32 / 58
二度目の布哇
布哇よ再び(弐)
しおりを挟む
「全く、無茶を言う。」
「しかし、この作戦を成功させれば……!!」
「だが、これで軍港だけ狙って帰れってのは、なあ?」
そう、彼らはとんでもない博打に打って出た。それは、鹵獲したB-17による戦略爆撃である。アラスカはアンカレッジから繰り出した戦略爆撃部隊は長躯サン・ヂエゴまで飛来、攻撃を開始した。
驚いたのはアメリカ軍である。見覚えのある爆撃機が空を飛んでいると思いスルーしていたらそれは日本の爆撃隊だったのだから!
哨戒すらルーチンワークだった現状を見事に打ち砕いた策であった。だが、当初アメリカ上層部はその一報を聞いて喜んだという。何故なのか?それは聞くにも愚かな話だが日本軍が自分たちのように産地偽装をしていると思っていたらしい。しかしレーダーサイトを始めとした写真に写っているのはれっきとした日の丸。当初それすらも星条旗であったかのように改竄しようとしたが撃墜された航空部隊の機体に日の丸がでかでかと書いてあるのを見て断念したというのだからよほど未練深かったのだろう。
また、サンディエゴの災厄はそれだけではなかった。なんとあろうことか決戦に投入する予定の新型艦艇をことごとく破壊し尽くしたからだ。これは効いた。当初ルーズベルトが並べる予定だった手駒はたった一回の戦略爆撃で激減したのだ。その被害たるや40cm砲を積んだ戦艦が5隻、エセックス型が6隻、巡洋艦以下に至っては100で数えたほうが早いくらいだ。
大損害であった。
一方の日本側も決して楽観視できる状況ではなかった。作戦こそ成功し鹵獲した機体だったためアクタン島のようなことを気にもむ必要はなかったがここまで来ても尚中長期的には不利ですらあった。全ては「総力戦」という異常な戦争の所為であった。
また、ハワイの維持もかなり困難であった。いやはっきり言ってしまえばハワイ諸島に至っては戦争が終結したら放棄したほうが早いとすらいえた。
しかし、この現状ですら日本側の頭を悩ませる要素としては「手ぬるい」と言えただろう。何故か?アメリカがいつまでたっても講和のテーブルに足を運ばないからだ。一度座ってしまえば交渉の余地があるものの、座ろうとすらしないのはどうしようもなかった。
そしてこれに目をつけたのがゲッベルスであった。このドイツの宣伝大臣はこれを機に「世界の敵アメリカ」という宣伝を用意。如何にアメリカが講和しないことで戦場で多くの人間が死ぬかということを分析した資料とともに感傷的な音楽で訴えかけ、戦場の風景と安穏としたアメリカの風景を流し続けるという作戦をとった。
さすがにこれは効いた。これを見た者でなおアメリカを支持するものは愚か者であるという風潮すら世界世論では成り立った。
この宣伝で俄かに戦局は動いた。アメリカとしてもこれ以上のバッシングは耐えられるものではなく、逆に枢軸側としても国力の限界は遠く昔に通り越していた。
そして決戦へと戦局は動き出す。日本海海戦以上の一世一代の大海戦である。
勝つのは有色か、それとも白豪か。
「しかし、この作戦を成功させれば……!!」
「だが、これで軍港だけ狙って帰れってのは、なあ?」
そう、彼らはとんでもない博打に打って出た。それは、鹵獲したB-17による戦略爆撃である。アラスカはアンカレッジから繰り出した戦略爆撃部隊は長躯サン・ヂエゴまで飛来、攻撃を開始した。
驚いたのはアメリカ軍である。見覚えのある爆撃機が空を飛んでいると思いスルーしていたらそれは日本の爆撃隊だったのだから!
