21 / 57
第六話 最高ランククエスト その1「冒険者ギルド」
しおりを挟む
“冒険者ギルド、それは世のため人のために尽くす冒険者達が集いし場所。
勇気ある者、力ある者、知恵のある者達はその能力を役立てようと、今日もクエストをこなしていく。
さあ君も冒険者として、クエストにチャレンジだ!“
上の文章は、お仕事案内所“冒険者ギルド“の看板に書いてある宣伝文句である。なお、わざわざ立ち止まって見る人間は皆無である。
さて、デンバー地方のとある街の冒険者ギルドでは、あるパーティが高難易度クエストを探していた。
「なあ、そろそろ俺たちのパーティも上位ランカーになってきたんじゃないか?
だからさ、今回はめちゃくちゃ難しいクエストに挑みたいわけよ」
冒険者ギルドの受付係の女性にそう詰め寄っているのは、“ザイモンズパーティ”のリーダーである、勇者ザイモンだ。
「高難易度クエストとなりますと、ドラゴン退治とかがございますが、そちらになさいますか?」
受付係の女性は笑顔で応対する。
「いや、ドラゴン退治はこの前したばかりで新鮮味がなくってさ」
「では、噴火山の鉱石採掘はどうでしょうか」
「採掘なんて勇者の仕事じゃない」
「ダンジョン調査は?」
「あんなの、ただの遺跡発掘だろ」
「辻斬り事件の解決」
「それはお国の仕事」
「借金返済のために政略結婚したけど、嫁ぎ先も財政破綻して、姑から疫病神と罵られ続けた上に、夫が侍女と不倫していることに気づいてしまった某国のお姫様の心のケア」
「めっちゃ難しそうだけども!!!」
勇者ザイモンは受付のカウンターを強く叩いた。
「あるんだろ! 封印されているという真の最高ランクのクエストがさ! それに挑みたいんだ!」
受付係は静かに、戸棚から複数枚に渡る誓約書を重たい箱から取り出した。
「とても危険なクエストですよ? 本当によろしいんですね」
「ああ。危険な程燃えるぜ」
勇者ザイモンは誓約書全てにサインする。
「では、”ムテ騎士団討伐クエスト”、承りました」
勇気ある者、力ある者、知恵のある者達はその能力を役立てようと、今日もクエストをこなしていく。
さあ君も冒険者として、クエストにチャレンジだ!“
上の文章は、お仕事案内所“冒険者ギルド“の看板に書いてある宣伝文句である。なお、わざわざ立ち止まって見る人間は皆無である。
さて、デンバー地方のとある街の冒険者ギルドでは、あるパーティが高難易度クエストを探していた。
「なあ、そろそろ俺たちのパーティも上位ランカーになってきたんじゃないか?
だからさ、今回はめちゃくちゃ難しいクエストに挑みたいわけよ」
冒険者ギルドの受付係の女性にそう詰め寄っているのは、“ザイモンズパーティ”のリーダーである、勇者ザイモンだ。
「高難易度クエストとなりますと、ドラゴン退治とかがございますが、そちらになさいますか?」
受付係の女性は笑顔で応対する。
「いや、ドラゴン退治はこの前したばかりで新鮮味がなくってさ」
「では、噴火山の鉱石採掘はどうでしょうか」
「採掘なんて勇者の仕事じゃない」
「ダンジョン調査は?」
「あんなの、ただの遺跡発掘だろ」
「辻斬り事件の解決」
「それはお国の仕事」
「借金返済のために政略結婚したけど、嫁ぎ先も財政破綻して、姑から疫病神と罵られ続けた上に、夫が侍女と不倫していることに気づいてしまった某国のお姫様の心のケア」
「めっちゃ難しそうだけども!!!」
勇者ザイモンは受付のカウンターを強く叩いた。
「あるんだろ! 封印されているという真の最高ランクのクエストがさ! それに挑みたいんだ!」
受付係は静かに、戸棚から複数枚に渡る誓約書を重たい箱から取り出した。
「とても危険なクエストですよ? 本当によろしいんですね」
「ああ。危険な程燃えるぜ」
勇者ザイモンは誓約書全てにサインする。
「では、”ムテ騎士団討伐クエスト”、承りました」
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
魔術学院の七鉱石
チョコレ
ファンタジー
ライナスは魔法学院を卒業したばかりの新米冒険者。貴族の血筋ゆえ仕事を得られず足踏みしていたが、北国への護衛任務に就く。未知の鉱石と陰謀が絡む中、彼の拳と炎が試される冒険が、今、始まる。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる