俺と父さんの話

五味ほたる

文字の大きさ
5 / 10

<5> 口で編 *エロサンプル

しおりを挟む



サンプル・途中からです
***






「ぁあ……っ、ぁ、あっ……」

 今日は、口でして……ってお願いしてみようと決めてたけど、もし舐めてもらえたら、カッコよくリードしようと思ってた。イメトレもしてた。なのに、ダサくて弱々しい声しか出ない。こんなに気持ちいい快感の前じゃ、頭が馬鹿になる。おかしくなる。

「ふ、ぐ……、ぅ……ん」

 このエロい舌の動きを父さんがやってるって、想像するだけでもう……。ゆっくりと竿が口の中へ消えていき、鼻先が俺の毛に触れた。

「っ……」

 もじゃもじゃのそこに埋もれる父さん。綺麗な人を汚してしまっている罪悪感で、申し訳なさでいっぱいになるが、すぐに高揚感に押し流されていく。

「こ、こに……俺の……」

 猫っ毛の毛先をかきわけて、震える指で首の後ろに触れた。この裏側に、皮膚一枚隔てた向こうに、今、俺のが入ってるってことだ。風邪で寝込んでる時のように目の前がクラクラして、歪んでいく。もっと奥までいきたい、という衝動に頭の中を支配される。

「ぐっ……!?」

 考えるより先に身体が動いて、そのまま頭を持って引き寄せた。

「っ……! っっ……!!」

 強制的に奥まで入り、喉の震えを先端でダイレクトに感じた瞬間、暴発した。

「ぅ゛ぐっ……! ん、う゛っ……む、ぅっ」

 我慢なんてできるわけなかった。父さんの目が見開かれて、一瞬噎せたのが俺のもの越しに伝わってくる。けどモノが引き抜かれることはなく、

「ぁ、あ……っ父さん……っ」

 ごく、こく……と飲み込んでいく音が聞こえた。目を伏せて眉間に皺を寄せながら、真夏に麦茶を飲むみたいに必死に喉を動かす様子はひどく扇情的だった。

「はあ、はあっ、はあっ……」

 妄想なんかより、百倍強烈な光景。現実。嬉しい、飲んでくれるのが嬉しい。俺の細胞が、父さんの一部になっていくのが嬉しい。脚が子鹿みたいに痙攣してその場に崩れ落ちそうになったけど、父さんが膝をぐっと押さえて支えてくれた。

「んぐ……む、ごく……っ、っ」 

 時間をかけて射精したあと、ずるずると気持ちいい場所から引き抜かれた。俺のものが唾液で濡れて光っている。その光景にも感じてしまって、口から離されても俺のは天を向いたままだった。

「けほ、っぐ、……ふ……っ」

 苦しそうに咳き込む。

「ごめ……俺……っ」

 飲んでくれて嬉しい、とか、苦しくない? 大丈夫? って聞こうと思ってたのに、あまりの快感で馬鹿になった頭からは、ロクな言葉が出てこなかった。
 「なんか、甘……」と独り言のように呟いた父さんは、全く予想していない、変化球すぎる質問をしてきた。

「お前、昨日何食った?」
「え?」

 勃起してる今の状態も忘れてポカンとしてしまった。

「え、と……」

 いっぱい出して酸素が回ってない頭で、今この場にそぐわない、昼間の世界の出来事を必死に思い出す。

「そう、帰りにカイにクレープ付き合わされた……」
「あ、イチゴも食ったのか……」

 カイは甘いものが大好きなんだけど、「男ひとりでスイーツなんか食えねーだろ!」と謎のプライドを持っていて、たまに強制連行される。
 さっきもトモ兄が「すんげえいっぱい半額になってて可哀想だから買ってきた」と、スーパーの半額シールが貼られたイチゴを五パックも買ってきて、夕飯のあとに家族全員で食べた。

「……食べたもので味って変わるの?」

 精液って……、と暗に問うと、一瞬の沈黙のあと「……うん」と気まずそうに目を逸らした。
 トモ兄のを何回も飲んで、そういうのがわかるようになったんだ……と合点がいくと、途端に暗い気持ちと、俺のを飲んでくれた興奮が混ざり合ってぐちゃぐちゃになった。





***




続き(全10話)を収録したものがKindle Unlimited読み放題で配信中です!全部エロです。
Amazonで「五味ほたる」で検索すると出てきます。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

僕の番

結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが―― ※他サイトにも掲載

【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話

降魔 鬼灯
BL
 ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。  両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。  しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。  コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。  

孕めないオメガでもいいですか?

月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから…… オメガバース作品です。

隣の番は、俺だけを見ている

雪兎
BL
Ωである高校生の湊(みなと)は、幼いころから体が弱く、友人も少ない。そんな湊の隣に住んでいるのは、幼馴染で幼少期から湊に執着してきたαの律(りつ)。律は湊の護衛のように常にそばにいて、彼に近づく人間を片っ端から遠ざけてしまう。 ある日、湊は学校で軽い発情期の前触れに襲われ、助けてくれたのもやはり律だった。逃れられない幼馴染との関係に戸惑う湊だが、律は静かに囁く。「もう、俺からは逃げられない」――。 執着愛が静かに絡みつく、オメガバース・あまあま系BL。 【キャラクター設定】 ■主人公(受け) 名前:湊(みなと) 属性:Ω(オメガ) 年齢:17歳 性格:引っ込み思案でおとなしいが、内面は芯が強い。幼少期から体が弱く、他人に頼ることが多かったため、律に守られるのが当たり前になっている。 特徴:小柄で華奢。淡い茶髪で色白。表情はおだやかだが、感情が表に出やすい。 ■相手(攻め) 名前:律(りつ) 属性:α(アルファ) 年齢:18歳 性格:独占欲が非常に強く、湊に対してのみ甘く、他人には冷たい。基本的に無表情だが、湊のこととなると感情的になる。 特徴:長身で整った顔立ち。黒髪でクールな雰囲気。幼少期に湊を助けたことをきっかけに執着心が芽生え、彼を「俺の番」と心に決めている。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

処理中です...