ウワノソラ

day3

食堂は薄暗い地下にあって、安いけど美味しくないので女子社員には受けが悪い。


そのため食堂を訪れる人は少なく静かなので私は時々ここで仮眠をとることにしている。


今日もひざ掛けを持って私は食堂を訪れた。
何も食べないのはお腹が減ってもたないので仮眠をとる日はカレーライスを頼むことにしている。


レトルトカレーの味は嫌いではない。


仮眠の日はカレーの日。
同僚にランチに誘われた時にはごめん今日はカレーの日にすると私は言っている。


カレーを食べ終わると食器を下げてから、しばしの眠りにつく。


この短い仮眠の間に時々同じ夢を見るのだ。
それは実家のポン助と遊んでいる夢だ。


私が雨の日の公園で柴犬の赤ちゃんを拾ってきた。
家族の反対にあうも妹が応戦してくれ無事に家族となったポン助。
きっと離れているから気になっているのが夢に出ているのだろうと思う。


妹は元気なのだろうか。
眠りから覚めた私はそう思ってすぐにメールした。


デスクに戻ると同僚の稲城みきが寄ってきてランチの美味しいところがあったと写メを見せてくれた。
いかにも彼女が好きであろう、映えるランチであった。


「みきちゃん好きそうだね」

「でしょ。すごい美味しかったし。今度行こうね」


彼女は社内でも片手に入るぐらい美人でスタイルも良い。

常時テンションの低い私と違って彼女はいつでも元気である。
本当に対照的なのだが、同期だからかいつも気にかけてくれている。


彼女は社内恋愛真っ最中。もちろん彼女が選んだのはこの上ないイケメン先輩。
お似合いのカップルだけど社内恋愛禁止のため知っている人は数少ない。


イケメン先輩に群がる女子にみきちゃんの視線は厳しい。


社内恋愛禁止というと余計に燃え上がるような気もする。
恋愛は多少不便があるほうが良いのだろうか。


みきちゃんのデスクに戻っていく後ろ姿を見つめながらそんなことを考える。