった。
自分の身に降りかかることなのに他人事のように思えた。
「アキラどうしてるのかなあ……」
遠い魔法学園に旅立った仲間のことを思い出しつつニュース魔法を詠唱する。
とにかく、今は自分自身のことではなく、他のことを考えて気を紛らわせたかった。
「魔族と軍事衝突です。人間側に軍人を中心に死者数50名ほどが出ています」
また、戦争のニュースだ。
まったくの他人事ではなく、このアミナ村にもいつ戦禍が迫るかわからない。
緊張感は村からも感じられた。
自分も旦那もそのうち徴兵されるのだろうか。
ニュースはやがてコメンテーター同士の口論へと発展し始めた。
「最新兵器の開発が急がれます。新兵器を開発している魔法博士たちに期待したいところですね」
「このまま魔族と軍事魔法の開発合戦になると民間人に悲惨な死者が増えるばかりだ。魔族と話し合いをして軍縮を……」
「そんな理想論で世の中が回るはずがない。現実の社会を見なさい。戦場に街に死体が転がっているではないですか。魔族を最新兵器で滅するべきです。あなたのきれいごとは勝った人間だけが語れるのです。勝者にしか歴史は作れないのです」
ここ最近の激しい戦争で、軍縮論者は居場所を減らしつつあるようだった。
人間というものは目の前のことに必死になれば大義のようなものはいとも簡単に捨ててしまうものだと思った。
「ま、大説を論じたところで私は非力で影響力のない村娘なんですけどね」
と独り言で自嘲する。
ピンポーン。
インターフォンの音が鳴る。
旦那様が迎えに来る時刻だ。
「はーい」
「待たせたね。ナーシャ」
婚約者フェルトがやってきた。
自慢してなんだが歯の白いハンサムだ。
「遅い!」
そう、私はこれから新婚の花嫁になる。
女として自分の幸せを家族の幸せを祈る身になる。
さんさんと光る夏の太陽とひまわりの花が私を祝福してくれている。
「新婚さんいいねえ。私も若いころはあんたみたいだった」
近所の人たちが私たちを祝いに集まってくる。
今日ばかりは戦争のことは忘れられる。
そう考えていたその時だった。
遠くから爆音が鳴り、土煙が立ち上る。
ものすごい轟音が鳴り、魔法兵器がこちらに向かってくる。
手に持たれた機関銃、足はキャタピラ、人型だが明らかに人造だとわかる金属でできたボディー。
明らかに、人工物だが、人間のような意思をもってこちらに向かってくる。
スピーカーのような意匠が腹に施され、そこから音声が響き渡る。
「その結婚式、待った!」
「結婚か……」
ベッドに体を放り投げ、髪の毛をくねくねといじる。
これから、隣村に嫁ぎ自分の生活はガラリと変わる。
ピンとこなかった。
自分の身に降りかかることなのに他人事のように思えた。
「アキラどうしてるのかなあ……」
遠い魔法学園に旅立った仲間のことを思い出しつつニュース魔法を詠唱する。
とにかく、今は自分自身のことではなく、他のことを考えて気を紛らわせたかった。
「魔族と軍事衝突です。人間側に軍人を中心に死者数50名ほどが出ています」
また、戦争のニュースだ。
まったくの他人事ではなく、このアミナ村にもいつ戦禍が迫るかわからない。
緊張感は村からも感じられた。
自分も旦那もそのうち徴兵されるのだろうか。
ニュースはやがてコメンテーター同士の口論へと発展し始めた。
「最新兵器の開発が急がれます。新兵器を開発している魔法博士たちに期待したいところですね」
「このまま魔族と軍事魔法の開発合戦になると民間人に悲惨な死者が増えるばかりだ。魔族と話し合いをして軍縮を……」
「そんな理想論で世の中が回るはずがない。現実の社会を見なさい。戦場に街に死体が転がっているではないですか。魔族を最新兵器で滅するべきです。あなたのきれいごとは勝った人間だけが語れるのです。勝者にしか歴史は作れないのです」
ここ最近の激しい戦争で、軍縮論者は居場所を減らしつつあるようだった。
人間というものは目の前のことに必死になれば大義のようなものはいとも簡単に捨ててしまうものだと思った。
「ま、大説を論じたところで私は非力で影響力のない村娘なんですけどね」
と独り言で自嘲する。
ピンポーン。
インターフォンの音が鳴る。
旦那様が迎えに来る時刻だ。
「はーい」
「待たせたね。ナーシャ」
婚約者フェルトがやってきた。
自慢してなんだが歯の白いハンサムだ。
「遅い!」
そう、私はこれから新婚の花嫁になる。
女として自分の幸せを家族の幸せを祈る身になる。
さんさんと光る夏の太陽とひまわりの花が私を祝福してくれている。
「新婚さんいいねえ。私も若いころはあんたみたいだった」
近所の人たちが私たちを祝いに集まってくる。
今日ばかりは戦争のことは忘れられる。
そう考えていたその時だった。
遠くから爆音が鳴り、土煙が立ち上る。
ものすごい轟音が鳴り、魔法兵器がこちらに向かってくる。
手に持たれた機関銃、足はキャタピラ、人型だが明らかに人造だとわかる金属でできたボディー。
明らかに、人工物だが、人間のような意思をもってこちらに向かってくる。
スピーカーのような意匠が腹に施され、そこから音声が響き渡る。
「その結婚式、待った!」
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