正しい歴史への直し方 =吾まだ死せず・改= ※現在、10万文字目指し増補改訂作業中!

華研えねこ

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日はまた昇る

鶴は舞い降りた

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 1953年、それは世界が大きく動き始めた年だった。
 それを言い出すと「いや、先の大戦争のほうが余程動いたはずだ」というご指摘もあるだろうが、その先の大戦という初動・・があったからこそ動き始めた年とも言えよう。通称、十三年体制である。なぜこの体制を特に歴史の動き始めた年かと指定できるかといえば、この年を最後にして、世界から物理的戦争がなくなったからである。世の中は、着実に動き始めていた。
 では、その代わりに何が代理戦争として起こったかと言えば、経済的戦争である。植民地だった地域に影響力を残したい欧州と、それをはじき出すための努力を惜しまない大日本帝国が衝突するのは時間の問題ではあった。しかしそれでも物理的戦争を終ぞ行わなかったのは双方の理性的判断以外に、そもそもの物理的距離が圧倒的に遠かったからだとも言える。
 まず、最初に始まった衝突点から話していきたい。


 1953年1月、まだ松の内も明けきらぬ早朝からそれ・・は始まった。
 満州に、石油あり。

 諸国の行動は早かった。まず行動を起こしたのはいうまでもなく大日本帝国だったのだが、次の手を打ち出したのは意外にもフランスであった。なぜ彼らが迅速な行動を行ったのかは諸説あるが、ここでは石油を産出する元植民地が少なかったからだという説を採用したい。後の白虎油田はまだその欠片すら見つけるのは困難だったからだ。
 一方で意外な国が出遅れた。イギリスである。彼らも平和に油断をしたのか、あるいは中東の石油地帯を手中に収めているから手が遅れたのかは定かではないが、謀略三枚舌国家イギリスらしからぬ遅さだった。
 そして、まだ梅の花がつぼみの頃。大日本帝国はインド解放を足がかりにして中東石油地帯に駒を進めた。目指すはアラブの石油地帯の権益である。名目上の大義名分としてはアラブ諸侯が枢軸国に掛札をつけたからその配当金を配るためということであった。無論、イギリスは泡を食ったが、もう一国その事態に慌てた国が存在した。ドイツ第三帝国である。そう、NSDAPも戦勝国であるが故にアラブ権益を主張しようとしていたが、大日本帝国が先手を打ってアラブ権益を独占し始めたのだった。無論、大日本帝国にはその意図はなかったのだが、欲深い白色人種には如何にもそう見えたのである。
 しかし、国際協定上ドンパチは行われなかった。大日本帝国は地理的条件から、欧州諸国は軍事的条件からそれが不可能だったということも、あるにはあるのだが。
 そして、アラブ諸国がどちらの手を取ったのか。言うまでも無く大日本帝国であった。彼らは日露戦争の恩義を決して忘れてはいなかったのだ。
 そしてアラブ事変に於いて睨み合いの続く中、第三の事件が発生した。
 ――――アフリカ総一揆である。
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