哨戒すらルーチンワークだった現状を見事に打ち砕いた策であった。だが、当初アメリカ上層部はその一報を聞いて喜んだという。何故なのか?それは聞くにも愚かな話だが日本軍が自分たちのように産地偽装をしていると思っていたらしい。しかしレーダーサイトを始めとした写真に写っているのはれっきとした日の丸。当初それすらも星条旗であったかのように改竄しようとしたが撃墜された航空部隊の機体に日の丸がでかでかと書いてあるのを見て断念したというのだからよほど未練深かったのだろう。
また、サンディエゴの災厄はそれだけではなかった。なんとあろうことか決戦に投入する予定の新型艦艇をことごとく破壊し尽くしたからだ。これは効いた。当初ルーズベルトが並べる予定だった手駒はたった一回の戦略爆撃で激減したのだ。その被害たるや40cm砲を積んだ戦艦が5隻、エセックス型が6隻、巡洋艦以下に至っては100で数えたほうが早いくらいだ。
大損害であった。
一方の日本側も決して楽観視できる状況ではなかった。作戦こそ成功し鹵獲した機体だったためアクタン島のようなことを気にもむ必要はなかったがここまで来ても尚中長期的には不利ですらあった。全ては「総力戦」という異常な戦争の所為であった。
また、ハワイの維持もかなり困難であった。いやはっきり言ってしまえばハワイ諸島に至っては戦争が終結したら放棄したほうが早いとすらいえた。
しかし、この現状ですら日本側の頭を悩ませる要素としては「手ぬるい」と言えただろう。何故か?アメリカがいつまでたっても講和のテーブルに足を運ばないからだ。一度座ってしまえば交渉の余地があるものの、座ろうとすらしないのはどうしようもなかった。
そしてこれに目をつけたのがゲッベルスであった。このドイツの宣伝大臣はこれを機に「世界の敵アメリカ」という宣伝を用意。如何にアメリカが講和しないことで戦場で多くの人間が死ぬかということを分析した資料とともに感傷的な音楽で訴えかけ、戦場の風景と安穏としたアメリカの風景を流し続けるという作戦をとった。
さすがにこれは効いた。これを見た者でなおアメリカを支持するものは愚か者であるという風潮すら世界世論では成り立った。
この宣伝で俄かに戦局は動いた。アメリカとしてもこれ以上のバッシングは耐えられるものではなく、逆に枢軸側としても国力の限界は遠く昔に通り越していた。
そして決戦へと戦局は動き出す。日本海海戦以上の一世一代の大海戦である。
勝つのは有色か、それとも白豪か。
1
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説
我らの輝かしきとき ~拝啓、坂の上から~
城闕崇華研究所(呼称は「えねこ」でヨロ
歴史・時代
講和内容の骨子は、以下の通りである。
一、日本の朝鮮半島に於ける優越権を認める。
二、日露両国の軍隊は、鉄道警備隊を除いて満州から撤退する。
三、ロシアは樺太を永久に日本へ譲渡する。
四、ロシアは東清鉄道の内、旅順-長春間の南満洲支線と、付属地の炭鉱の租借権を日本へ譲渡する。
五、ロシアは関東州(旅順・大連を含む遼東半島南端部)の租借権を日本へ譲渡する。
六、ロシアは沿海州沿岸の漁業権を日本人に与える。
そして、1907年7月30日のことである。
大日本帝国、アラスカを購入して無双する
雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。
大日本帝国VS全世界、ここに開幕!
※架空の日本史・世界史です。
※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。
※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。
江戸時代改装計画
城闕崇華研究所(呼称は「えねこ」でヨロ
歴史・時代
皇紀2603年7月4日、大和甲板にて。皮肉にもアメリカが独立したとされる日にアメリカ史上最も屈辱的である条約は結ばれることになった。
「では大統領、この降伏文書にサインして貰いたい。まさかペリーを派遣した君等が嫌とは言うまいね?」
頭髪を全て刈り取った男が日本代表として流暢なキングズ・イングリッシュで話していた。後に「白人から世界を解放した男」として讃えられる有名人、石原莞爾だ。
ここはトラック、言うまでも無く日本の内南洋であり、停泊しているのは軍艦大和。その後部甲板でルーズベルトは憤死せんがばかりに震えていた。
(何故だ、どうしてこうなった……!!)
