世界は万華鏡でできている

兎杜唯人

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引き寄せられる熱と体 3*

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フィーディスにまたがりリューイは抜き差しをする。その腹部には幾度も吐き出してすでに固まった精がこびりついていた。
虚ろな意識のなかでフィーディスはリューイの目から涙が流れているのに気づいた。意識はすぐに覚醒し、リューイの腰をおさえて動きを止めた。

「リュー、どうしたの」
「フィー…ディ、ス…体熱いのなくならない…苦しいのに、もっとほしくなる。怖いよ…」
「リュー…」

リューイのフェロモンが変質したと思わしきあと、どろどろに溶けていた自分の理性が戻ってくる。
たしかにリューイは何度も絶頂を迎えている。普通Ωの発情のときはαの精を受け入れればある程度は収まる。発情そのものが続くか否かは個人差があるが長くても一週間で終わり、徐々に落ち着いてくる。
リューイの息は荒くもう吐き出すものすらないそこはまだ天を向く。

「怖い…もっと、ほしい…でも、もうやだ…フィーディス…」
「リュー…」


自分ではリューイを助けることはできないと悟った。
何度吐き出してもリューイの発情は収まるどころかより強くなっていく。
唇を噛み締める姿を見つめリューイは体を伸ばしフィーディスに口づけた。血の流れる唇を舐め再び体を動かす。
フィーディスはこの状況をどうにかできる者を知っている。悔しいが頼る他はないだろう。
苦しい、辛いと涙を流しながらもΩの本能に流されるようにして快楽を得ようとするリューイを止めなければならない。
リューイが動くことに集中する間フィーディスは机においた端末に手を伸ばす。ロックを外してアドレス帳を起動する。
目的の人物の名前はない。だが、名前が空欄の番号はひとつだけあった。
蛇が出るか鬼が出るか、フィーディスはその名前のない番号にコールした。

「教授、先ほどから書類一枚もめくれてないです」
「あぁ」
「読めてます?」
「あぁ」
「生きてます?」
「あぁ」

レナータが苦笑した。
セリーニは研究所にきてこのかた、あぁ、としか言わなくなったウィリディスで遊んでいる。
書類は追加の薬品の一覧である。めくれていないから、読めているわけもない。
この様子では本日は実験は無理だろう。危なくて目が離せない。
ならば今日の作業はどうしたものだろうかとセリーニと話し合う。
ほかの研究員たちは各々で研究を進めている。秘書でもある二人はあまり研究には関わらないようにしているため仕事がない。

「教授がおかしいのはリューイ青年と会ってからだが今日はよりひどいな」
「本当に。どうされたのでしょうね?」
「喧嘩でもしたかな」

楽しそうな様子でセリーニは郵便物を仕分けだした。
レナータもそれを手伝っていたがウィリディスは結局昼を過ぎるまで動かなかった。
今日はリューイの弁当はないのだろうか、と二人は眺めるも朝からほぼ微動だにしないウィリディスの様子から恐らくないのだろうと判断した。
二人は何かあったときのためにウィリディスの部屋で食事をとった。
食事を終え午後の作業は届いた薬品の分類にするかと話し合っていたとき、音楽が鳴り響いた。
ウィリディスが動き端末を鞄から出すのを見守る。

「リューイ、どうし」

ウィリディスの声が止まる。
相手はリューイらしい。固唾を飲んで見守る。
ウィリディスの顔色がわずかに変化した。

「レナータ、セリーニ、数日休む。仕事は適当に割り振っておけ」

荷物をつかみ、ウィリディスは二人の返事もきかないで出ていってしまった。
顔を見合わせた二人だがあとで理由を聞くことにして散らばった書類を拾い集めた。午後の仕事のひとつめは書類の順番を直すことに決まった。

『や、だっ。きもちぃの、こわい…』

ウィリディスの頭のなかで先ほど聞こえたリューイの声がよみがえる。
肌を打ち付ける音とリューイの喘ぐ声、それからおそらくフィーディスの荒い息づかいが端末越しに聞こえていた。
強い発情でリューイに何かあったのかもしれない。泣き声混じりの喘ぎを聞けばいてもたってもいられなくなった。
普段ならば徒歩で帰宅するが、今はそんなことをいっていられない。
人とぶつかり怒声を浴びながら走った。

