上 下
4 / 22
第1章 〜初めての日本〜

(2)お義父さんお義母さんよろしくお願いします

しおりを挟む
 「ニ…ホン?ってえぇ!?何処なのよそれ!私知らないわ!」

「ちょっ、お前声大きいよ!仮にも王女だろ?もっとお淑やかにsh…」

ギィィ……ガチャン

僕のアネッサへの注意は、虚しくもドアの開け閉めによって掻き消された…

「司ちゃん?その子だぁれ?」

優しく語りかけるように喋りかけてはいるが、身体の奥底からドス黒いオーラを感じるのは僕だけだろうか。いやアネッサも震え上がってる、どうやら母さんのオーラは本物のようだ。

「いや、あの…さ、友………達的な?」

「ちょ、アナタ私と友達になれるとでも思ってんの!?冗談も大概にsh…ヒッッ!」

どうやら母さんは相当ご立腹のようだ。
お玉がひしゃげている。

「ふーん、司ちゃんはお嫁さんにも行ってないような女の子を自宅に連れ込んで、挙げ句の果てには喰べちゃったんだ…」
「お母さんねぇ…そういうの一番大嫌いって言ったよねぇ?」

 これはヤバい。相当ヤバい。
ここで僕とアネッサが生き残る方法は一つしかない…

「ち、違うんだ母さん!さっきのは冗談で、彼女とは正式にお付き合いさせていただいてるんだよ…ハハハ!」

 そう言いながら僕はアネッサにジェスチャーで必死に伝える。
"今はヤバい、協力しろ"と。

 どうやらアネッサも馬鹿ではないようだ。僕の意思を汲み取り協力してくれるようだ。

「そ、そうなんですよお義母様!司君とは正式にお、お、お…ツキアイ(小声)させてもらってるんです!」

「あら、そうなの?やだぁごめんなさーい。私勘違いしちゃって。正式にお付き合いしてるならお家に来るぐらい普通だもんね~」

 どうやらお母さんはお付き合いに対して神聖な感情を持っているようだ。付き合ったからと言って親御さんに無断で家に侵入するのはどうかと思うのだが…まぁ今はそんなことどうでも良い。
 どうやら僕たちは助かったようだ。

「じゃあ朝ごはんの用意しとくから2人とも早く下に降りて来るのよ~」

「「は、はーい」」

「ふぅ…すまない、助かった。うちの母さんはいつもああなんだ」

「異世界人って怖いわね…」

「と、とりあえず下行ってご飯食べようか」

「そ、そうね。そうしまょう。」

 ぎこちない会話を繋げながら僕たちは階段を降りて行く。
しまった。鬼門はまだあったのだというのに、僕はすっかり忘れてしまっていた。
お父さんだ。

「やぁ、君が司の彼女なんだって?ゆっくり寛いでいきなさい」

 あれ?おかしいな。いつもならなりふり構わず組み手で勝負を仕掛けて来る戦闘狂なのに、今日に限って何があったんだ…?

理由はすぐに分かった。お母さんだ。多分お父さんは今すぐにでも僕と組み手をしたくて仕方ないんだろう。先ほどから貧乏ゆすりが止まっていない。だが、後ろをみればいくら父でも動けない理由が分かる。眼圧が凄いのだ。
お母さんの。

「さぁ、ご飯にしましょうか」

「そ、そうだね」

咄嗟に相槌を打つ

「手を合わせて」

「「「いただきます」」」

「イ、イタダキマス」

1人だけどこかぎこちないいただきますだったが、まぁ仕方ない。これから教えていくしかないのだから。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話… 親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。 エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!

夕凪五月雨影法師
ファンタジー
AIイラストあり! 追放された世界最強の勇者が、ハーレムの女の子たちと自由気ままなスローライフを送る、ちょっとエッチでハートフルな異世界ラブコメディ!! 国内最強の勇者パーティを率いる勇者ユーリが、突然の引退を宣言した。 幼い頃に神託を受けて勇者に選ばれて以来、寝る間も惜しんで人々を助け続けてきたユーリ。 彼はもう限界だったのだ。 「これからは好きな時に寝て、好きな時に食べて、好きな時に好きな子とエッチしてやる!! ハーレム作ってやるーーーー!!」 そんな発言に愛想を尽かし、パーティメンバーは彼の元から去っていくが……。 その引退の裏には、世界をも巻き込む大規模な陰謀が隠されていた。 その陰謀によって、ユーリは勇者引退を余儀なくされ、全てを失った……。 かのように思われた。 「はい、じゃあ僕もう勇者じゃないから、こっからは好きにやらせて貰うね」 勇者としての条約や規約に縛られていた彼は、力をセーブしたまま活動を強いられていたのだ。 本来の力を取り戻した彼は、その強大な魔力と、金貨1,000万枚にものを言わせ、好き勝手に人々を救い、気ままに高難度ダンジョンを攻略し、そして自身をざまぁした巨大な陰謀に立ち向かっていく!! 基本的には、金持ちで最強の勇者が、ハーレムの女の子たちとまったりするだけのスローライフコメディです。 異世界版の光源氏のようなストーリーです! ……やっぱりちょっと違います笑 また、AIイラストは初心者ですので、あくまでも小説のおまけ程度に考えていただければ……(震え声)

異世界帰りの勇者は現代社会に戦いを挑む

大沢 雅紀
ファンタジー
ブラック企業に勤めている山田太郎は、自らの境遇に腐ることなく働いて金をためていた。しかし、やっと挙げた結婚式で裏切られてしまう。失意の太郎だったが、異世界に勇者として召喚されてしまった。 一年後、魔王を倒した太郎は、異世界で身に着けた力とアイテムをもって帰還する。そして自らを嵌めたクラスメイトと、彼らを育んた日本に対して戦いを挑むのだった。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

処理中です...