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ダス・ノイエ・ウェルト・プロイェクト
国際大観艦式
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昭和三十五年五月二十七日、海軍記念日に於いて国際大観艦式が行われた。参加した艦艇はあまりに多数に上るため省略するが、軍艦大和、ティルピッツ、リットリオがそろい踏みした、豪勢なものであった。そして、これは言うまでも無く枢軸国の団結を示す観艦式であり、何と遙かスオミから雪風や時雨のエスコートのもと海防戦艦まで参加したという。
そして、象徴的な出来事はその次に起こった。次の日に予定されていた、国際大演習である。そう、これは……。
「……なんともやれやれ、まさか女王陛下がこのような最期を迎えるとはな……」
「艦長……」
「乗組員が死なないだけマシ、かもしれんがな」
ロイヤルネイビーが誇る軍艦クイーン・エリザベス等を初めとしたイギリス軍艦を豪勢極まりない標的艦とした、介錯現場であった。
それは、言うまでも無くビスマルクの敵討ちでもあり、アメリカ相手に苦戦していた所に漁夫の利を狙わんとばかりに割り込んできた東洋艦隊に対する、罰であった。
標的艦に対する攻撃は一昼夜続き、夜が明けた頃にはイギリスの誇るロイヤルネイビーは全て海の底へと旅だったという。
斯くて、ドイツ大海艦隊の溜飲をおさめ、イギリス人のストレス以外の全てが解決したこの観艦式を以て、遂に二つの国連が一つになった。通称、「正統枢軸連盟」と称される、「新国際連盟」である。
「漸く、ここまで来たか」
高松宮は、眼前の国際観艦式および付属演習を監督し、安堵の溜息をもらした。
「提督、お疲れ様です」
従卒がタオルと飲み物をもって参上した。にこやかにそれを受け取り、高松宮は更に口を突いた。
「ああ、これでもう、思い残すことはないな」
「何を弱気な!」
案の定、まだ血気盛んな若手参謀達がざわめいた。だが、高松宮は前言を撤回することなく、次の答えを発言した。
折角なのでト書きによるカットなしでお送りしよう。
「そろそろ、退いても良い頃だと思ってな」
「しかし……」
「良いか、私はあくまでお飾りなんだ、強権を振るうために示された風見鶏に過ぎない。だからこそ、有終の美を飾る必要があったんだ。もう良いだろう、この国はもう平和そのものだ。最新鋭の電算機、宇宙計画、そして医学薬学に至るまで、最早絶対君主制など要らないのだよ」
「しかしっ……」
「大丈夫だ、皇統はこんなことで滅びやしないさ。自然消滅も最早しないだろう。だったら、時の流れに身を任そうじゃないか。大日本帝国国民が、まだ皇統を必要とする以上は、座にはついておこう。但し、もう私を頼らないでくれ、といいたいだけだ」
「……はあ」
「この前、日独協定を結んだろう、あれで国連は一つになった。つまりは、今後宇宙人でも襲いかからん限りは、世界は平和になるんだよ。悠久の平和だよ、素晴らしいことじゃないか。その主導権を、永久に大日本帝国が握ることが出来る。我々は、黒船来寇の頃からの悲願であった、圧迫なき平和を実現した。つまりはまあ、我々は遂に欧米列強から平和を勝ち得たんだよ」
「……そう、ですね……」
「それじゃ、私はそろそろ席を外す。あとの処理は、頼んだよ」
「ははっ!!」
昭和三十五年六月一日、高松宮宣仁は後進の成長を見届け、閑かに現役を去った。一応、連合艦隊司令長官から退いただけで、予備役の提督にはなったのだが、彼もそろそろ50半ばである。還暦が見えてきた彼にとって、立つ鳥跡を濁さずといった様相で閑かに役目を辞して、国民にその主権を委ねるための第一段階としての作戦は、見事に成功したのだった。
そして、象徴的な出来事はその次に起こった。次の日に予定されていた、国際大演習である。そう、これは……。
「……なんともやれやれ、まさか女王陛下がこのような最期を迎えるとはな……」
「艦長……」
「乗組員が死なないだけマシ、かもしれんがな」
ロイヤルネイビーが誇る軍艦クイーン・エリザベス等を初めとしたイギリス軍艦を豪勢極まりない標的艦とした、介錯現場であった。
それは、言うまでも無くビスマルクの敵討ちでもあり、アメリカ相手に苦戦していた所に漁夫の利を狙わんとばかりに割り込んできた東洋艦隊に対する、罰であった。
標的艦に対する攻撃は一昼夜続き、夜が明けた頃にはイギリスの誇るロイヤルネイビーは全て海の底へと旅だったという。
斯くて、ドイツ大海艦隊の溜飲をおさめ、イギリス人のストレス以外の全てが解決したこの観艦式を以て、遂に二つの国連が一つになった。通称、「正統枢軸連盟」と称される、「新国際連盟」である。
「漸く、ここまで来たか」
高松宮は、眼前の国際観艦式および付属演習を監督し、安堵の溜息をもらした。
「提督、お疲れ様です」
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「ああ、これでもう、思い残すことはないな」
「何を弱気な!」
案の定、まだ血気盛んな若手参謀達がざわめいた。だが、高松宮は前言を撤回することなく、次の答えを発言した。
折角なのでト書きによるカットなしでお送りしよう。
「そろそろ、退いても良い頃だと思ってな」
「しかし……」
「良いか、私はあくまでお飾りなんだ、強権を振るうために示された風見鶏に過ぎない。だからこそ、有終の美を飾る必要があったんだ。もう良いだろう、この国はもう平和そのものだ。最新鋭の電算機、宇宙計画、そして医学薬学に至るまで、最早絶対君主制など要らないのだよ」
「しかしっ……」
「大丈夫だ、皇統はこんなことで滅びやしないさ。自然消滅も最早しないだろう。だったら、時の流れに身を任そうじゃないか。大日本帝国国民が、まだ皇統を必要とする以上は、座にはついておこう。但し、もう私を頼らないでくれ、といいたいだけだ」
「……はあ」
「この前、日独協定を結んだろう、あれで国連は一つになった。つまりは、今後宇宙人でも襲いかからん限りは、世界は平和になるんだよ。悠久の平和だよ、素晴らしいことじゃないか。その主導権を、永久に大日本帝国が握ることが出来る。我々は、黒船来寇の頃からの悲願であった、圧迫なき平和を実現した。つまりはまあ、我々は遂に欧米列強から平和を勝ち得たんだよ」
「……そう、ですね……」
「それじゃ、私はそろそろ席を外す。あとの処理は、頼んだよ」
「ははっ!!」
昭和三十五年六月一日、高松宮宣仁は後進の成長を見届け、閑かに現役を去った。一応、連合艦隊司令長官から退いただけで、予備役の提督にはなったのだが、彼もそろそろ50半ばである。還暦が見えてきた彼にとって、立つ鳥跡を濁さずといった様相で閑かに役目を辞して、国民にその主権を委ねるための第一段階としての作戦は、見事に成功したのだった。
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