「あ、先生だ!」
「はやいね、先生。おかえりなさーい」

家に帰りつけば自分のフロアでレックスたちが遊んでいる。
ではリューイとフィーディスは上か。
鞄を椅子において上のフロアに向かおうとする。

「先生、どうしたの?」
「フィーディスから少しリューイの具合が悪いと連絡がきた。お前たち、食事は?」
「あるよ」
「そうか…」

階段を上りかけ小さく息を吐いてからシルバに近寄った。

「シルバ、キッチンのそばの壁に電話が取り付けてある。もし食事が足らなかったりしたら受話器を取って1のボタンを押すといい。俺のよく使っている店にすぐかかるから食べたいものを言えば届けてくれる」
「お金は?」
「あとで俺が店に行くと伝えればうなずくだろう」
「わかった」
「いい子だ」

シルバの頭を撫でレックスとクラルスも同じように撫でれば上のフロアへと今度こそ上がっていく。
階段を上がり切ればフロア全体に充満する甘い香りに鼻と口をふさぐ羽目になった。瞬間的に体に熱がともる。
息が荒くなり心臓が大きく動くも必死に耐えた。その耐えた状態で寝室へと向かう。そこが一番濃く、強く香っていた。
頭がしびれる。体がΩを求める。喉も乾いてきた。
ふらつく足を叱咤し、ドアを開ける。澱んだ空気が流れ出してきた。Ωの発するフェロモンだけじゃなく、発情によって呼び出されたαの興奮フェロモンと精液の匂い、それらが入り混じった空間にいれば吐き気すら催した。
薄暗い部屋の中、ベッドの上で肉塊が動く。リューイとフィーディスだろうか。ベッドの軋みが聞こえ、吐息も聞こえる。
ウィリディスは壁際を探り室内の換気システムを最大レベルで作動した。
天井に備え付けられたシステムが勢いよく動き出す音がする。だが換気システムではフェロモンを消すことはできない。
ウィリディスはめまいを覚えて壁に寄りかかった。大きな音を思わず立ててしまう。
ベッドのきしむ音が止まった。

「誰…」
「リューイか」
「……うぃる」

リューイの小さな声がした。
発情は収まったのかわりとしっかりとした声である。
きし、とベッドが動いた。ベッドから細い影が降りてウィリディスのそばにふらつきながらやってくる。
今度こそウィリディスは驚きを隠せなかった。
下肢にうっすらと生えている毛が白く汚れ、ほほにも飛び散っている。目元も胸元も赤くなっている。だが、リューイの欲望は萎えていない。
今もたらたらと蜜をこぼしている。

「うぃる…ねぇ、ウィル、体熱いの、収まらないの…ウィルなら止められる…?」

吐き出したばかりと思わしき精を腹部につけてリューイはウィリディスの首に腕を回した。
様変わりしたリューイにウィリディスは何も言えない。リューイと口づけ舌を引きずり出される。リューイはウィリディスの舌に軽く歯を立ててほほ笑んだ。
近づいたリューイの瞳は普段よりも濃くなっていた。

「せんせ…」

むせながらフィーディスが呼んだ。
はっとしてベッドへ目を向ければフィーディスが体を起こしている。αであることを隠しているとはいえ、リューイのフェロモンに当てられたのは間違いないようである。

「リューが…おかしくなった…普段と、違う発情みたいで…」
「…だろうな。こんな発情はみたことがない」

自分の理性を総動員してリューイに今すぐ自分の肉棒を突き刺したい気持ちを抑え込む。
リューイはウィリディスの顔じゅうにキスをして劣情を煽ってくる。ベッドになんとか体を起こしてこちらを見るフィーディスを見た。

「俺じゃ、無理だった。リューの発情のほうが強すぎて…」

ウィリディスに連絡などしたくはなかっただろう。それでも、気持ちいいのが怖いとつぶやいたリューイを何とかしたくて電話をしてきたのだろう。
どうしたものかと考える。自分もフェロモンに当てられだしている。理性がなくなるのも時間の問題と感じた。

「…フィーディス、まだ動けるか」
「動けますよ…リューのフェロモンに無理やり動かされているって感じだけど」
「ならいい。お前が使っているαのフェロモンを抑える薬を寄越せ。それから避妊剤もだ」
「なにをする…?」
「俺までリューイに当てられたら誰がこの状態を治める。さっさとしろ」

ウィリディスは自分の理性がほぼ切れそうになっていることをわかっていた。フィーディスがもたつきながらベッドから降りるのを見守る。
フィーディスとの間にもリューイはウィリディスの首筋を舐めて、噛みつき、服越しに胸元を撫でていた。
キスをしてしまえばきっとタガが外れてしまう。リューイのほうをできるだけ見ず、フィーディスを待った。
フィーディスは水の入ったグラスと薬を二種類持ってきた。一つはウィリディスも見たことがある避妊剤、もう一つ白いカプセルである。何の文字も入っていないそれがおそらくは彼が使っている薬だろう。

「ウィル、なに飲むの?媚薬?」

リューイの言葉に一瞬だけセリーニと交わした会話がよみがえる。リューイは媚薬を飲んだのではなかろうかというものだ。
だがそれはないと自ら否定すれば二種類の薬を一気に水で流す。リューイは返答がもらえなかったことが不満なのかウィリディスのベルトを外した。
チャックを下ろせば下着が膨れていることに気づき笑顔になる。下着越しにほほを寄せるリューイがいやらしい。

「ウィル、これちょうだい…」

布越しに感じたリューイの舌の熱さにウィリディスの堪えていた理性が限界を迎えた。
乱暴にリューイの腕を引いて立たせれば噛みつくかのように口づける。何度も舌を吸い先端を噛めばリューイの眉間にしわが寄る。息がしにくいのだろうと思うが緩める気はなかった。
何度もその行為を切り返して口を放せばリューイの足は震えて立っていられないほどになっていた。
Ωのフェロモンを感じたαは攻撃的になるという。ウィリディスは今この時になってそれを実感した。
リューイの腕を握り引きずるようにして窓際に連れていく。足がもつれてうまく歩けないリューイの体を乱暴に引っ張ればガラスに押し付けた。
リューイの体とガラスの温度は異なる。冷たさにリューイは体を震わせた。
ガラス面にリューイの手をつかせ尻を自分のほうに向けさせる。
ウィリディスがやってくるまでの間何度抱かれて、突かれて、吐き出されたのか、孔の周囲は赤く腫れていた。指でそこをなぞればリューイはかすかな声を上げる。開きっぱなしのそこは薄暗いなかでも白いものを垂れ流しているのがわかった。

「ウィル…」

リューイがガラス越しに見えるウィリディスの顔を指先で撫でた。
ウィリディスはリューイのほうを向かずリューイの下肢に視線を落としている。再度小さく名前を呼ぶもウィリディスは気づかない。
リューイのほほを一筋涙が伝った瞬間、ウィリディスはリューイを己の肉棒で貫いた。
内臓を押し上げられる感覚にリューイは息を止めた。フィーディスのそれも興奮からか太いものであったが、今のウィリディスのそれには及ばない。
ぎちぎちと孔を押し広げリューイの奥深くを突いている。歯を食いしばり挿入の衝撃に耐えたリューイだったが直後からの律動に負けた。
爪を立てられないガラスでは自分の体を支えることができない。ガラスに上体を押し付けて何度も突き上げられる。
己の吐く息でガラスは白くなる。リューイはガラスに映るウィリディスを見つめた。

「うぃ、る…ウィル、ウィリディス…俺を見て…ねぇ、俺のほうを向いて笑ってよ…やだ、こんなの」

ウィリディスの緑の瞳がふっとあがり、ガラス越しにリューイと目が合った。
だがその瞳はいつもよりも冷え冷えとしている。どうして、とリューイが問いかける間もなくウィリディスのほうから口を開いた。

「Ωの発情ならば何も考えずにただ啼いていればいい」

底冷えする声だった。リューイの唇が震え顔がうつむく。ウィリディスはその様子を見つめつつリューイの体を揺さぶった。
フィーディスは二人の会話を後ろで聞いていた。あんまりだ、と思っていたのだが声をかけるのは憚られた。

「発情期なら何も考えず快楽に落ちていればいい。お前はΩだ、それが一番だろう」
「や…あぁぁっ!やだ、やだ…ウィルッ、やだぁ」

リューイの泣き叫ぶ声も気にせずウィリディスは強く己を押し付けて中に吐き出した。喉を晒し声なくリューイは達した。
ぽたぽたと、リューイの熱の先端からこぼれていくものがある。すぎた快楽のせいで粗相をしてしまったらしい。
恥ずかしいのに、それすらも今脳内で快感として得てしまう。
リューイの胸元に腕を回しウィリディスはその体を引き寄せた。ウィリディスの胸元に体を預けたリューイの顔は涙でぐちゃぐちゃだった。
だが、やめてやるわけにはいかなかった。

「フィーディス、動けるか」
「え、あ、あぁ…」

うなずいたフィーディスはうまく言うことのきかない足に力をいれてウィリディスのもとにむかう。
ウィリディスはリューイを抱えたままフィーディスと向き合った。
何をするのかと見ていればウィリディスはリューイの体をフィーディスに押し付ける。
突然のことに慌てて支えようとしたがリューイはフィーディスの腰に抱きつく形になった。
リューイの顔の目の前に力をなくしたフィーディスの欲がある。

