男だけど幼馴染の男と結婚する事になった

小熊井つん

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新婚生活編

25.新婚旅行-3-

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街の中央を流れる川にかかる橋から見える景色もまた格別だった。
水面には提灯と街の光が反射して無数の光の粒が浮かんでは消えていく。
「あー、なんか帰りたく無くなるなぁ」
俺は橋の欄干に肘をつきながら言った。
「あはは、そうだね。瞬ちゃんと美味しいもの食べて温泉に浸かって……きっと今が俺の人生で一番幸せな時間だと思う」
「流石にそれは大袈裟だろ」
俺が呆れた声でそう言うと彗は「どうかなぁ」と小さく呟いた。

「だって、これからも2人でたくさん思い出作るんだろ」
「……うん。そうだったねぇ」
彗は俺の言葉を聞いて一瞬驚いたような顔を見せた後、ほんのり頬を染めてとろけそうな笑みを浮かべる。
その瞬間どうしようもなくこの男が愛おしくなった。

「彗」
「んー?」
もっと彗を幸せにしてやりたい。
誰も知らない彗の姿を知りたい。
湧き上がる感情を抑えきれず、俺は彗の方に向き直った。

「お前が好きだ」

今まで何度も伝えようと思いながらも結局言えずにいた言葉。それが自然と口から零れ落ちた。
突然の告白に彗は目を丸くしたが、すぐに心配そうに眉根を寄せる。

「瞬ちゃん……急にどうしたの?何かあった?」
「え?」
「もしかしてまだ酔ってる?」
「はい……?」
彗の予想外すぎる反応に俺は戸惑ってしまう。

「いや……そうじゃなくて、俺は本気で」
俺は慌てて弁明しようとするが上手く言葉が出て来ない。
「ふふ、分かってるよ。瞬ちゃんが俺のこと大切に想ってくれてる事くらい」
普段とは違うシチュエーションに舞い上がって居るとでも思われたのか、俺の告白は全く伝わらなかったようだ。

彗は「よしよし、かわいいね~」と子供をあやすように俺の頭を撫でてくる。
「……」
俺は複雑な気持ちになりながら大人しくされるがままになっていたが、やがて我に帰るとその手を握りしめた。

「あっごめん。怒った?」
「……俺は」
「?」
「恋愛対象として彗の事が好きなんだよ」
「えっ……」

俺が困ったような顔でそう告げると彗は大きく目を見開いた。
「ちょ、ちょっと待って!どうしたの急に!?さっきまで普通だったじゃん!」
「ずっと言おうと思ってたんだよ。でもなかなか決心がつかなくて……」
「え……?ずっとって……いつから?」
「……一緒に花火を見に行った時にはもう好きになってたと思う」

彗は動揺しているのか視線を彷徨わせている。
握った手が小刻みに震えていた。
俺はどんな顔をすればいいのか分からず、ただ彗が喋り出すのを待っていた。

「……そっかぁ。全然気づかなかったな」
しばらく沈黙した後、彗はぽつりと呟くようにして口を開いた。
その顔は困惑とも照れ笑いともつかない不思議な表情をしていた。
「ごめん。嫌か?」

彗の曖昧な反応に不安をおぼえた俺は恐る恐る尋ねた。
「まさか。嬉しいに決まってるじゃん」
「ならどうしてそんな微妙な反応するんだよ……」
「うーん……ちょっと混乱してるからかも。まだ現実味が無いっていうか」
そう言って握った手をスルリと抜き取ると、彗は再び欄干に寄りかかって街明かりを見つめ始めた。
その横顔は少し寂しげに見える。

「だって、恋愛嫌いの瞬ちゃんがだよ?一体どういう心境の変化なわけ~?」
「……お前と一緒に暮らしてたら自分の中の考え方とか価値観が変わったんだ」
俺は少し恥ずかしくなりながら答えた。
今思えば彗との結婚生活の中で、俺は様々な変化を感じていた。
頑固で他人に無関心だった自分が、彗のやわらかな愛情に溶かされて誰かと共に生きる喜びを知ったのだ。

「いつも楽しそうに笑ってるとことか、意外とマメなとことか……軽そうに見えてものすごく一途なとことか」
俺は彗の好きなところを一つ一つ挙げていく。
今まで彗が真っ直ぐ俺に愛情を注いでくれたように、俺からも歩み寄っていきたい。

「あと、実は結構他人に壁作ってる人間臭いところも……全部ひっくるめて好きだと思った」
「あー、なんか改めて言われるとめちゃくちゃ照れるね」
彗は手摺に肘をつきながら苦笑していた。
いつものふわふわした雰囲気とは打って変わってその横顔には何やら真剣な表情が浮かんでいるが、なんとなくはぐらかされているような気がした。

「……別に今すぐどうこうなりたいってわけじゃ無いんだ。ただ、俺が彗の事好きだって事だけ知っておいて欲しかっただけで」
俺はそこまで言うと言葉を切った。
正直、これ以上どうすれば良いのか分からないというのが本音だ。
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