金色竜は空に恋う

兎杜唯人

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★満たされる身体

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シシリィは虎族の住居でのんびりとしていた。
虎族に仕える犬族や猫族がせわしなく動いている。ディディエの部屋のベッドの上に転がり、そこに残る情事の香りに目を細めた。
ふるっと昨夜の快感を思い出して体を抱える。
ディディエと出会って以来あの太い肉棒の虜となっていたし、ディディエと愛し合えるのがそのまま快楽に直結していた。
だが番となったノエルとの行為はどうだろう。まだ好いたわけではない。そして回数を重ねたわけでも、肉棒がディディエほど太いわけでもなかった。



「でも気持ちよかったんだよなぁ…あの鱗も刺激的で…ノエルのフェロモンもいい匂いだったし………思い出したら起ってきた…」

シシリィはベッドに座り込めばするっと手を兆しだした己へと這わせる。
自分の体であるから弱い部分ももちろんわかっている。だがそこに触れようとはせずわざと焦らす。
じわりと服が濡れる。後ろからも流れだしたものがあるのが分かった。



「ディディ……」

誰もいないのに甘えた声を出す。
二人でいるときはずっとディディエに甘えていた。ディディエの体が好きで、大きな手が好きで、シシリィを見つめる丸い瞳が好きで、ディディエを想えば想うほどに熱は高ぶり、それをしごく手も激しくなる。
ノエルもディディエもいないのに自分一人だけでこんなことをしていていいのだろうか。
二人が戻ったときにばれてしまわないだろうか。
だがもう止めることはできなかった。
下だけ脱げば上体をベッドに押し付けて己の手を後ろへと這わす。流れ落ちてきた蜜が太ももを濡らした。



「濡れちゃった…太いの、いれてほしい…おなかいっぱいになるまでぐちゃぐちゃに突き上げて…いっぱい吐き出して…ディディ…ノエル…」


早く戻ってきて、と切に願う。
熱をしごく手はより速くなり、熱くぬかるんだそこに入れた指も奥へと飲み込む。
気を抜けば漏れ出そうになる喘ぎを必死にこらえて腹に力を込めた。



「ふっ…ぐっ……」


腰が跳ねる。絶頂と同時に手が汚れ頭のてっぺんを突き抜ける快楽に目の前がゆがんだ。
快感の波が引くまで深呼吸を繰り返し、シシリィは己の手についた精液を舌でなめとった。
むなしい、と思っていた。



「早く戻ってきて…」
「シシリィっ」



ぽつりとつぶやいた願い事がすぐに叶う。
勢いよく飛び込んできたディディエに驚きながらも、慌てて体を隠す。


「……シシリィ、一人で?」
「嗅がないで!恥ずかしいんだから」


鼻を揺らしたディディエはこみあげる笑みを抑えきれない。
残念ながらシシリィをかわいがることはできないが、我慢する必要はないのだとわかった。
あとはカノーテが戻ってくればいい。


「ノエル、こい」
「ま、待って。ディディエ…」

ディディエに腕を引かれたノエルは少し足をもつれさせる。
ふらつく様子を見ていたがシシリィは今動けない。
持っていた鞄を落としつつディディエを見つめるノエルだったが、視線をシシリィに向ければ息をのんだ。
達したばかりのシシリィは色っぽい。首元は少し汗ばみ、ほほが上気している。




「ディディエ、俺とエッチの前に話すことあるでしょ」
「我慢しきれるのか。長くなるぞ」
「どちらかというとそれはディディじゃないの」
「あぁ、もちろんだ。我慢しきれるはずもない。こいつのせいで俺がお預けを食らっているんだからな」


ベッドにあがったノエルを抱き寄せてその唇を奪う。
いまだに太い舌に慣れることはないが体はすぐに快感を得ようとしてしまう。


「だめだからね!香油ないと解すの大変なんだから」
「突っ込まなければいいんだろう?」
「そういう問題じゃないって!ディディ!」

シシリィのなじる声がするがノエルは視界一杯にディディエが広がって答えることができない。
自分がアグノアに別れを告げに行った間ここで一人で待っていてくれたのにそれに対しての礼も言えてないのだ。
ぱしぱしとディディエの固い体をたたく。
不満そうに口が離れればノエルはシシリィを向いた。


「し、シシリィ…」
「なに、ノエル」
「ただいま…ごめん……すぐに話せそうにない」


ディディエに口内を蹂躙され、息を荒げたノエルが謝ることではない。
シシリィはディディエに文句を言おうかと思ったがノエルに当てられ結局混ざることになった。
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