俺と父さんの話

五味ほたる

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<5> 口で編 *エロサンプル

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「ぁあ……っ、ぁ、あっ……」

 今日は、口でして……ってお願いしてみようと決めてたけど、もし舐めてもらえたら、カッコよくリードしようと思ってた。イメトレもしてた。なのに、ダサくて弱々しい声しか出ない。こんなに気持ちいい快感の前じゃ、頭が馬鹿になる。おかしくなる。

「ふ、ぐ……、ぅ……ん」

 このエロい舌の動きを父さんがやってるって、想像するだけでもう……。ゆっくりと竿が口の中へ消えていき、鼻先が俺の毛に触れた。

「っ……」

 もじゃもじゃのそこに埋もれる父さん。綺麗な人を汚してしまっている罪悪感で、申し訳なさでいっぱいになるが、すぐに高揚感に押し流されていく。

「こ、こに……俺の……」

 猫っ毛の毛先をかきわけて、震える指で首の後ろに触れた。この裏側に、皮膚一枚隔てた向こうに、今、俺のが入ってるってことだ。風邪で寝込んでる時のように目の前がクラクラして、歪んでいく。もっと奥までいきたい、という衝動に頭の中を支配される。

「ぐっ……!?」

 考えるより先に身体が動いて、そのまま頭を持って引き寄せた。

「っ……! っっ……!!」

 強制的に奥まで入り、喉の震えを先端でダイレクトに感じた瞬間、暴発した。

「ぅ゛ぐっ……! ん、う゛っ……む、ぅっ」

 我慢なんてできるわけなかった。父さんの目が見開かれて、一瞬噎せたのが俺のもの越しに伝わってくる。けどモノが引き抜かれることはなく、

「ぁ、あ……っ父さん……っ」

 ごく、こく……と飲み込んでいく音が聞こえた。目を伏せて眉間に皺を寄せながら、真夏に麦茶を飲むみたいに必死に喉を動かす様子はひどく扇情的だった。

「はあ、はあっ、はあっ……」

 妄想なんかより、百倍強烈な光景。現実。嬉しい、飲んでくれるのが嬉しい。俺の細胞が、父さんの一部になっていくのが嬉しい。脚が子鹿みたいに痙攣してその場に崩れ落ちそうになったけど、父さんが膝をぐっと押さえて支えてくれた。

「んぐ……む、ごく……っ、っ」 

 時間をかけて射精したあと、ずるずると気持ちいい場所から引き抜かれた。俺のものが唾液で濡れて光っている。その光景にも感じてしまって、口から離されても俺のは天を向いたままだった。

「けほ、っぐ、……ふ……っ」

 苦しそうに咳き込む。

「ごめ……俺……っ」

 飲んでくれて嬉しい、とか、苦しくない? 大丈夫? って聞こうと思ってたのに、あまりの快感で馬鹿になった頭からは、ロクな言葉が出てこなかった。
 「なんか、甘……」と独り言のように呟いた父さんは、全く予想していない、変化球すぎる質問をしてきた。

「お前、昨日何食った?」
「え?」

 勃起してる今の状態も忘れてポカンとしてしまった。

「え、と……」

 いっぱい出して酸素が回ってない頭で、今この場にそぐわない、昼間の世界の出来事を必死に思い出す。

「そう、帰りにカイにクレープ付き合わされた……」
「あ、イチゴも食ったのか……」

 カイは甘いものが大好きなんだけど、「男ひとりでスイーツなんか食えねーだろ!」と謎のプライドを持っていて、たまに強制連行される。
 さっきもトモ兄が「すんげえいっぱい半額になってて可哀想だから買ってきた」と、スーパーの半額シールが貼られたイチゴを五パックも買ってきて、夕飯のあとに家族全員で食べた。

「……食べたもので味って変わるの?」

 精液って……、と暗に問うと、一瞬の沈黙のあと「……うん」と気まずそうに目を逸らした。
 トモ兄のを何回も飲んで、そういうのがわかるようになったんだ……と合点がいくと、途端に暗い気持ちと、俺のを飲んでくれた興奮が混ざり合ってぐちゃぐちゃになった。





***




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