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朱鷺は舞い降りた
100日後に処刑される独裁者
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1944年9月下旬、ホワイトハウスにて
「な、なんだと!?台湾沖海戦に失敗した!?」
「……ははっ、第七艦隊は悉く轟沈、いたしました。」
「なんだ、一体何が起こっている「きゅ、急報!パナマ運河が破壊されました!」バカなことを言うな、パナマ運河を破壊させるような戦力が連中にあるわけが「大変です長官!オーバーロード作戦に投入する船舶が足りません!」……冗談は半年前にいいたまえ、確か上陸用舟艇には4000隻割いたではないか「そ、それが、パナマ海峡が何者かの手によって破壊されました!」それはさっき聞いた!!「このままでは太平洋の船舶が大西洋に回せません!そうなると……」……イギリスに上陸した150万人が……「急報!ポートモレスビーが陥落し、ソロモン諸島の我が軍の基地が殲滅されました!」せ、殲滅だと!?き、君ねえ、軍人なら殲滅という言葉の意味を「嘘ではありません!現地は敵戦艦の艦砲射撃によって基地という基地が悉く更地になりました!」……そんな、ばかな……」
フランクリン・ルーズベルトは政治基盤を失いつつあった。無理もあるまい、彼が作り出したものは、太平洋の魚礁くらいなものであったからだ。一応戦時経済によって景気は回復しつつあったものの、その代償が陸海軍海兵隊合わせて十万単位の死者で、そろそろ五十万を超えようとするとあっては、さすがのアメリカ市民といえども看過できるものではなかった。軍人だけで五十万である。それは普通の先進国ならば再起不能な痛手であった。
そして、政治情勢は俄に変わり始めた。それが意味するものは、大日本帝国への栄誉か、あるいは無間の殺戮地獄か。
「……つまり情報を統合すると、我々はたった一人の提督の為に太平洋の覇権を失いつつあるわけだ」
『……ははっ』
「その、タカマツノミヤノブヒト、だったか?そいつは一体どんな男なんだ!」
「そ、それが、ヒロヒトの弟だとか」
「そんなお飾りレベルの相手に苦戦しているのかね!?」
「……返すお言葉もございません……」
「全く、何ということだ……!!それで、他に足取りはつかめていないのかね!」
「その件については、目下調査中でございますが……」
「が、なんだね。」
「……一つだけ、朗報がございます」
「よくやった!それで、なんだね!」
「かのものが作戦を成功させた時には必ず陣頭指揮をとっています」
「……クジャク戦法か!」
「しかし、相手もさる者で必ず戦艦に座城しており、めったなことでは航空機にすら乗らないとか……」
「充分だ!……みてろよ……、必ず貴様等を石器時代に返して見せるわ……!!」
斯くて、日米は最後の戦いに挑む。目指すは布哇、真珠湾である。
「な、なんだと!?台湾沖海戦に失敗した!?」
「……ははっ、第七艦隊は悉く轟沈、いたしました。」
「なんだ、一体何が起こっている「きゅ、急報!パナマ運河が破壊されました!」バカなことを言うな、パナマ運河を破壊させるような戦力が連中にあるわけが「大変です長官!オーバーロード作戦に投入する船舶が足りません!」……冗談は半年前にいいたまえ、確か上陸用舟艇には4000隻割いたではないか「そ、それが、パナマ海峡が何者かの手によって破壊されました!」それはさっき聞いた!!「このままでは太平洋の船舶が大西洋に回せません!そうなると……」……イギリスに上陸した150万人が……「急報!ポートモレスビーが陥落し、ソロモン諸島の我が軍の基地が殲滅されました!」せ、殲滅だと!?き、君ねえ、軍人なら殲滅という言葉の意味を「嘘ではありません!現地は敵戦艦の艦砲射撃によって基地という基地が悉く更地になりました!」……そんな、ばかな……」
フランクリン・ルーズベルトは政治基盤を失いつつあった。無理もあるまい、彼が作り出したものは、太平洋の魚礁くらいなものであったからだ。一応戦時経済によって景気は回復しつつあったものの、その代償が陸海軍海兵隊合わせて十万単位の死者で、そろそろ五十万を超えようとするとあっては、さすがのアメリカ市民といえども看過できるものではなかった。軍人だけで五十万である。それは普通の先進国ならば再起不能な痛手であった。
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『……ははっ』
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「充分だ!……みてろよ……、必ず貴様等を石器時代に返して見せるわ……!!」
斯くて、日米は最後の戦いに挑む。目指すは布哇、真珠湾である。
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