「それを舐めろ。できるだろう?」
「あんた、なにいって」
「黙れ」

ウィリディスの視線がリューイからフィーディスにむく。
フィーディスは瞳孔のほそまった瞳に射ぬかれてそれ以上の言葉が出ない。
言葉以上にウィリディスから出る圧が反論を許さなかった。

「やる…やるから、ウィル、もっとほしい」
「リュー…無理しなくても」
「できるよ、フィーディス…だって、足らないんだもん」

腰に抱きつく腕はそのままにフィーディスの熱を口に咥える。
生暖かな口内に含まれ快楽は得るがなかなか育ちはしない。じゅぶじゅぶと音をたて唾液を絡ませ、リューイは頭を動かした。
喉の奥まで深く飲み込めば吐き戻しかけるもそれを堪えてフィーディスに固さを取り戻していく。
口から出せばリューイは涙目になりながらもさらに成長させるために丁寧に舐めていく。
亀頭の窪みも浮かび上がる青筋も、下生えが顔につくほど根本までも舌を這わせた。
予想しなかったリューイの姿にフィーディスは唾をのみこむ。
ウィリディスはその様子をみようともせず己を飲み込むその部分に指を押し入れた。ウィリディスのものだけでいっぱいいっぱいであるのに無理矢理こじ開けられてリューイが痛みにくぐもった声を漏らす。

「勃起したか?」
「しないわけがないでしょう」
「は…ぁ、あぁ…フィーディスのおっきくなったぁ?」
「なったよ、リュー。気持ちいい」
「フィー…フィーディス…」

嬉しげなリューイはフィーディスにキスをねだる。
フィーディスも誘われるままリューイに口づけようとした。だが、ウィリディスはそれを遮ればリューイの体を抱き起こし左足の太ももを抱えた。
片足立ちをするリューイは少し不安げな色を浮かべてウィリディスを見た。
まだリューイのなかにはウィリディスの熱が固いままに収まる。

「フィーディス、お前もいれろ」
「は?」
「リューイのフェロモンの影響も落ちついただろう」
「だからって」
「フィー…ちょうだい」

リューイの言葉にフィーディスは目を向いた。
確かに自分も先ほどまでよりは落ち着いている。リューイに舐められたそれもかろうじて一度ほどならできそうである。
だが、リューイはすでにウィリディスを咥えこみ広がりきっている。

「早くしろ」
「わかったよ」

フィーディスはリューイの正面に立つ。
自分を支えリューイのそこにあてる。入るのだろうかと、不安はまだあった。
なるべく痛みの少ないように、とゆっくりと押し入る。
すでにそこに入っているウィリディスの肉棒は熱い。
リューイは天を向き必死に呼吸を繰り返した。
さすがに二本も肉棒を入れられたことはない。発情していても体が悲鳴をあげた。
ゆっくり進むフィーディスの腰はやがて根本までそれを納めきった。

「リュー、大丈夫…」

小さく聞けばリューイは首を振る。
抜かなければと思ったのもつかの間先にウィリディスが動いた。
無理矢理内壁を擦りながら引き抜かれたそれは待ったなしで奥まで突き刺さる。
細く声があがる。再び香り出したΩのフェロモンに煽り立てられるようにしてフィーディスも動いた。
二人に交互に奥を突かれるリューイはもはや達し続けているのも同じだった。
言うことのきかない体を動かして目の前のフィーディスと見つめあいキスをすれば、リューイの熱にフィーディスが手をかける。
優しくしごかれれば胎内の二本の肉を締め付ける。

「出して…奥までずぼずぼして、犯して…」
「リュー…君の仰せのままに」

フィーディスとウィリディスも上り詰めるためより強く腰を打ち付けた。
リューイの体はがくがくと震える。
腰を揺すり奥まで貫けばウィリディスもフィーディスも溢れるほど精液を吐き出した。
天を向き爪先まで力を込めたリューイからすぐに力が抜ける。
二人揃って肉棒を抜けばリューイの足を精液が流れていく。
力なくウィリディスに凭れる体をフィーディスに押し付けて身だしなみを整えた。

「風呂は好きに使え。明日になればピータが様子を見に来る。必要ならベッドとカーペットは新しいものを注文しろ」
「どこに行くんだよ」
「どこでもいいだろう、俺の勝手だ」

ウィリディスはフィーディスと彼に抱かれるリューイを一瞥するとそのまま部屋を出てしまった。
フィーディスは気を失ったリューイを腕に抱きながらその顔に残る涙のあとを指先でたどった。
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