自問自答するも答えは出ず、一年以内には火刑に処される彼はその人生最期の一年を巧妙に憤死しないように体調を管理されながら過ごすことになる。
トラック講和条約と称される講和条約の内容は以下の通り。
・アメリカ合衆国は満州国を承認
・アメリカ合衆国は、ウェーキ島、グアム島、アリューシャン島、ハワイ諸島、ライン諸島を大日本帝国へ割譲
・アメリカ合衆国はフィリピンの国際連盟委任独立準備政府設立の承認
・アメリカ合衆国は大日本帝国に戦費賠償金300億ドルの支払い
・アメリカ合衆国の軍備縮小
・アメリカ合衆国の関税自主権の撤廃
・アメリカ合衆国の移民法の撤廃
・アメリカ合衆国首脳部及び戦争煽動者は国際裁判の判決に従うこと
確かに、多少は苛酷な内容であったが、「最も屈辱」とは少々大げさであろう。何せ、彼らの我々の世界に於ける悪行三昧に比べたら、この程度で済んだことに感謝するべきなのだから……。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
日は沈まず
ミリタリー好きの人
歴史・時代
1929年世界恐慌により大日本帝國も含め世界は大恐慌に陥る。これに対し大日本帝國は満州事変で満州を勢力圏に置き、積極的に工場や造船所などを建造し、経済再建と大幅な軍備拡張に成功する。そして1937年大日本帝國は志那事変をきっかけに戦争の道に走っていくことになる。当初、帝國軍は順調に進撃していたが、英米の援蔣ルートによる援助と和平の断念により戦争は泥沼化していくことになった。さらに1941年には英米とも戦争は避けられなくなっていた・・・あくまでも趣味の範囲での制作です。なので文章がおかしい場合もあります。
また参考資料も乏しいので設定がおかしい場合がありますがご了承ください。また、おかしな部分を次々に直していくので最初見た時から内容がかなり変わっている場合がありますので何か前の話と一致していないところがあった場合前の話を見直して見てください。おかしなところがあったら感想でお伝えしてもらえると幸いです。表紙は自作です。
御稜威の光 =天地に響け、無辜の咆吼=
城闕崇華研究所(呼称は「えねこ」でヨロ
歴史・時代
そこにある列強は、もはや列強ではなかった。大日本帝国という王道国家のみが覇権国など鼻で笑う王道を敷く形で存在し、多くの白人種はその罪を問われ、この世から放逐された。
いわゆる、「日月神判」である。
結果的にドイツ第三帝国やイタリア王国といった諸同盟国家――すなわち枢軸国欧州本部――の全てが、大日本帝国が戦勝国となる前に降伏してしまったから起きたことであるが、それは結果的に大日本帝国による平和――それはすなわち読者世界における偽りの差別撤廃ではなく、人種等の差別が本当に存在しない世界といえた――へ、すなわち白人種を断罪して世界を作り直す、否、世界を作り始める作業を完遂するために必須の条件であったと言える。
そして、大日本帝国はその作業を、決して覇権国などという驕慢な概念ではなく、王道を敷き、楽園を作り、五族協和の理念の元、本当に金城湯池をこの世に出現させるための、すなわち義務として行った。無論、その最大の障害は白人種と、それを支援していた亜細亜の裏切り者共であったが、それはもはや亡い。
人類史最大の総決算が終結した今、大日本帝国を筆頭国家とした金城湯池の遊星は遂に、その端緒に立った。
本日は、その「総決算」を大日本帝国が如何にして完遂し、諸民族に平和を振る舞ったかを記述したいと思う。
城闕崇華研究所所長
皇国の栄光
ypaaaaaaa
歴史・時代
1929年に起こった世界恐慌。
日本はこの影響で不況に陥るが、大々的な植民地の開発や産業の重工業化によっていち早く不況から抜け出した。この功績を受け犬養毅首相は国民から熱烈に支持されていた。そして彼は社会改革と並行して秘密裏に軍備の拡張を開始していた。
激動の昭和時代。
皇国の行く末は旭日が輝く朝だろうか?
それとも47の星が照らす夜だろうか?
趣味の範囲で書いているので違うところもあると思います。
こんなことがあったらいいな程度で見ていただくと幸いです
武蔵要塞1945 ~ 戦艦武蔵あらため第34特別根拠地隊、沖縄の地で斯く戦えり
もろこし
歴史・時代
史実ではレイテ湾に向かう途上で沈んだ戦艦武蔵ですが、本作ではからくも生き残り、最終的に沖縄の海岸に座礁します。
海軍からは見捨てられた武蔵でしたが、戦力不足に悩む現地陸軍と手を握り沖縄防衛の中核となります。
無敵の要塞と化した武蔵は沖縄に来襲する連合軍を次々と撃破。その活躍は連合国の戦争計画を徐々に狂わせていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる