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6話 再会
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ゆつくりと近づき覗き込むと、しゃがみ込んだ男性が驚いた表情でこちらを見ていた。
「君のおかげか……助かった……」
男性は立ち上がった。
「トトの親父か? 」
「どうしてそれを? 」
「トトから聞いた。とにかく今はあいつが戻って来ると面倒だ。後ろに乗ってくれ」
「ありがとう。恩にきるよ」
やつれた表情の男性はラビに跨ると、話を始めた。
「トトに美味いものを食わせてやろうと出てきたが、気づいたら奴が足元にいて身動きが出来なかった。もう数センチ歩いたら足を食いちぎられていたよ。君が来なかったら俺が死んでトトも死んでいたかもしれない。感謝するよ」
「お礼はトトに言うべきだ。私はトトの依頼できたのだから」
「君の名は? 」
「ライカだ。この先に生き残った人々で新たに街を作っている。トトも一緒に行こう」
「君だけでなく他にも生き残った人が? 」
「あぁ、今我々が捜索して生き残る道を切り開いてる最中だ。まだ30人前後と少ないが食糧も水も生活は何とか出来ている……」
「なんてことだ。私はトリだ。ライカ、一度荷物を持ってからトトと行ってもいいだろうか? 」
「もちろん、そのために我々は捜索しているのだから」
「素晴らしい事があるものだ。今の街では私とトトの二人しか助かった者はいなかった……信じられないよ」
数ヶ月もの間、親子二人での生活を思うとライカは胸が熱くなった。
もっと早くにこれたのならばこの親子はここまでやつれなかっただろうに……。
リリカとトトはラビに乗ったままその場にとどまっていた。
「お父さん……」トトは泣いていて言葉にならず、ただただ父親にしがみつき泣いていた。
「ごめんな、トト。寂しい思いをさせたな」
ライカとリリカは視線を合わせ安堵していた。
「お父さんを探そうと勇敢にも外に出てきたトト、お前はえらいぞ」
リリカはトトの頭を撫でた。
「ありがとう。お父さんをみつけてくれて」
「トト。ここを出ることになった。他にも助かった人がいたんだ」
「トリ。荷物をまとめてくれないか、これ以上時間が遅くなると帰るのに苦労する。途中で夜を明かすのは危険だ」
「わかった。トトお前の荷物もまとめろ。お父さんと競争だ」
「うん……」トトは目を擦りながら、先を歩く父親を通り越し街であったろう場所に向かって行った。
「君のおかげか……助かった……」
男性は立ち上がった。
「トトの親父か? 」
「どうしてそれを? 」
「トトから聞いた。とにかく今はあいつが戻って来ると面倒だ。後ろに乗ってくれ」
「ありがとう。恩にきるよ」
やつれた表情の男性はラビに跨ると、話を始めた。
「トトに美味いものを食わせてやろうと出てきたが、気づいたら奴が足元にいて身動きが出来なかった。もう数センチ歩いたら足を食いちぎられていたよ。君が来なかったら俺が死んでトトも死んでいたかもしれない。感謝するよ」
「お礼はトトに言うべきだ。私はトトの依頼できたのだから」
「君の名は? 」
「ライカだ。この先に生き残った人々で新たに街を作っている。トトも一緒に行こう」
「君だけでなく他にも生き残った人が? 」
「あぁ、今我々が捜索して生き残る道を切り開いてる最中だ。まだ30人前後と少ないが食糧も水も生活は何とか出来ている……」
「なんてことだ。私はトリだ。ライカ、一度荷物を持ってからトトと行ってもいいだろうか? 」
「もちろん、そのために我々は捜索しているのだから」
「素晴らしい事があるものだ。今の街では私とトトの二人しか助かった者はいなかった……信じられないよ」
数ヶ月もの間、親子二人での生活を思うとライカは胸が熱くなった。
もっと早くにこれたのならばこの親子はここまでやつれなかっただろうに……。
リリカとトトはラビに乗ったままその場にとどまっていた。
「お父さん……」トトは泣いていて言葉にならず、ただただ父親にしがみつき泣いていた。
「ごめんな、トト。寂しい思いをさせたな」
ライカとリリカは視線を合わせ安堵していた。
「お父さんを探そうと勇敢にも外に出てきたトト、お前はえらいぞ」
リリカはトトの頭を撫でた。
「ありがとう。お父さんをみつけてくれて」
「トト。ここを出ることになった。他にも助かった人がいたんだ」
「トリ。荷物をまとめてくれないか、これ以上時間が遅くなると帰るのに苦労する。途中で夜を明かすのは危険だ」
「わかった。トトお前の荷物もまとめろ。お父さんと競争だ」
「うん……」トトは目を擦りながら、先を歩く父親を通り越し街であったろう場所に向かって行った。
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