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ソビエト、参戦(ここ以降、現在編集中)
北の宮様(後)
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そして、「彼」は指定地点に敵軍が到達したことを見届け、ある感情とと共に玉音を発動した。
「行くぞ、信号弾を掲げろ!!全砲門、開け!!」
「ははっ!!」
鳴り響くは我らが砲音、横たわるのは朱い熊。突撃喇叭が鳴り響き、あろうことかこのご時世に騎兵まで出動する始末。ソ連軍は、ついに逆鱗の地点にまで達したのだ。
「な、なんだ?!」
「マカーキめ、どこから出て来たというんだ?!」
「おおおちつけえっ?!」
その時に使われた砲弾量、およそその一作戦だけで日露戦争の総使用量を上回ったとされるだけの火薬を消費したが、その価値はあった。何せこの時を以て、初撃においてすでに侵略したソ連軍の過半が掃滅。否、過半という言い方は正確ではない、最初の一撃において指定地点に誘導されたソ連軍はそのすべてが血煙と化した。残余のソ連軍は、もはやソ連軍とは言い難かった。それはもはや連隊規模の難民の塊が転々とした状態でしかなかった。無論、武器弾薬は存在したろうが、士気はどん底であった。無理もあるまい、戦線長官こそ到着が遅れたからか生き延びたものの、過半の戦闘員は弾雨によって消えていたのだから。
だが、戦いは終わらない。大日本帝国関東軍の役目は、まだ始まったばかりなのだから。
「突撃!!一兵たりとも露助共に満州の大地を踏ませるな!!」
「かかれかかれっ、殲滅せよ!!」
さすがに、全滅覚悟でやけくそまがいの万歳突撃ではなく、この「突撃」は砲撃支援や爆撃支援なども組み立てたれっきとした戦術行動であった。と、いうより突撃とは本来、捨て身の吶喊などでは無く最も知恵のいる戦術行動なのである。よく、後代の日本軍に突撃が多いという指摘でバカが多かったのか、という意見も出るが、歩兵突撃とは本来、総合支援の下敵軍を一挙に叩くという練りに練られた戦術行動である。
「砲撃用意!!」
「了解、砲撃用意…………射ぇぇぇっっ!!」
そして、砲撃支援が開始された。無論、航空支援などは言うに及ばず。ここに、漸く敵赤軍は罠にはめられたことを悟った。……当然ながら、その悟りは遅すぎるものであったのだが。
「ぎゃああっ!!」
「な、なんだこの攻勢は?!」
「ちょ、長官!ここは死地です、早く逃げなければ……!!」
「そ、そんなことをしたらスターリンに殺される!!」
「今死ぬか、クレムリンで死ぬかの違いです!!この際シベリアのどこかへ亡命しましょう!!」
「そうは言うが……ぐわああっ!!」
錯乱するソ連軍。無理も無い、赤軍とはそもそも民兵を主体とした練度の低い輩が祖であるのだから、如何に独ソ戦で鍛えられたと言えどもそれは所詮、ただの民兵であった。
「行くぞ!!行くぞ野郎ども!!」
「かかれぇーーーーっ!!」
「死ねぇぇーーっ!!」
かくして、ソ連軍の精鋭三個軍はノモンハンの大地からザバイカル州へと肉片による路面舗装をされる羽目になった……。
「彼」後に語りて曰く。
「これこそが十面埋伏である!」
立案した「彼」こと朝香宮鳩彦王は難関な試験を突破したような目で喜々としてそう語ったという……。
「行くぞ、信号弾を掲げろ!!全砲門、開け!!」
「ははっ!!」
鳴り響くは我らが砲音、横たわるのは朱い熊。突撃喇叭が鳴り響き、あろうことかこのご時世に騎兵まで出動する始末。ソ連軍は、ついに逆鱗の地点にまで達したのだ。
「な、なんだ?!」
「マカーキめ、どこから出て来たというんだ?!」
「おおおちつけえっ?!」
その時に使われた砲弾量、およそその一作戦だけで日露戦争の総使用量を上回ったとされるだけの火薬を消費したが、その価値はあった。何せこの時を以て、初撃においてすでに侵略したソ連軍の過半が掃滅。否、過半という言い方は正確ではない、最初の一撃において指定地点に誘導されたソ連軍はそのすべてが血煙と化した。残余のソ連軍は、もはやソ連軍とは言い難かった。それはもはや連隊規模の難民の塊が転々とした状態でしかなかった。無論、武器弾薬は存在したろうが、士気はどん底であった。無理もあるまい、戦線長官こそ到着が遅れたからか生き延びたものの、過半の戦闘員は弾雨によって消えていたのだから。
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「突撃!!一兵たりとも露助共に満州の大地を踏ませるな!!」
「かかれかかれっ、殲滅せよ!!」
さすがに、全滅覚悟でやけくそまがいの万歳突撃ではなく、この「突撃」は砲撃支援や爆撃支援なども組み立てたれっきとした戦術行動であった。と、いうより突撃とは本来、捨て身の吶喊などでは無く最も知恵のいる戦術行動なのである。よく、後代の日本軍に突撃が多いという指摘でバカが多かったのか、という意見も出るが、歩兵突撃とは本来、総合支援の下敵軍を一挙に叩くという練りに練られた戦術行動である。
「砲撃用意!!」
「了解、砲撃用意…………射ぇぇぇっっ!!」
そして、砲撃支援が開始された。無論、航空支援などは言うに及ばず。ここに、漸く敵赤軍は罠にはめられたことを悟った。……当然ながら、その悟りは遅すぎるものであったのだが。
「ぎゃああっ!!」
「な、なんだこの攻勢は?!」
「ちょ、長官!ここは死地です、早く逃げなければ……!!」
「そ、そんなことをしたらスターリンに殺される!!」
「今死ぬか、クレムリンで死ぬかの違いです!!この際シベリアのどこかへ亡命しましょう!!」
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「行くぞ!!行くぞ野郎ども!!」
「かかれぇーーーーっ!!」
「死ねぇぇーーっ!!」
かくして、ソ連軍の精鋭三個軍はノモンハンの大地からザバイカル州へと肉片による路面舗装をされる羽目になった……。
「彼」後に語りて曰く。
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